『駄目な世代』インタビュー第3回・止

“永遠の後輩”でいたいって思っちゃダメですか? 酒井順子さんに聞く

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“永遠の後輩”でいたいって思っちゃダメですか? 酒井順子さんに聞く

「丙午(ひのえうま)」生まれ*で受験戦争はらくらく通過し、バブル景気で就職活動は売り手市場、50代になっても後輩気分が抜けない——。

そんな”バブル世代”の功罪について自虐とユーモアを交えながら考察した酒井順子(さかい・じゅんこ)さんの新刊『駄目な世代』(KADOKAWA)がこのほど発売されました。

1966年(昭和41年)生まれで、平成の始まりとともに社会人としての一歩を踏み出したという酒井さん。あと2ヶ月ほどで終わりを告げる平成を振り返りつつお話を伺いました。

*干支の一つで60年に1回まわってくる。丙午の年に生まれた女性は気性が激しく、夫の命を縮めるという迷信があり、1966年に出生率の低下が見られた。

【1回目】酒井順子「自分達だけ楽してすみません」
【2回目】酒井順子さんに聞く、得意分野の見つけ方

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若者から大人へ…立ち位置が変わるとき

——酒井さんはこれまで仕事をしてくるなかで、壁にぶつかったときやつらいときはどう乗り越えてきたのですか?

酒井:20代後半のときに、悶々としたことがあります。それまでは自分と同じ若者のことについて書き続けてきたのですが、自分が若くなくなるにつれて「このままでいいのか?」という感覚が浮かび上がってきて。

その時は、「そう言えば、同じ随筆を書いているのに『枕草子』をまともに読んだことがなかった」と、「枕草子」から古典文学の世界へ。今まで知らなかった世界へ、踏み出してみました。

——そうだったのですね。私は、酒井さんの『枕草子REMIX』や『紫式部の欲望』を読んで「古典って面白い!」と気づいたというか、酒井さんの本がきっかけで古典に興味を持つようになったんです。酒井さんは古典という新しいジャンルを開拓していかがでしたか?

酒井:「この分野では根性が出せる!」と思いましたね。だから多分、向いていたのだと思う。

どんな仕事でも、自分が“若者”として仕事をしていた段階から、中間管理職になったり、部下を持ったりする段階に進むと、壁にぶつかるものです。

その時に、若い頃の立ち位置から、大人の立ち位置にどう移動するかが、仕事人生での大きな転換点ですよね。

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——つい最近まで、ずっと「永遠の後輩」でいたいと思っていました。自分で指導するよりも、上司から怒られたり注意されたりするほうがいいし、楽って。

酒井:でも、なかなかそうはいかないのが仕事というもの。

新しいことに挑戦してみるとか、自分の専門分野を深めてみるとか、部下と胸襟を開いて話し合ってみるとか。

私は会社員ではないので、部下の扱い方はよくわかりませんが、会社員の友人が「後輩のために道を作るように仕事をしている」と言っているのを聞いて、なるほどと思いました。

期限を決めて頑張ってみるのも…

——新しいことをやってみる、か……。

酒井:さきほど申し上げた「ジャンルを決めて頑張る」というのもありますけど、時期を決めて頑張るという方法もあるかもしれません。

のべつまくなし頑張らなくても、「この1ヶ月はちょっと頑張ろう」とか「3月まで無理してみよう」とか。期限が決まっていると、「いつまで頑張ればいいの?」となりませんから。

——その頑張りや挑戦は無駄にはならないですか? 「この年齢で失敗するのが怖い」って、どうしても思っちゃうんですけれど……。

酒井:苦労とか努力って、必ず何らかのものに繋がりますよ。ある昔の作家も、「苦労なくして得たものは、存在しないのと同じこと」と書いていましたが、この年になって、私もその意味がよくわかってきました。

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——酒井さんにお話を伺って、今後の人生や仕事に希望が見えてきました。でもやっぱり、バブル世代はうらやましいです(笑)。最後にDuniakita読者へのメッセージをお願いします。

酒井:Duniakitaを読んでいる女性たちは真面目な人なんですよね?

——はい。真面目で何事にも一生懸命な人たちだと思っています。

酒井:上の世代、特に我々の世代はそんなに真面目じゃないので、申し訳ないと思いつつ、下の世代を頼りにもしています。自分たちよりしっかりしている気もするし。だからあまり真面目に考えすぎず、努力も一つのレジャーと思ってはいかがでしょう。すみません、バブルっぽくって……。

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(聞き手:Duniakita編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)

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