辛酸なめ子さんインタビュー最終回

辛酸なめ子さんにペースを保つためにしていることを聞いてみた

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辛酸なめ子さんにペースを保つためにしていることを聞いてみた

長年コラムニストとして活躍している辛酸なめ子さん。連載を多数抱えながら、ネットの動画番組のレギュラーをこなしたり、10月には守護霊をモチーフにしたSF小説『ヌルラン』を上梓したりするなど、活動の場を広げています。

1995年に自身のWebサイト『女・一人日記』を立ち上げ、早くからインターネットで情報を発信してきた辛酸さん。浮き沈みの激しいフリーランスとして活動し続けるのは、相当な努力が必要だったはず。

だけど、辛酸さんはいつも穏やかで、マイペースな印象があります。一時の浮き沈みに一喜一憂せず、安定したペースで仕事を続けるためのマイルールを伺いました。

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前編:小説を書き終えたいま思うこと
後編:友達や寂しさとの付き合い方を考える

ゴージャスライフはできない性分

——辛酸さんは、長い間安定してお仕事をされています。ここまで売れっ子になったらつい浮ついてしまいそうですが、辛酸さんはずっと腰が低くて丁寧な印象があります。変わらない自分でいるために心がけていることはありますか?

辛酸なめ子さん(以下、辛酸):もし100万部とか、大ヒットが出ていたら性格も変っちゃっていたかもしれないですね。それがないからずっと同じテンションでいられるのかもしれません。

——(早速ご謙遜を……)

辛酸:親の影響もあると思います。子どもの頃から厳しくて。好きな服も買ってくれないし、旅行に行くときくらいしかジュースも飲めなかったんです。今は服も自分で好きに選べるようになりましたけど、ゴージャスライフはできない性分ですね。

売れてから高圧的なキャラになって、プラダのシャツとか、ハイブランドを着ていたりする人を見ると、大量のお金を使うことで運気がまわっているのかしらと考える時もあります。

——『ヌルラン』では、34歳で仕事を干されかけているブロガーの主人公・レミの買い物にまつわる悩みが出てきますよね。本当はハイブランドのバッグが欲しいのに躊躇して、結局中途半端な額のバッグを買って後悔するシーン……これ、あるあるです。

辛酸:わたし自身、よく靴で失敗することがあるんです。高い靴を買って、結局靴ずれして履かなくなったりとか。高い靴って、媚びないじゃないですか。ヒールで歩き回ることを想定してないし、タクシーで移動できる人のための靴ですよね。普通の生活している人が履くものじゃないとわかってはいるのですが……。

締め切りの先に、相手の仕事がある

——メンタルを一定に保つために心がけていることはありますか?

辛酸:小さな親切、でしょうか。仕事以外で人のためにいいことするよう心がけていると、うまくメンタルを保てるのかもしれませんね。仕事中心に生活を組んでしまうと、うまくいかないと精神的にダメージをくらいます。あとは、瞑想もしていますね。

——ビジネスパーソンで、瞑想している方多いですよね。効きますか?

辛酸:しないときよりは、死にたくなる回数が減りましたね。昔は、月2〜3回くらい気持ちが落ちることがあったんですけど。

——辛酸さんにもそんな時があるなんて、ちょっと驚きました。フリーランスとして活躍し続けるのは大変な努力が必要だと思うんです。辛酸さんが仕事をする上でのマイルールは?

辛酸:まずは、締め切りに遅れないことですね。自分の先に作業をする相手の都合を考えること。作家の場合、単行本だと締め切りはあってないようなものですが、連載や普通の単発の原稿依頼は前倒しで提出するようにしています。あとは、金額を仕事のモチベーションにしないことです。

——ギャラをあまり気にしないんですか?

辛酸:各社から届く支払書などの書類は、薄目で見るようにしてます。届いたら、税理士さんにまとめて渡しますね。「あの仕事、あんなにがんばったのに1万円だったんだ……」と思うと、その時点でテンションが下がってしまいますから。楽しくやっている仕事なら、それでいいなと思うんです。

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実りのない飲み会は一次会で切り上げる

——なるほど。全体の額は把握しつつも、個別の案件の額は気にしないんですね。仕事絡みの飲み会についてはどうでしょうか?

辛酸:飲み会に行くんだったら、情報を得られそうなところにだけ顔を出します。なんとなく、漫然とした時間を過ごすくらいなら、睡眠や仕事にあてたほうがいいと思うんです。悪口などの空気を感じたり、なにも得られるものがないなら、一次会ですぐ切り上げます。

——潔いですね。

辛酸:けれど、何か面白そうだと思ったら仕事と直接は関係ない飲み会にも行きますよ。例えば、あまり出会わないような外資系金融の変わった人たちと会えるとか。そういう場では実は、さりげなく発言をメモしているんです。

——辛酸さん、取材中のいまもこまめにメモを取られています。まるでこちらが取材されているみたいです。

辛酸:今回の作品にも、パーティーで出会った人たちの発言を活かしているんですよ。なんでもネタにするぞ、という気持ちでやっているわけではないんですけど、楽しいことがあればコラムになりますから。仕事のため、と思うと大変ですけど、そこは意識しすぎないようにしています。

(取材・文:小沢あや、撮影:大澤妹、撮影協力:、編集:Duniakita編集部 安次富陽子)

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