若宮正子さんインタビュー 第6回

「最後までやり抜かなければ」というプレッシャーとどう向き合う?

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「最後までやり抜かなければ」というプレッシャーとどう向き合う?

一度決めたことはやりぬかなければという思考がプレッシャーになって、新しい一歩を踏み出すことをためらう女性は多いのではないでしょうか。

そんな悩める女性たちの背中を押すのは、「有り余っているものは“好奇心”、足りないものは“時間”」と話す、世界最高齢のプログラマー若宮正子さん。82歳で高齢者向けのアプリを開発して一躍時の人になりました。

このたび『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』(ぴあ株式会社)を上梓した若宮さんに話を聞きました。6回目である今回は、「常識破りの挑戦に必要なマインド」です。

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挑戦だと思わなければ「ハードル」もない

——若宮さんは、83歳になった今でも、新たなことに挑戦し続けています。ただ、一方では「一度始めたら最後までやり抜かなければ」というプレッシャーから、あと一歩が踏み出せない女性たちもいます。殻を打ち破るために必要なマインドとはどのようなものでしょうか?

若宮正子(以下、若宮):私がプログラミングを始めたことに対して、「よく決断されましたね」と言われることがあるのですけれど、「どうしてプログラミングをやるのに決断なんてしなければならないの?」といつも思うんですよね。

もしも私がいまスキューバーダイビングを始めるとしたら、医師と相談する必要がありますよ。でも、プログラミングを始めたって誰が死ぬわけでもないのだし、やってみて飽きたらやめればいいし、そもそも決心とか決意とか、そういうものではないと思うんですよね。

——たしかにおっしゃる通りかもしれません。ただ、特に仕事においては、周囲からの評価もあって、自分自身、二の足を踏んでしまうことが多いような気もします。

若宮:「すでに手付金をもらっている」「誰かと約束している」という状況であればプレッシャーも感じるかもしれませんね。ただ、私は幸いにしてそうした状況ではありませんでした。いつも好奇心でやっているものですから、「好奇心が追いつかなくなったらそこでやめればいい」という考えでいます。

——若宮さんからは、「挑戦することへのハードルの低さ」のようなものを感じます。どうしたらそんな風になれるのでしょうか?

若宮:私はそもそも「挑戦」したことがないのです。何でも「面白そうだからやってみようかな」というくらいで。20年ほど前、あるお料理コンテストに入選したときもそうでした。料理なんて別に、得意でもなんでもなかったのですけれど、ちょっと母に食べてもらってみたら美味しそうに食べているから、「面白そうだし出してみよう」と思ったのです。だって、レシピをテキストで作ってあとは写真を添えて出せばいいのだし、手間もかからないでしょ?

そのときにはカボチャとドライフルーツの茶巾絞りを作ったのですけれど、実際には、ちょっと柔らか過ぎたから粉を足して何とか写真を撮りました。それが入賞したときには仲間たちと笑いましたね。だから、まったく挑戦なんてしていないのです。

他人の“常識”に触れると、自分の“常識”が見えてくる

——本の中で、若宮さんは「常識」よりも好奇心を優先してきたと書かれています。そもそも、常識に囚われていることにすら気づけない場合、どうしたらそのための“気づき”は得られるでしょうか?

若宮:そうですね。これまで私は自分の人生を生きてきたのであって、人と比較するなんて考えもしなかったのですけれど、今になっていろいろな人たちとお話しさせてもらう機会を得て、「私の人生以外にも、人生にはいろんなパターンがあるんだな」ということに気づきました。

だから、もしかしたら自分の常識が、世界の常識や友達の常識と同じとは違うパターンだと感じることもあるかもしれません。でもそれはいい悪いではなくて、「それぞれ違う」というだけのことです。

友達とそのことについて語り合ってみたりすることが大切なのですが、もし、話し相手がいないのなら、本を手に取ってみたりするのでもいいかもしれませんよね。見識を広げてみるんです。だって、人の数だけ「常識」ってあるみたいですから。

(取材・文:武末明子、撮影:面川雄大)

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