『思わず考えちゃう』インタビュー第4回

それでも目標が欲しい貴女へ…自分に向いていることを探すヒント

それでも目標が欲しい貴女へ…自分に向いていることを探すヒント

絵本『りんごかもしれない』『りゆうがあります』など、子どものみならず大人にもファンが多い絵本作家のヨシタケシンスケさん。3月30日に初のエッセイ集『思わず考えちゃう』(新潮社)を上梓しました。発売されるやいなやたちまち重版がかかり、話題になっています。

ヨシタケさんがいつも持ち歩いているというスケジュール帳に書き留めたメモやスケッチを元に、「こんなことがあったんです」「あんなことを考えていたんです」と自ら解説した一冊。

「富士山を撮るのは盗み撮りにならないの?」「子どもに優しくできないよ」「何かを決めた瞬間が一番楽しい」など、“思わず考えさせられちゃう”エピソードがつづられています。

“思わず考えちゃう”女性に向けて、ヨシタケさんに5回にわたってお話を伺いました。4回目のテーマは「それでも目標が欲しい貴女へ」です。

【第1回】「できないよね」ってちゃんと傷を舐め合いたい “思わず考えちゃう”貴女へ
【第2回】「向いてないこと」から自分の道を決めてもいい
【第3回】僕が“つながらない関係性”を大事にしたい理由

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小さな「好き」を必死で拾い集めて目標にしたがっている

——2回目で「やりたくないことから自分を決めていってもいいんじゃないか」という話が出ました。テーマをひっくり返すようで申し訳ないのですが、それでもやっぱり「好きなこと」や「やりたいこと」を求めてしまう人は多いと思います。「好きなことが見つからない」と悶々としちゃう……。

ヨシタケシンスケさん(以下、ヨシタケ):きっと、死ぬまでそうじゃないですか。

——えっ、死ぬまで?

ヨシタケ:「みんなは好きなことややりたいことを持っている。でも、自分は持ってない。だから、自分はダメなんじゃないか」というのが出発点なんですよね。だから、「言うほどみんな持ってないよ」というところをデータで示してあげられればいのかなって思います。それだけでも随分救われるじゃないですか。

「みんな持ってるって言ってるけれど、結構あやふやだよ、みんなコロコロ変わってるよ」って言ってあげるだけで。

自分のやりたいことをハッキリ持ってる人って、そうそういないんですよ。持っている人はすごく輝いて見えるから、デカく見えちゃうけど、割合でいうと滅多にいないからねって。

——ああ、声が大きいとみんなそうなのかなって思っちゃうというのと似ているかも。

ヨシタケ:希少動物だからねっていうところをちゃんとわかっていれば、もう少し落ち着いて考えられると思う。

「好き」というのも、何気ないことやつまらないことで好きになったりしてるわけであって、細かいところをみんな必死で拾い集めて自分の目標にしたがってるわけですよね。でも、持ってないことを気に病んだところでモテるわけでもないし。

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——「目標を作りたがっている」というのはそうかもしれないです。

ヨシタケ:一方で、「やりたいことがない」というのは豊かなことの証拠でもあるんですよね。何不自由なく過ごせてるからこそ、別に夢を持たなくて済んでいる。それって、100年前に比べたらすごく幸せなわけ。

昔はそんなこと言ってる場合じゃなかったから、好きなことを探してるのは最高に贅沢な悩みなのであって、どうぞどうぞ悩んでくださいって話じゃないですか。それだけたくさん選択肢があるし、選ぼうと思えば選べるからこそ、決められないわけであって、存分に悩めばいい。そのことを気に病むのって、少なくとも楽しくはないはずですよね。

とはいえ、僕自身も自分でそう言いながら「みんな本当は努力してるはずだ」「みんな本当は夢があるはずだ」「持ってないのは僕だけだ」って頑固に思い込んでいる部分もあるから、「でも結構みんないい加減みたいよ」ということを僕は知りたいし、自分を説得したいので、そこを探していきたいですね。

——過去の自分にも言ってあげたいなあ。

真面目な人が溜まりがちな“吹き溜まり”がある

ヨシタケ:真面目な人が陥りがちな場所、溜まりがちな場所があるわけですよ。吹き溜まりが。

「思わず考えちゃって、このコーナーに追いつめられる」みたいな場所が社会にはあって、自然とそこに集まってきてしまう生真面目な人たちが、ここしか居場所がないんだよねっていうところで、傷を舐め合える場所をちゃんと作るべきなんでしょうね。

息を止めて職場に向かっていくというか、明日もちょっと我慢しようっていう場所を作れれば一番良いかなって思って。

——真面目な人たちのためのサードプレイスみたいですね。

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