たかはしみきさん インタビュー 最終回

一度は出産したから大丈夫と思っていたけど…39歳で私が不妊治療をやめるまで

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一度は出産したから大丈夫と思っていたけど…39歳で私が不妊治療をやめるまで

イラストレーターのたかはしみきさんが“閉経が近づいている”とわかったのは39歳のとき。たかはしさんは当時、2人目の子どもの不妊治療中だったこともあり、なかなかその事実を受け入れられなかったそうです。

最終回となる今回は、不妊治療をやめるまでについてお話を聞ました。

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ひと月に2回やってきた生理

——日々忙しく働いていると、つい自分の身体の変化に疎くなってしまいます。たかはしさんが最初に、「閉経が近づいている」というサインに気づいたのはいつでしたか?

たかはしみきさん(以下、たかはし):「あれ?」と思ったのは、ひと月に2回生理があったときでした。あとから早発閉経の専門医に聞いたところ、頻発月経だった可能性もある、と。

——頻発月経?

たかはし:ホルモン分泌の乱れや卵巣機能の低下が要因となり、月経周期が24日以下の短いサイクルになることです。

卵子は徐々に減っていくのではなく、閉経間近になると、出血大セールみたいに一気に減っていくことがあるそうです。頻発閉経はそのサインで、私は産後の生理再開も早かったので、「その頃からすでに、卵巣が大量に卵子を減らそうとしていたのではないか」と医師に言われました。

「一度産んでいる」という思い込みの罠

——たかはしさんが、自分が早発閉経だと知ったのは2人目のお子さんを希望していた時だったそうですね。

たかはし:はい。年齢のこともあったので「不妊治療ができる産婦人科」→「体外受精の専門クリニック」→「早発閉経の専門病院」の順に通院していました。最初に通っていた産婦人科では、排卵直前でしかホルモン値を測る血液検査を行っていなかったこともあって、結局、早発閉経がわかったのは、2つ目の体外受精の専門クリニックでした。

——もう少し早く気づけたら……と思ってしまいます。

たかはし:私の場合はどこへ行っても医師に「自然妊娠で一人産んでいるんだから大丈夫」と言われ、早発閉経の可能性が見過ごされてきた部分が大きかったんです。自分からお願いしてFSH検査をしてもらったこともありましたが、今考えれば明らかにおかしい数値なのに、「生理があるなら大丈夫でしょう」と言われて、鵜呑みにしてしまったんですよね。

結局、2つ目の病院でも一度は体外受精ができたものの妊娠にはいたらず、その後は、受精卵はおろか卵子を得ることすらできずに時間だけが過ぎていきました。

——セカンドオピニオンは頭をよぎりませんでしたか?

たかはし:当時は考えていなかったですね。通っていたクリニッk区が高齢の人たちから”最後の砦”とも言われるところだったのもあり……。39歳までは生理周期も安定していて、流産ではあったものの、最初の妊娠は「避妊解禁一周期目」にできたくらいで、トラブルを感じませんでした。一人目のときに受けた不妊検査もすべてクリアしていたので、「自分は妊娠できる体なんだ!」という思い込みがあったんです。

しかも周りに、40歳以上で2人目、3人目を産んでいる人たちもいて、「一度は出産したわけだし、自分も同じ年齢なんだから大丈夫!」という変な自信だけがあったんですよね……。

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「妊娠できました!」にすがりたかったけれど…

——「早発閉経」のことはどのように、受け入れたのでしょうか?

たかはし:2つ目の病院で複数人いる医師の一人に、「あなたの卵巣は卵子が育つ環境にない。何度も治療を続けるのは難しいかもしれない」というようなことを言われたんです。

そこで初めてズバーンと衝撃を受けて、よろめきながら家路についたのを覚えています。バスの中で自分と似たような症状をスマホで検索して出てきたのが、40歳以下で自然閉経を迎える「早発閉経」について書かれたブログでした。

——それを読んで、自分もそうかもしれない……と?

たかはし:そうですね。ただ、これは妊活の罠だと思うんですけど、私と同じようなホルモン値の人でも妊娠できる人ってやっぱりいるんです。人間の心理としてはやっぱりそっちを信じたくなってしまう。「早発閉経かもしれない」という不安に、「妊娠できました!」というハッピーな報告が勝ってしまうんです。

当時は、「大丈夫大丈夫、私だってきっとできるはずだから」「今この周期にも妊娠するかもしれない」という風に思い込んでいました。

——そこから治療をやめようと思ったのは、どんなタイミングだったのですか?

たかはし:私の場合、年齢も含め諦めざるを得ない状況だったんですよね。3つ目に通っていた早発閉経の専門病院でも不妊治療は続けていて、弱った卵巣に注射を打ちながらなんとか動かしていました。それが、ある日を境に、注射を打ってもうんともすんとも言わなくなってしまって。

本音を言うと、「もう少し卵巣が元気なうちから積極的な注射や体外受精を試しておけばよかった」いう気持ちはあります。ただ、これも運命ですよね。早発閉経になったことでむしろ、治療をやめる決心ができた部分もあると思っています。今は「できることはやった」という気持ちがあるので後悔はしていません。

——最後に読者にメッセージをお願いします。

たかはし:私が妊娠できなかった要因のひとつは早発閉経でしたが、早発閉経でも妊娠・出産できた人も確実にいらっしゃいます。早発閉経になってしまうと、妊娠しにくくはなるけど絶対に妊娠できなくなる、というわけではないので、そういったこともみなさんに知っていただきたいなと思います。

(取材・文:武末明子、編集:Duniakita編集部 安次富陽子)

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