FP篠田尚子さんのお金のレッスン Vol.2

その貯金、いま必要? 浪費家のFPに聞く「老後資金を考えるタイミング」

その貯金、いま必要? 浪費家のFPに聞く「老後資金を考えるタイミング」

そろそろ“ちゃんと”しなきゃと思うお金のコト。けれど、老後に必要なのは何千万円と言われてもピンとこない。そもそもそこまで貯めるのに何年かかるのかわからないし、自分のキャリアも安定とは言えない——。そもそも、お給料は趣味や美味しいものを食べるため、自分の暮らしを快適にするために「使いたい!」と思う人も少なくないのでは?

2019年3月に発売された『一生楽しく浪費するためのお金の話』(イースト・プレス)の著者のひとり、ファイナンシャルプランナーの篠田尚子(しのだ・しょうこ)さんは「使う人ほど貯められる」と話します。Duniakitaではその理由や、これからお金のことについて考えたいという人に向けてのアドバイスを全6回にわたって紹介します。

第2回は、「老後資金について考えるタイミング」について聞きました。

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老後資金のことを考えると瞳を閉じたくなります

——一般的に老後資金には3000万円*は必要と言われますよね。けれど、自分の年収から逆算すると毎月何万円も貯金しないとこの金額にはならないとか、30代の貯金の平均はこれくらいだけど私は全然達していない……とか、お金に関する情報を目にするたびにネガティブな気持ちになってしまう人は少なくない気がします。

*70歳までに3000万円あれば、20年間(240カ月)で取り崩したとして、毎月12万5000円(金利はいったん無視)。仮に、70歳から毎月10万円の年金をもらったとして、合計22万5000円の生活費を得られると想定すると現実的な水準だと考えられる(参考『一生楽しく浪費するためのお金の話』)

篠田尚子さん(以下、篠田):老後資金の額は妥当な数字だと思いますが、貯金に関する平均値にはあまり意味がありません。対象となる裾野が広いので、1000万円貯めている人もいれば、貯金ゼロでようやく1000円から投資信託を始めたという人も大勢います。重要なのは、これからどう貯め、増やしていくかです。

——確かに1000万円の人とゼロ円の人を足して2で割れば平均貯金額は500万円ですね。私自身もそうですが、貯金が大切ということはわかっていても考えたくないからふたをしてしまい、結局、どんどん貯金が後回しになっていく。そうすると、さらにこれからではもう無理というループに、何度もハマっています。

篠田:たしかに情報に惑わされると、自分がすごく遅れをとっていると思ってしまいがちですが、全然遅くないですよ。むしろ、私は30代半ばくらいからのスタートでも十分だと思います。

一般的と言われる老後資金から逆算して算出した金額という考え方をしてしまうと、「いきなり毎月数万円を貯金に回すのはムリ」というネガティブな考えになってしまいますが、まずは現状無理のない金額、たとえば5千円でも1万円でもいいから始めてみて、余裕が出てきたら増やせばいいんです。30代は仕事もまだまだバリバリできる年齢だし、リタイアする60〜70代までには30〜40年もあります。十分に資産は増えていきます。

貯金に気を取られて選択肢を狭めないで

——ご著書でも20〜30代の方々にお金にまつわる悩みを聞いていらっしゃいますが、彼女たちの話を聞いてどう感じましたか?

篠田:とくに20代の方に言えることですが、みなさんかなり真面目で、将来のこと、お金のことを真剣に考えていて驚きました。逆に20代のうちはそこまで深刻に考える必要はないのではと感じたほどです。考えすぎて人生の選択肢を狭めるようなことがあるともったいないですからね。

たとえばキャリアアップだったり、海外留学だったり、起業だったり、いろいろやりたいことがあっても、今の年収をベースに貯蓄まで考えてしまうと「ムリだ。やめたほうがいい」と諦めてしまい、機会損失になる可能性があります。知識として知っておくことは大切ですが、20代は自己投資にお金を使うことも必要だと思います。

——篠田さんも30歳を過ぎてから大学院に入り、勉強をし直したそうですね。

篠田:はい。金融に関する仕事をしていたので20代の頃から、いずれ金融について体系立てて勉強したいなと思っていましたが、30代になってしまいそろそろやらないとまずいと一念発起しました。収入も安定してきたし、今後もこの仕事で食べていきたいという自信と覚悟が持てたタイミングでした。楽天に転職したのも大学院に通っていたときです。予想もしていなかったことであり、思い切った選択でしたが、結局自己投資が選択肢を広げてくれたのだと思います。

——ちなみに、篠田さんが個人的に資産運用を始めたのはいつ頃ですか?

篠田:大学院を卒業した後、それこそ30代半ばくらいからです。それまではいろいろな意味で安定していなかったので、正直あまり深くは考えていませんでした。大学院に行くのにかなりのお金を使ったし、勉強のためにものすごい量の本を購入していました。そのうえ趣味にもお金を使っていたし、貯める、ましてや増やすなんていう意識はなく、どんどん使っていましたね。

大学院を卒業して、お金を使って勉強する局面は終わったかなと思ったときに、ようやく投資信託の積立を始めました。そういった私自身の経験もあるので、若いうちは貯めることよりも、むしろ自己投資のためにお金を使って、自分の可能性を広げてほしいと思います。

Point
20代は自己投資にお金を消費することも大切
貯金は30代からでも遅くない

※次回は5月28日(火)公開予定です

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