実家に悩む、あなたへ。第1回

実家に義姉がいるのが落ち着かない…私って器が小さい?【お坊さんに聞いてみた】

実家に義姉がいるのが落ち着かない…私って器が小さい?【お坊さんに聞いてみた】

“毒親”ではない。きょうだいとの関係も悪くない。でも、なんとなくモヤモヤしてしまいがちな家族との関係。この憂うつをどうしたらいいの?

ということで、浄土真宗本願寺派の僧侶で、『あなたは、あなた。』(アルファポリス)を上梓した、大來尚順さんに、都内で働く女性の実家にまつわるお悩みを相談してみました。5回にわたってお届けします。

<今回のお悩み>

昨年、私の実家で兄家族が同居を始めました。これまで兄や義姉と関係がギクシャクしたこともないし、甥っ子もかわいいです。でも、私が育った家で他人が暮らしているんだよなと思うと、自分の居場所が上書きされてしまったような気がしてなんだか胸がざわざわすることがあります。この夏、実家に帰省する予定があるのですが、自然な態度でいられるか少し不安です。私は器が小さいですよね。
(30歳、未婚、IT関連、実家:仙台)

大來さん(2017年撮影)

大來さん(2017年撮影)

諸行無常には自分も含まれる

慣れ親しんだ思い出のある場所が変わってしまったように感じるあなたの寂しさや複雑な感情は、決してあなたの器が小さいからということに起因はしません。

あなたと同じような環境に身を置く方であれば、誰でも直面するものです。ご自身を責める必要はありません。

それでも罪悪感を抱いてしまうあなたの不安を少しだけ和らげることのできる考え方を紹介させて下さい。

「諸行無常(しょぎょうむじょう)」という言葉があります。これは世の中の規則・法則・真理を伝える哲学を実践することで「不満の心」を収縮させていく仏教の教えの一つです。

「諸々(諸)の現象(行)は常ではない(無常)」と読み解き、あなたの身の回りのすべての現象は止まることなく変わり続けるということです。

あなたが離れた親元で兄家族が同居を始めたということも、「諸行無常」の中の一つです。これは、すぐに理解できることでしょう。世の中のすべてのことが常に移り変わるというのは、言うまでもなく誰もが当然だと分かっているはずです。

しかし、大抵の場合、大切なことが一つ欠けています。それは、移り変わるものの中に、「自分自身」が含まれていないことです。別の言い方をすれば、自分を中心とした周囲の人や環境だけが変化し、自分は変わらないと誤解している方が多いのです。

何事も自分の都合通りにはならない

「あなたを含めたすべて」が移り変わるのです。あなたの気持ち、細胞もそうです。過去にあなたが親元を離れるに到った判断や経験も、周囲から見ればそれは同じく「諸行無常」という変化の一つなのです。

大切なことは、物事が移り変わるということは、また別の事実を示唆していると知ることです。それは、物事は自分自身を含め、「思い通りにはならない」ということです。

誰ひとりとして、物事を都合良く自分の思い通りにコントロールすることはできません。しかし、コントロールできると錯覚してしまうが故に、「不満の心」が生じて苦しむことになってしまうのです。仏教ではこの「不満の心」を「苦」といいます。

この事実をきちんと受けとめることができれば、たとえ現状が自分にとって都合の悪いことであっても、多少のことは仕方のないことだと、ため息と微笑みを持って受け入れることができるでしょう。

娘であるという事実は変わらない

あなたにもう一つ、大切な視点を紹介します。世の中の物事はすべて変化しますが、実は変わらないものもあります。それは事実というものです。

あなたと親との関係はどんなことがあろうとも事実として移り変わることはありません。おそらく、あなたが感じてしまう不安の中には、兄家族との関係というよりは、実は自分の親が思い出ある場所と共にどこかへ離れていってしまうような寂しさを感じているのではないでしょうか。

でもどうか安心して下さい。あなたの親が離れていくことはありません。いつになってもあなたは娘なのです。あなたの親との関係には何も心配することはありません。そして、あなたが親と共に過ごした時間と空間は、あなたの記憶の中で上書きされることなく、永遠に保存されます。

この事実という名の親子の絆を胸に、今あなたが生活している環境を大切にすることを心がけて下さい。わざわざ今では実体がわからなくなってしまった実家への不安にあなた自身のエネルギーを費やす必要はありません。

良いお盆を

ここで、少しだけ一人暮らしを始める頃のことを振り返ってみて下さい。どんな想いを持っておられたでしょうか。きっと不安もあったでしょうが、少なからず自分の夢や希望が含まれていたはずです。それから、さまざまな苦楽を経験してきたことでしょう。その結果として今のあなたの姿があるはずです。

あなた自身も「諸行無常」の一部であることを意識し、今のあなた自身を大切にすることにエネルギーを注いであげて下さい。なぜならば、今のあなたが立つその場所こそが、あなたの居場所だからです。

このことを心がけることで、今お持ちの帰省の不安も少しは和らぐのではないかと思います。どうぞご家族と穏やかなお盆をお過ごし下さい。

(大來尚順)
第2回は8月15日(木)公開です。

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