若宮正子さんインタビュー 第2回

「まったく失敗のない人の旅行記なんて面白くない」リスク回避志向の貴女へ

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「まったく失敗のない人の旅行記なんて面白くない」リスク回避志向の貴女へ

決して器用なタイプじゃないから、できるだけ失敗したくない。失敗を恐れて新しいことに挑戦できずにいる人も多いのではないでしょうか。

そんな悩める女性たちの背中を押すのは、世界最高齢のプログラマー若宮正子さん。82歳で高齢者向けのアプリを開発して一躍時の人になりました。

このたび『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』(ぴあ株式会社)を上梓した若宮さんにうかがったお話を全7回にわたってお届けします。今回は、「漠然と感じる、満たされなさ」について聞きました。

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<第1回>芽が出なくても種を蒔く理由

30代女性が抱える「飢餓感」の正体

——若宮さんから見て、今の30代の女性ってどんな印象がありますか?

若宮正子さん(以下、若宮):ずいぶんしっかりしているなと思います。仕事もきちっとやるし、物の考え方もしっかりしていて。ただその一方では、どこか「飢餓感」のようなものを感じることもあります。

——飢餓感……。それはハングリー精神というようなものではなく、「どこかいつも満たされていない」という意味ですね。

若宮:そうですね。私たちの時代を振り返れば、2018年の今とは違って、なんでも「やむを得ない時代」でした。戦時中は、三度のご飯が食べられなくてもやむを得ない。戦争が終わってからも、結婚したら仕事は退職するのも暗黙の了解で、女性で40歳を過ぎて働く人なんてほんのわずか。万が一55歳の定年まで働いていたりすると、お局さんどころか更にその上の「刀自(とじ)さま」なんて陰口を言われていました。

——若宮さんの幼少期やアラサー期と比べて、私たちにはたくさんの「選択の自由」がありますね。

若宮:だから不思議なんですよ。自分の人生を選択できる自由があるのですから、もっと好きに生きてやりたいことをやればいいのにと思うのです。

成功と挫折を決めるのは自分自身

——自分で可能性を狭めてしまっているのかもしれないですね。やっぱり、根底には失敗や挫折を恐れる気持ちがあるんでしょうか。前回も触れましたが、「いつ芽が出るかもわからない種は植えたがらない」という、リスク回避の思考が先立ってしまうのもそのためなのかも。

若宮:本当は、何かを始めるたび、成功や挫折なんて言葉を持ち出すこと自体がオーバーな気もしますよね。やってから考えればいいし、出来損なったならそれをネタにしてみんなで一緒に笑えばいいだけ。成功と挫折なんて表裏一体なのですから。

——成功と挫折は表裏一体……どうしてそう思うんですか?

若宮:それは、自分の行動の結果を挫折と捉えるかどうかは本人が決めることであって、それってあくまで主観なんです。

大昔に活躍した相撲の双葉山が69連勝していて70勝を目前に負けてしまったけれどそれは挫折でしょうか? 将棋の藤井聡太さんが最多連勝記録がストップしたら、挫折だと感じますか? そもそも自分に起こった出来事を成功と見るか挫折と見るかなんて、その人次第ですよ。

——なるほど。結果はあくまで結果でしかなくて、そこに意味付けしているのは自分だということですよね。そう考えると、不思議と新たなことを始めるハードルが少し下がるような気もします。若宮さんは何かを始めるにあたって、失敗を恐れたことはないんですか?

若宮:私は失敗とは、“恐れるようなものではない”と思っているんです。旅行記を読んでいたって、まったく失敗のない人の旅行記なんてちっとも面白くないですよね。無事故を誇るパックツアーに参加したって「きっと面白くないだろうな」と思います。やっぱりハプニングがないと! 人生において失敗なんて一つの財産なのですから。

(取材・文:武末明子、撮影:面川雄大)

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