若宮正子さんインタビュー 第4回

88歳の兄とSNSで生存確認。世界最高齢プログラマーの気ままな一人暮らし

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88歳の兄とSNSで生存確認。世界最高齢プログラマーの気ままな一人暮らし

クオリティオブライフを考えた時、「孤独死は怖い」と考える女性は多いようです。しかし、「ひとり暮らし=孤独」と簡単に結論づけられるものでしょうか?

そんな悩める女性たちの背中を押すのは、世界最高齢のプログラマー若宮正子さん。82歳で高齢者向けのアプリを開発して一躍時の人となりました。

このたび『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』(ぴあ株式会社)を上梓した若宮さんに話を聞きました。4回目の今回は、「終わりのないひとり暮らしに怯えない思考術」です。

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独居老人が寂しいなんてウソ

——『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』の中には、「“大蔵大臣兼総理大臣”の独居老人ライフをエンジョイしましょう」という章があります。若宮さんに独居老人のイメージを明るくしてもらい、将来に希望を持てた人も多かったのではないでしょうか。

若宮正子さん(以下、若宮):私は銀行を退職して「さあ、なにからやろう!」と思った矢先に母を介護することになって、母を看取って独居老人になりました。けれど、考えようによっては、一人だからこそ好きなものを買えるし何でも自分で決められるんです。私は用事があれば早起きをするけど、作業がはかどらなければ夜更かしもしますよ。

——誰にも咎められないって気楽でいいかもしれません。

若宮:そうなんです。独居老人ときくと一日中家にこもっている寂しい人のように思われがちですが、私は家にいてもオンラインでメールや、Facebook(フェイスブック)などのSNSでも盛んにやりとりをしているので、寂しい思いなんてしたことがないんです。生存確認をする相手には、インターネット上で88歳になる兄もいますしね。

——お兄さんも88歳でインターネットをされているんですか!?

若宮:兄もまた好奇心の塊のような人なんです。熱中症が心配されるような日でもあちこちに出かけては、そのレポートをフェイスブックにアップしたりして。私は20年も前にメロウ倶楽部というインターネット上の老人会を仲間と一緒に立ち上げたのですが、兄とはその同期。一般教養をはじめ趣味の俳句やコンピューターの使い方までそこで習っていたので、兄とは同じように歩んできた、まさに同志のような存在です。

「リケ老」が未来の老人像を変える

——そもそも若宮さんが、パソコンを購入したのは60歳を過ぎてからですよね。それには何かきっかけがあったんですか?

若宮:60歳で銀行を退職したときにパソコンを衝動買いしました。それからは、とにかく「ネットにつながる」ことだけに一点集中。「ネットにつながれば、母の介護で一歩も外へ出られなくても、世界とつながることができる!」と思ったものですから。

——その発想がすごいです。新たなことを始めるのを嫌がる年輩の人たちも少なくないですよね。

若宮:たしかに、シニアの人に「パソコンを始めない?」と言っても「とてもじゃないけど、そんな勇気がない」っておっしゃる方は多いです。でも、私はシニアにこそデジタル機器が必要なんじゃないかと思っているんです。

たとえば、これから先、冷蔵庫や洗濯機までインターネットにつながる時代になれば「スマホやパソコンが使えません」では済まなくなると思いませんか? 家族だって、帰りが遅いときや災害のとき、本人のスマホに連絡がつけば安心です。だから、今はリケ女ならぬ「リケ老」を増やしていきたいと思って活動しているんですよ。

——それにしても、若宮さんは次々と新たな挑戦をされています。そのエネルギーはどこから湧いてくるんですか?

若宮:私の元気の源は、「お友達パワー」によるものだと思います。メロウ倶楽部のメンバーをはじめ、私は本当に “友達運”がいいんですよね。お友達と会って一緒にいろんなことに取り組んで、みんなにパワーをいただくことが、私の力になっています。

——若宮さんのお人柄が、「友達運」を引き寄せている部分もありますよね。

若宮:運を引き寄せる人っていうのはいるとは思うけど、私は、それって解釈の仕方もあると思っているんです。つまり、「私は恵まれている」「運がいい」って思えるかどうかは本人次第ですから。考え方によっては、誰でも運を引き寄せられると言えるのではないでしょうか。

(取材・文:武末明子、撮影:面川雄大)

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