安彦麻理絵×吉田潮 対談3

年下への「経験値マウンティング」にご注意 老婆心を発動させないために必要なこと

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年下への「経験値マウンティング」にご注意 老婆心を発動させないために必要なこと

イカした「ババア」になるためのアレコレをつづったエッセイ『ババア★レッスン』(光文社)を上梓した安彦麻理絵さん(49歳)と、親友のライター・吉田潮さん(46歳)に、「ババア」についてお話をうかがいました。

おふたりがあえて「ババア」という言葉を使うのには、女を傷つけるための言葉をポジティブな文脈で使っていって、“呪い”を解きたいという思いが込められています。

「おばさん」より躍動感があって、人間的な面白みと自由さを感じる「ババア」になるために必要なこととは?

安彦さん(左)と吉田さん(右)

安彦さん(左)と吉田さん(右)

ババアの鉄則「老婆心を出さない」

——前回、下の世代に向けて“呪い”を解く側でありたい、という話が少し出ましたが、ほかに何か気をつけていることはありますか?

吉田潮さん(以下、吉田):老婆心を出さないこと! 『ババア★レッスン』に登場したレジェンドババアのDJスミロック(餃子店経営・82歳のDJ)なんかは、老婆心ゼロじゃない?

安彦麻理絵さん(以下、安彦):あ~!! 確かに老婆心ゼロだわ!

吉田:「老いたババアとして、若い人にひとこと言わせてもらうけど」みたいなのが、まったくないの。

安彦:前にスミロックとご飯食べた時、印象的だったのが、過去の話をしないんだよね。今とその先にやりたいこととかの話がメインで。同席してたスミロックと同世代の男性は過去の自慢話ばっかしてたから、そのコントラストがすごかった(笑)。

ほんと、スミロックはレジェンドだよね。お店で働いた後、深夜1時にクラブでDJやる82歳って、どーなってんのよ(笑)。なんであんなに元気なの!?

吉田:それは自分を貫いてきたからじゃない? すごい大変な時代のなかで、自分を主語にして生きてきたからだと思うんだよ。

あの世代なんて、結婚して子供産んで家族に尽くして当たり前、男の三歩あとに下がってついていくのが当たり前って時代なわけじゃん。それなのに世間体じゃなくて自分を主語にして生きてきたから、今のスミロックがいると思うんだよね。

聞かれたら応える。自分からは言わない

——「老婆心ながら……」って枕詞が来たら、ぜったい構えちゃいますよね。

吉田:経験値マウンティングだもんね。応戦の構えをとりたくなるのもわかる。

安彦:某女優のエッセイなんて、「ちょっと若い子たち、聞いてくれる?」の嵐よ? 老婆心だらけ(笑)。経験を積むと、なんか老婆心を発動させたくなるのね。

吉田:でも、30代のうちはギリギリ「すごい~!」とかで済んでたものが、40代以上になると済まなくなるじゃない? それで、それなりの見解を述べなきゃいけないって思いこんで、去勢を張ってしまって、経験値マウンティングにつながることもあると思う。

安彦:経験値を求めてくる人もいるから、そのときはそれなりの見解を述べたいとは思う。でも、「聞かれたら応える。自分からは言わない」が鉄則だね。

吉田:インターネットツールとか、ものによっては若い子のほうが知ってたりもするんだから、そういうときに「教えて」って言えるようにもしておきたいわ。

——私、結婚も出産も離婚も、人生のイベントごとを全然してきていないので、このまま40代、50代になったときにどうなるのか、若い人に相談されたときに語れるものがあるのかと少し不安です。

吉田:でも、恋愛とか、自分だけの経験はあるでしょ? それで十分じゃない?

安彦:そうそう、人生のなかでお祭り的出来事がある人ほど老婆心を働かせちゃうんだから、それがない状態で人と接することができるのは、すごくプラス。

吉田:あ、でも、私も子供がいないから、PTAとか保護者会みたいな、いままで絶対にかかわらなかったであろう人と接するコミュニティに入ったことがないのね。そうすると、世界は狭まっていくのかなとも思う。だから意図的に、年下も年上も広い範囲で交友関係をつむいでいかないと。

安彦:えー! やらなくて済むならそのほうがいいって。ストレスのない人間関係でいるのが一番よ。

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熱中できるものがある人になりたい

——安彦さんは、40歳過ぎて着物にドはまりしているそうですが、それもいいババアライフを過ごすために必要なことでしたか?

安彦:繰り返しになっちゃうけど、趣味があると更年期がラクなのよ! 寝ても覚めても着物のことばっか考えてるから、更年期を心配する暇がないみたい。

吉田:「あの帯留めがほしい!」とか、そういう欲求が、仕事のモチベーションにもなるしね。

安彦:あと、趣味がないと、子供の教育とかそっちだけに走る場合もあるからさ。私、前にアルコール依存症の人のための断酒会っていうのに好奇心で行ってみたことがあるんだけど、そこにすっごい上品な女性がいて、「息子が社会人になったとたんに何をやっていいかわからなくなって、それでお酒飲むようになってしまって……」って言ってたんだよ。

吉田:「空の巣症候群」だ。それでアルコール依存になる人、多いらしいね。

安彦:そうならないためにも、熱中できるものを!

吉田:語れるものがあるっていいよね。自分の文化がある人。私、それがないのがコンプレックスで、60歳までに自分の文化を見つけたいとは思ってる。何か熱中できるものを見つけなければ、語れるババアになれないなあって。

――何かに熱中できないという感覚、わかります。上には上がいると思うと、どこかで冷めてしまうというか、先が見える感じがあるんですよね。

吉田:そうなのよ。でも、それはもう比べないことだよね。難しいけど。マリエちゃんには着物があってうらやましいな。もう、今後はずっと着物ババアとして邁進していく感じ?

安彦:たぶんそうなる(笑)。でも、着物に熱中する反面、ほかのことに対する熱意がぜんぜんなくなっちゃって。たとえば洋服とか、夫が「無印良品行くけどなんか買ってくる?」って言ったら「適当にTシャツ買ってきて」みたいな感じなんだよね。化粧品も、あんなにお金と時間をかけてたのに、いまはもうドラッグストアで買える安いオールインワン化粧水で十分(笑)。

吉田:えーあんなに化粧品買いまくってたのに! 人は変わるもんだね~(笑)。これが年をとるということか! やっぱ年をとるのは面白いね。

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(構成:須田奈津妃、聞き手:Duniakita編集部 安次富陽子、撮影:面川雄大)

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