『手に持って、行こう ダーリンの手仕事にっぽん』インタビュー第2回

「知らないカドっこを知ると人生が裕福になる」“ダーリン”に聞いた幸せのコツ

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「知らないカドっこを知ると人生が裕福になる」“ダーリン”に聞いた幸せのコツ

累計発行部数400万部を超える人気エッセイマンガ『ダーリンは外国人』シリーズの著者・小栗左多里(おぐり・さおり)さんと夫のトニー・ラズロさんが刃物や和紙、器作りに挑戦した様子を描いた『手に持って、行こう ダーリンの手仕事にっぽん』(ポプラ社)が6月に発売されました。

小栗さんの故郷・岐阜県関市を中心に、小栗さんと”ダーリン”ことトニーさんが日常で使う暮らしの道具を手作りしたエッセイマンガです。

小栗さんとトニーさんに話を聞きました。

【第1回】もの作りで自分自身のことが見えてくる

話が尽きないのは「生活以外の会話」があるから

——「とんちんかん」「相槌を打つ」「しのぎを削る」など、今でも使われている言葉が鍛冶や刀からきているというのも面白かったです。

小栗:それほど昔は鍛治が身近だったということなのでしょうね。昔は、包丁やものを作っている現場をその辺で見られたけれど、どんどん作っている現場が見えなくなってきて、大量生産の社会になってしまった。それは仕方がないことなのでしょうけれど、改めて言葉を確認してみるといろいろ考える部分があるというか、語源として知っておくと面白いなと思いました。

小栗さんが作った包丁(左)とトニーさんが作ったチーズナイフ(中央)

小栗さんが作った包丁(左)とトニーさんが作ったチーズナイフ(中央)

——今回の本に限らず、『ダーリン』シリーズには言葉や外国のいろいろなものやコトを発見する面白さや喜びが詰まっていますよね。それが読者への押し付けになっておらず、純粋に知ることや学ぶことの面白さが表現されているなあと思います。

小栗:トニーの人生のテーマが「成長」ですからね。知らないことを知るって面白いし、楽しいし、刺激がある。だいぶ長い間、私たちは一緒にいますけれど、お互いに新しいものを、情報を仕入れて、それについて話をすることで、生活以外での会話があるんですよね。

——生活以外の会話?

小栗:子どもとか、暮らしのこと以外の話です。お互いに会社勤めをしていないので二人で一緒にいる時間が長いんですけれど、お互いに違う世界や違うところから情報を持ってくるから、話すネタが尽きなくて新鮮さがまだあると感じがします。

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「知らないカドっこ」を知っていく

トニー:イタリアでは食後にカプチーノを飲まないんです。

小栗:カプチーノは朝に飲むものなんでしょ?

トニー:うん。人間って宇宙人から見れば、非常に似ていて、それぞれの言語は方言にしか聞こえない。日本語もイタリア語も。だけど、僕たちにとってみれば、互いにだいぶ知らないいろいろな”角(かど)っこ”がたくさんあるんだね。

小栗:「知らない角っこがいっぱいある」。なかなかよい言葉だね。

——いいですね。知らない角っこを知っていく。

トニー:そこで「裕福」になるんですね。

——「裕福になる」とはどういう意味で?

トニー:比喩的に(笑)。「お金持ち」という意味ではなくて。「カプチーノをごはんの後に飲まないのはなぜだろう?」と疑問に思う。必ずしも何かにつながるとは限らないけど、知らないよりは知ったほうがいいですね。接しないより接したほうがいいですね。

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——時々、つながるときがあるじゃないですか。点と点が。

トニー:そうね。だから僕は、スラブ系の言葉はできないんだけれど、「ロシア語できますか?」「ポーランド語できますか?」と聞かれたら「できません」と答えないようにしています。ちょっとは知っているから。

——「できない」「知らない」ってきっぱり言われちゃったら、そこで終わっちゃいますもんね。まったく見当もつかない場合は仕方ないのかもしれないけれど。

トニー:視野を広げて、時間の無駄と思わず、これに触れて、あれに触れて、そこに行って、そこにいる人と話をする、何かについて質問する。そういうことができる人はきっと運がよくなってくるんだよね。

小栗:トニーは、人と話すことが非常に多いんですね。自分から話しかけている。息子に「なぜパパは知らない人にいつも話しかけるの?」って言われるくらい。私は「話しかけないと死んじゃうんだよ、パパは。しょうがないね」って言っていますけれど。

それで、クロアチアの人とか、グルジアの人に会ったりしたときも、彼はいろいろな種みたいなものを持っているんですね。話のチップというかね。そういうちょっとした情報を知っているから、例えばグルジアの人に対してなら「グルジアワインって美味しいらしいね」と話ができてつながっていくんですよね。

——角っこがつながっていくんですね。

小栗:会話といえば、日本人がちょっと苦手というか、傾向として「その場の会話を楽しむ」のがやや少ないかなって思っていて。

——世間話ということですか?

小栗:うーん、素性を知りたがる、みたいな。年齢や職業、どこに住んでいるかを気にしすぎというか、そういうお互いの素性ではなくて、ここにある話題をもう少しできたらいいなと思います。

——相手の年齢とか会社とか素性を聞いて、安心した上で会話スタートというのはあるのかも。

小栗:私も安心したいタイプなんですけれど、もうちょっとわからないまま、その場の話をするっというのもいいんじゃないかなと思っています。

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※次回は8月10日(金)掲載です。

(聞き手:Duniakita編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)

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