五月病対策は4月から! 予防のための漢方薬とは【専門医に聞く】

五月病対策は4月から! 予防のための漢方薬とは【専門医に聞く】

ゴールデンウイーク明けに、やる気のダウンや憂うつ感に見舞われて生活に支障を来すことを「五月(ごがつ)病」と呼びます。とくに今年(2019年)の連休は期間が長いだけに、その後の反動が心配です。

漢方専門医・臨床内科専門医・消化器内視鏡専門医でもある吉田裕彦医師に尋ねると、「五月病の初期症状では、なんともいえず気分が落ち込む、なぜだか眠れない、妙に不安になるといったことが挙げられます。放っておくと会社や学校に行けなくなることもあります」ということです。

詳しいお話を聞いてみました。

【関連記事】この気分の落ち込みは…? 「憂うつな気分」と「うつ病」の違い

五月病の実態は、適応障害、睡眠障害、うつ病など

——毎年、「五月病で苦しい」という声をよく耳にします。なぜ苦しいのか、その実態について教えてください。

吉田医師:4月に引っ越しや就職、進学、転職、退職、人事異動、独立、会社の新年度スタートなどで新しい環境に突入し、連休前に緊張が高じるものの、連休までは気を張ったままがんばることが多いでしょう。ところが、連休に入った途端に緊張の糸が切れて疲れが噴出する、あるいは、連休中も仕事のことや何らかのトラブルなどが頭から離れず、うつうつとした気分のまま過ごすことがあります。

そして休みが終わっていざ仕事開始となると、全身がだるい、寝つきが悪い、熟睡できない、食欲がないなど、心身の不調がおさまらずにどうしても出社できないといった症状が2週間以上続き、生活や仕事に支障をきたす場合は五月病の可能性が高くなります。

今年のように連休の期間が例年に比べて長い場合は、休み明けに切り換えることが難しくなりそうといった懸念はあります。

——五月病の原因はどういったことでしょうか。

吉田医師:おもに、その人にとってのストレスです。環境の変化が生じる4月は、ストレスが強く溜まりやすい時期と言えます。五月病の呼称は正式な病名ではなく、医学上は、症状に応じて、適応障害、睡眠障害、うつ病、うつ病の前段階の抑うつ状態などの病気に該当します。

4月から生活習慣を見直して予防を

——六月病、七月病という言葉、症状があると聞きました。

吉田医師:医療の現場では、例年、連休明けに五月病になる人、またその傾向にある人が増えています。また、5月はなんとか出社しても、6月の梅雨のころになると気象の変化の影響もあって憂うつ感が募る六月病、がまんしていたけれど、暑気とともに症状が現れる七月病と、発症の時期は広範囲になってきています。

重症化を避けるためには、症状が現れたらすぐにケアをし、また、自分の体質がわかっている場合は、できるだけ症状が現れる前に、4月から予防への意識をもって対処しておくこと、連休中の過ごし方もポイントになります。

——五月病を毎年発症する人はいるのでしょうか。その場合、予防する方法はあるのでしょうか。

吉田医師:五月病は、再発しやすい病気です。また、五月病とまではいかずとも、その傾向が現れやすい人は多く見受けられます。最大の予防は、原因であるストレスをとりのぞくことです。

連休の間に、仕事とプライベートを切り分けて考えるようにして、軽い運動を続ける、趣味の時間を楽しむ、仕事とは関係がない友人と会って楽しい時間を持つ、そして、1日に3度、栄養バランスが整った食事、できるだけ決まった時間に寝る生活習慣を実践しましょう。

例年、五月病の傾向にある、また、五月病の予感がある、日ごろから憂うつ感や不安感がある人は、漢方薬を試してみるのも一つの方法です。精神に作用する漢方薬は、効き目が現れるまでに時間がかかることがあるので、4月のうちから、あるいはその前からでも早めに飲み始めことが予防のポイントと言えるでしょう。

憂うつ感のほかに伴う症状を合わせて漢方薬を選ぶ

ではここで吉田医師に、五月病の予防や対策になる漢方薬を具体的に挙げてもらいましょう。

「漢方薬は、自分の体力の状態に合っているか、また、主な症状のほかに伴う複数の症状を見つめて選んでください。複数の薬がありますが、選びやすいように、体力の順にご紹介しておきましょう」と吉田医師。

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)……体力が虚弱で、疲れやすい、けん怠感がある、気力がわかない、食欲不振、胃腸が虚弱などの人に向く。

・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)……体力が中等度以下で、神経過敏でささいなことが気になる、落ち着かない、ストレスがある、興奮する、疲れやすい、眠れないなどの人に向く。

・加味帰脾湯(かみきひとう)……体力が中等度以下で、不安感がある、イライラする、食欲がない、眠れない、疲れやすい、血色が悪い、貧血などの人に向く。

・加味逍遙散(かみしょうようさん)……体力が中等度以下で、不安感がある、イライラ、疲れやすい、眠れない、のぼせ、肩のこりなど、月経トラブル、更年期障害などの人に向く。

・抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)……体力が中等度で、神経が高ぶる、怒りっぽい、眠れない、イライラが強い、ストレスがある、頭がふらつく、手足のふるえ、更年期障害などの人に向く。

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)……体力が中等度で、不安感、のどや食道になにかつまっている感覚がする、ストレス、動悸、めまい、吐き気などがある人に向く。

・柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)……体力が中等度以上で、不安感、イライラ、動悸(どうき)、眠れない、便秘の人に向く。

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)……体力が中等度以上で、イライラする、落ち着かない、眠れない、動悸、めまい、のぼせなどがある人に向く。

最後に吉田医師は、五月病の症状が続く場合について、
「憂うつな気分や寝つきが悪いなど、これまでにお話した症状が気になる場合はかかりつけ医に相談し、また、2週間以上続く場合は精神科か心療内科を受診しましょう」とアドバイスをします。

不調が続いて出社できなくなるのはとてもつらいことでしょう。憂うつ感、けん怠感、睡眠の不調や食欲不振が現れたら注意をして、できるだけ不調が現れる前に生活習慣を見直し、漢方薬を試す方法があることも覚えておきたいものです。

(取材・文 藤原 椋、品川 緑/ユンブル)

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