サクちゃんインタビュー最終回

考える入り口は「不足」から…“自己肯定感低め”の私が開業できた理由

SHARE
考える入り口は「不足」から…“自己肯定感低め”の私が開業できた理由

「でも」「だって」会話の中で、そんなネガティブな言葉が出てきてしまうことがありませんか? それって、自己肯定感が低いせいなのかもしれません。

カラフルでかわいいクッキーが話題となり、TVをはじめたくさんの取材がくるようになった渋谷区・富ヶ谷のクッキー店「SAC about cookies」。お店を経営する桜林直子さんは、もともと自分に自信がなかったそう。

「シングルマザーだから、たくさんの制約がありました。でも、子どもの選択肢が狭まることを自分のせいにはされたくなかったんです」と話す桜林さん。

自分の思考を整理するためにSNSにつづった文章がきっかけとなり、たくさんのファンをつかみました。noteの投稿も話題になった“サクちゃん”こと桜林さんに、行動に制約がある中でも、自分に自信を持ち、豊かに生きるためのヒントを伺いました。

180828-163

無理してまで自己肯定感を高めなくてもいい

——前回のインタビューでは「もともと自分が何ができるのかわからなかった」とお話されていました。それでも自分ができることを言語化することで、自己肯定感が上がっていったのでしょうか。

もともと自己肯定感が低い人間なんです。「どうせ私は……」という卑屈な気持ちが強かったし、自分に自信がないという自覚すらもっていませんでした。

——今の桜林さんは、堂々とした明るいイメージなので意外です。

自己肯定感が低い人っていっぱいいますよね。話を聞いてみると、だいたいは家庭環境とか、子どもの頃の経験がきっかけになっていたりするんです。でも、変えられないことを悔やんでもしかたがないですよね。過去に戻ってやり直すことはできないので。。

——前向きになったのは、何かきっかけがあったんですか?

状況や環境は変わらずに、考え方を変えただけですね。自己肯定感が低いままでも、楽しむ手段はあるし、無理に高めなくてもいいと思うんです。ネガティブな人がいきなり「自分最高!」なんて、思えないから(笑)。

180828-045

自己肯定感が低い人ならではの強みがある

マイナスからスタートできるのは、自己肯定感が低い人の強みですよ。

——どういうことですか?

不満の裏には、「本当はこうしたい」という思いがあるので、思考をひっくり返すといいと思っています。いきなり行動を変えるんじゃなくて、角度を変えて見てみればいい。自分自身のどこに光をあてるか、が大事だと思うんです。

——うまくいっていない時って他人に目を向けがちだけれど、あくまでも自分に向き合えばいいんですね。

もともと自己肯定感が高い人って、どんな自分でも愛されることを知っているので自分自身には執着していないんですよね。自己肯定感が低い人は「自信はないけど自分とは向き合っている」っていう場合が多い。自分のことをめちゃめちゃ考えるというのは、いいことですよ。自分の中で結論が出ちゃって、他人の言うことの耳を向けない、頑固な人もいるけど。

180828-074

——それ、ちょっと身に覚えがあります(笑)。

不満や不足があるからこそ、できることもあります。私はシングルマザーだということによって「子どもの選択肢が減るのを私のせいにされたくない」という思いが強いんです。なので、そうならないように稼ぐ方法を必死に考えました。考える入り口は「不足」からなんですよね。子どもにも、「自分のことは、全部自分自身で決めて」って、ずっと言ってます。そこだけはスパルタだったかもしれません。

——お子さんの教育方針にもつながってるんですね。

「親がほっといてもやること」が、本人が一番得意でやりたいことなんだと思うんです。うちの子(「あーちん」名義でイラストレーターとして活躍中)、放っておくとずっと絵を描いてるんですよ。でも、お絵かきって、小学校ではあんまり褒められなかったんです。なので、学校の外で褒めてくれる人を探しましたね。「誰とだったら目があうかな?」って。

——場所を変えるだけで、評価も変わりますからね。

小学校も「個性を伸ばす」というミッションを掲げながらも、実態は追いついていないんです。できない子は持ち上げてもらえるけど、ある程度できる子は放置されてしまう。

——昔から、あんまり変わってないんですね。

特別扱いを徹底的にしない感じですね。ピアノを上手に弾ける子がいても、伴奏は先生がやるんですよ。誰かひとりが目立たせるようなことを、あんまりしないんです。なので、学校以外の場所に、子どもの居場所をつくるようにしました。私以外にも、褒めてくれる人や居場所がないとだめだなって。

——大人もそうかもしれませんね。家や会社以外のコミュニティがあれば、うまくバランスをとれる。

閉鎖的な環境だと、無意識のままに自分自身を抑圧して、光を選ばないようにしていることもあります。自分が大切にしたいことや、やりたくないことを把握して、説明できるようにすると、状況も変わるんじゃないかな。感情を整理するスキルが身につけることが大事ですね。

180828-068

いつでもやめられる状態でいること

——どんな状態で過ごすことが心地いいのか、普段から把握しておくことが大切ですね。桜林さんは、noteでの発信や、Instagramで毎日更新しているお子さんのお弁当作りなど、継続が得意な方なのかなと思います。そういう日々の小さな成功体験も、自己肯定感を高めることにつながりますか?

文章は、書いてみたらいいことがたくさんあったから、たまたま続いただけなんです。私、どちらかというと飽きっぽくてすぐやめちゃいますね。結婚生活だって、すぐやめちゃった(笑)。生活していく上で「こりゃ、続けないほうがいいや」ってお互い思ったので、24才でスパッと離婚しました。

——判断が早いんですね。

もともと、子どもができたから結婚したんですよ。産むことだけは決めていたから、「永遠の誓いとかよくわかんないけど、結婚はする」っていう感覚でスタートした夫婦生活でしたね。なので、結婚式も挙げなかったし、指輪もナシ。だから、想定内離婚だったかもしれません。もともと私には「続けなきゃいけない」という思想がないから、我慢することもないんですよね(笑)。

——思考がとても柔軟なんですね。

自分さえ我慢すればよく回るかもしれないことってあるけど、私はそれができないんです。継続すること自体が目的になったら、意味がないですよね。数年後のキャリアプランも、ゼロなんですよね。この先こうやって積み上げていこうとか、考えたことがないんです。その時その時で、「なにが好きか、なにを変えるか」くらいは考えるけど。良くも悪くも、目標に向けて頑張れないんです。

——そもそも何のために働くんだっけ? ということに、立ち戻ったほうがいいということでしょうか。

本当に自由になれたとしても、その瞬間に、選択肢が多すぎて自分が何をしたいのかわからなくなっちゃう人もいますよね。能力があったらあったで、あれもしたい! これもしたい! 時間が足りない! ってなっちゃうのかもしれません。そんな状況でも、自分で選ぶ癖をつけておくことが大切だと思います。

東京・富ヶ谷にあるクッキー店「SAC about cookies」で販売しているクッキー

東京・富ヶ谷にあるクッキー店「SAC about cookies」で販売しているクッキー

(取材・文:小沢あや、写真:矢野智美)

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

考える入り口は「不足」から…“自己肯定感低め”の私が開業できた理由

関連する記事

編集部オススメ

仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。その両立って本当に必要?改めて問い直すキャンペーンが始まります。

後悔のない30代を過ごしたい。ありとあらゆる分野のプロフェッショナルに、40歳から自分史上最高の10年を送るために「30代でやっておくべきこと」を聞いていきます。

記事ランキング