「本の佇まい」に注目する店主が選ぶおすすめの3冊

「本の佇まい」に注目する店主が選ぶおすすめの3冊

銀座線田原町駅から徒歩2分の場所にある新刊書店「Readin’ Writin’ BOOKSTORE(リーディン ライティン ブックストア)」。OZmagazineなどの女性情報誌でも紹介され、大型書店ではなかなか見つからない興味深い1冊に出会える場としても話題です。

委託販売ではなく全て買取で本を仕入れている同店。その理由を店主の落合博さんは「委託より買取の方が利益率はいい。返本できないので、売れなくても返せばいいという発想にならない。流行に左右されず、5年、10年経っても、お客さんが購入したくなるような本が仕入れの基準」と話します。

以前は毎日新聞の論説委員として、スポーツに関する社説やコラムを書いていたという落合さんに、選りすぐりの3冊を紹介していただきました。選書の際に見ているという「本の佇まい」にもご注目ください。

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『うかうか no.002 女子後の生き方』(うかうか編集部)

うかうか編集部(著) 

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女性として生きる中で感じる社会的なプレッシャーの正体を、独自の視点で掘り下げていく小さな雑誌 『うかうか』。編集を担当しているのは、絵本やおもちゃ、オーガニックな食品などを扱っている「クレヨンハウス」の関係者です。

「女子後の生き方」という特集は、自然体で自由に錆びずに生きている人にインタビューをしたもの。男性である僕には女性の身体感覚はわかりませんが、この雑誌を通して、生理や出産にまつわる女性特有の悩みに触れられたような気がしました。

『女になる方法 ―ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記』(青土社)

キャトリン・モラン(著) 北村紗衣(翻訳) 

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音楽ライター、作家、司会者としてイギリスで活躍する著者が「間違った方法で女になろうとした時のこと」を綴ったエッセイ。貧困家庭に生まれ、社会的・文化的圧力のなかで格闘し、もがきながらも懸命に生きていく女性の半生を描いています。

特に惹かれたのは、訳者のあとがき。彼女は故郷である北海道を出て東京大学に進学しましたが、太り気味の体型にコンプレックスを抱え、勉強に打ち込んだそうです。時代も国も違うけれど、著者と同じ境遇を生きてきたことに共感を覚えたことが、文章を通して伝わってきました。

自分の半生をあとがきに書く訳者は珍しいかもしれません。この本はぜひあとがきから読んでもらいたい一冊です。

『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)

小川たまか(著)

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2016年から2018年に起きた、性暴力被害、痴漢犯罪、年齢差別、ジェンダー格差、女性蔑視CM、#metoo運動などについてまとめた書籍です。

週に一度、大学で非常勤講師としてメディアとスポーツについて教えているのですが、メディアでは今でも無意識に男女差別や偏見が拡散されています。例えば2010年のバンクーバーオリンピックでは、スキー・モーグルに出場した上村愛子選手に関する新聞記事の一つに「ミセスらしからぬ『攻撃的な滑り』」という表現がありました。この記事を書いた記者は無意識だったと思うのですが、読み方によっては「既婚女性の役割は守備的であり、控えめにしている方がいい」という受け取り方もできますよね。

このような表現について一つひとつ声をあげていくのは大変なことですが、誰かが光を当てなければ、タイトルの通り「ほとんどない」ことにされてしまう。この本を読んで、マイノリティの視点こそ大切だと改めて感じました。

(東京都台東区寿)
最寄り駅:東京メトロ銀座線『田原町』駅下車 徒歩約2分
営業時間:12時〜18時  月曜定休

(取材・文:華井由利奈、撮影:大澤妹、編集:Duniakita編集部 安次富陽子)

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