「摂食障害って何?」第1回

女性の1割が過食症の疑い…「摂食障害」ってどんな病気?

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女性の1割が過食症の疑い…「摂食障害」ってどんな病気?

女性誌を開くと毎号のようにダイエット特集が掲載され、スマホを開くと「〇〇が激やせor激太り」といったネットニュースの見出しがおどっています。

“女性の体型”は女性自身だけではなく、どうやら他者や世間にとっても「放っておけない」案件のようです。

一方、自らを振り返って見ても体重を気にして無茶なダイエットをしてみたり、ストレスがたまって暴飲暴食してしまったりした経験はあること。しかし、「さすがに異常かも……」と自分の食行動に疑問を持ったことはありませんか?

普通に食事をとることができない「摂食障害」という病気があります。大きく「拒食症」と「過食症」に分けられ、行きすぎたダイエットや、意志が弱い食いしん坊の症状だと誤解されがちですが、厚生労働省が難病指定する精神疾患です。実は女性の約1割が何らかの食の悩みを抱えているといいます。

その背景にあるのは、上手くストレスに対処できない性格や、こだわりの強さ、まわりに気をつかう敏感さなど、誰にでも心当たりのあるちょっとした無理の蓄積。

「なんだか変な食べ方しちゃうんです」——決して他人事ではない食の悩みについて、一般社団法人日本摂食障害協会の理事を務める政策研究大学院大学 保健管理センター教授の鈴木眞理(すずき・まり)先生にお話を聞きました。

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女性の1割が過食症の疑い ストレス発散の手段に

——「摂食障害」というと、たとえば、ファッションモデルが極端な食事制限による痩せすぎで命を落としたり、最近では、フィギュアスケートのユリア・リプニツカヤ選手が拒食症を理由に引退したりと、特殊な世界の人がなる病気というイメージがあるかと思います。あと、ダイエット願望が強すぎてガリガリに痩せても食事を取らない若い女性など、女性特有の病気のような印象も。実際、摂食障害の女性というのは、どのくらいの割合で存在するのですか?

鈴木:まだ疫学調査はされてないのですが、いろいろな機関が調べたデータを合わせてみると、だいたい、20代、30代女性の0.5%から1%が拒食症で、その5倍から10倍の過食症患者がいるといわれています。

——過食症は約1割もいるんですね。拒食症は、極端に痩せていくので周囲が病気に気付きますが、過食症は体重増加を恐れて吐いたり、下剤を使ったりするので、変化がなくて他人には分かりません。

鈴木:過食症の人はほとんど病院を受診しないので、正確な数字は分からないんですけどね。病気の診断基準に当てはまる、当てはまらないは置いておいて、異常な食行動をする人は1割弱いるんじゃないかしら。過食って、ある意味お楽しみになってる部分があるの。治したいけど、治されたくない気持ちもあるから、病院に来ないのよね。

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——実は私も、学生時代から約20年間、摂食障害(過食嘔吐)なんです。ここ10年くらいは、本当に過度なストレスを感じたときだけ、それを解消する術として症状が出る形でコントロールできているのですが……。

鈴木:コントロールできていれば、それでいいと思いますよ。使う・使わないは別として、頭の片隅にひとつのストレス解消法として「過食嘔吐」があるって感じよね。

——そうですね。だから、病院にも行っていませんし、周りは私が摂食障害だと言わなければ分からないと思います。ビュッフェなどに行くと、1人や2人は「摂食障害かな?」という、おかしな食べ方をしている女性が目に入ります。実は結構いるけれど、そうでない人には全然理解されていない病気という気がします。

鈴木:男の人も深刻よ。「拒食症」と「過食症」*は分かるわよね。それに加えて、2013年に「過食性障害」という新しい概念ができたの。これは、むちゃ食いはするけど、吐いたり、下剤を使ったりしない。食べたっきりという症状で、患者さんは半分が男の人。

*「拒食症」:普通に食事をとらず、極端に痩せる病気。食べたあとで、嘔吐や下剤の服用により痩せている場合も。いくら痩せても「太っている、痩せたい」と思い、太ることへの恐怖心が強い。
「過食症」:食べたいという衝動から、意に反して大量の食品を短時間に食べる発作を繰り返す。あとで嘔吐や下剤を服用して出す場合と、そうしない場合がある

真面目でストレスを溜めている人がなりやすい

——摂食障害というと、女性の病気というイメージがありました。

鈴木:裁量権のないポジションでお仕事をしている人が多くて、大人しくて、真面目で、頑張ってるんだけど、ストレスから家に帰ってわーっと食べちゃう。それで終わりじゃなくて、夜中に目が覚めて、また食べちゃう。飲んで、寝て、起きて、ラーメン食べて……みたいな生活だから、肥満になっちゃうでしょ? それでメタボリック外来などを受診して、「言うことを聞かないメタボ」と言われてしまう。

——本当は精神疾患なのに、ただのメタボ扱い……つらい!

鈴木:「なかなか言うこと聞いてくれませんねー」とだけ言われて、診察が終わっている可能性がある。だけど、原因はストレスだから、本当はそれを取り除かなくてはいけないんです。そう考えると、摂食障害の中年男性もいっぱいいるんじゃないかしら。

——世間的には、思春期など、若い女性がなる病気という印象ですよね。

鈴木:今は小学生でも発症しますよ。28歳以上は「高齢発症」と私たちは言うんだけど、28歳くらいで発症する人もいっぱいいるし、30歳を超えて発症する人もいる。そういう人は、若い時に少し症状があって、再発した場合が多い。どの年齢でもあり得ると思います。

一番多いのは思春期の後半、高校生から大学生くらいで発症するケースですけどね。基本的にこの病気は、自我が目覚めてからの病気ですから。大きな精神的ダメージや挫折、「上手くいかないのはどうしてだろう?」という悩みを経験しないと、ならないはずなんです。

——次回は摂食障害になりやすいのはどういう人なのか、教えて下さい。

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※次回は10月23日(火)公開です。

(取材・文:新田理恵、写真:矢野智美)

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