『手に持って、行こう ダーリンの手仕事にっぽん』インタビュー第1回

私は何が好きなのか? もの作りで自分自身のことが見えてくる【小栗左多里×トニー・ラズロ】

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私は何が好きなのか? もの作りで自分自身のことが見えてくる【小栗左多里×トニー・ラズロ】

累計発行部数400万部を超える人気エッセイマンガ『ダーリンは外国人』シリーズの著者・小栗左多里(おぐり・さおり)さんと夫のトニー・ラズロさんが刃物や和紙、器作りに挑戦した様子を描いた『手に持って、行こう ダーリンの手仕事にっぽん』(ポプラ社)が6月に発売されました。

小栗さんの故郷・岐阜県関市を中心に、小栗さんと“ダーリン”ことトニーさんが日常で使う暮らしの道具を手作りしたエッセイマンガです。

小栗さんとトニーさんに3回にわたってお話を聞きました。

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「故郷の手仕事」をテーマにした理由は…

——今回、故郷の手仕事をテーマにした理由を教えてください。

小栗:最初は、私の故郷をテーマに本を作ろうという企画案があったんですけれど、読者のみなさんに興味を持ってもらうように描くというのは難しいなと思ったんです。

でも、自分の故郷のことを思い返してみると、関の刃物や和紙とか、すごく身近で日常生活に必要なものがたくさんある。包丁の出荷額は関市が国内の約半分のシェアを占めている。

そういうものを作っている職人さんたちを尊敬する気持ちもありましたし、一方で作っている方たちがもの作りを続けていくのがなかなか難しいというお話を聞いていたので、自分でももの作りをしながら考えたいと思いました。

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——小栗さんとトニーさんが作ったものが並んでいますが、作ってみていかがでしたか?

小栗:すごく難しかったですね。特に包丁はかなり難しかったんですが、数値で言えない、言葉で言えない部分がすごく重要なんだなと思いました。本当に体得ですよね。体で覚えるということがすごく重要なんだろうなと。

私たちの製作期間はすごく短い間だったんですけれど、その言葉にできない部分というのを、やっぱり大事にしないといけないんだろうなと思いましたね。

『手に持って、行こう ダーリンの手仕事にっぽん』(ポプラ社)より

『手に持って、行こう ダーリンの手仕事にっぽん』(ポプラ社)より

——マンガを描く作業と通じるものはありますか?

小栗:そうですね。マンガもやっぱり、「いいマンガとは何か?」とか「いい絵とは何か?」というのを言語化したり、数値化したりするのは難しいんですよね。型破りであっても素晴らしい絵やマンガというのもあるし、すごく感覚的なものなので、その辺りは通じるものがあると思います。

——トニーさんはいかがでしたか?

トニー:だいたい私は不器用なんですけど、まあまあできがよかったかな。

小栗:そうね。刃物と陶芸はすごく相性がよかったですよね。紙はまあまあだったかな(笑)。

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ものを作ると自分自身のことがわかってくる

——トニーさんが、ろくろを回している場面で「瞑想に似ている」と書いていらっしゃいました。私も時々、パンを焼くんですが、無心になってパンをこねている時間が好きなんです。ろくろ回しはいかがでしたか?

トニー:ろくろを回している時間はやっぱり静かであるということと、回っているろくろにちょっとだけ力を加えるところがあるんですが、人間が1人で何かを作り上げているというよりは、何かが動いていてそれに参加するという感じなんですよね。

——人間が主体というよりもろくろが主体なんですね。

トニー:手を出さなければ、それでも回ってるものは回ってますからね。ちょっと力を加えるとか、ちょっとその場に入っていくことによって違ったものになる。エッセイにも書いたけれど、個人的には瞑想は怖いかな。瞑想し過ぎると、何かが見えてきちゃう気がする。

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小栗:瞑想じゃないけれど、ものを作っていると自分自身のことはわりとわかると思いますね。自分はどういうものが欲しいのか? とか。

包丁にしても器にしても紙にしても、どういうものが自分は好きでどういうものが欲しいと思っているか? 自分はどのくらいその作業に向いているか? 忍耐力があるか? 適応できるか? とか、いろいろな部分に気付きますね。

やっていくうちに、練習で伸びていく部分もあるんだけど、結局、やればやるほど「自分がどういうものが好きか?」がわかってくる。それが面白いなと思います。

トニー:みんなが自分でものを作らなくても社会は回るようになっているし、ものを買って壊れたら捨てるという社会も変わらないとは思うんだけれど、たまには自分で使うものを作ってみる。作りたいものを作るとか、作ったものを楽しみながら使うのもいいよね。

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※次回は8月8日(水)掲載です。

(聞き手:Duniakita編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)

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