薄井シンシアさんインタビュー 第3回

「今思い描く20年後に縛られないで」 未来に不安を感じた時の対処法

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「今思い描く20年後に縛られないで」 未来に不安を感じた時の対処法

17年の専業主婦生活を経て、現在は起業家という異色の経歴を持つ、薄井シンシア(うすい・しんしあ)さん。

薄井さんに、「キャリアの小休止」が本当に人生のデメリットになってしまうのか聞いたこの企画、第3回となる今回は漠然と感じてしまう不安への対策方法について聞きました。

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第1回:自ら専業主婦になると決めたけど、働く友人に嫉妬…
第2回:パート仕事も無理。両立はあえて「しない」と決めた

今の延長線上に未来がある

——前回、他人と周囲の環境は変えられないから、置かれた環境の中で精一杯やることが大事だと伺いましたが、働いていると、「今やっていることに意味はない」とか「自分がやっていることは雑用なんじゃないか」と感じる瞬間もあります。だから、誰にも負けないような特別なスキルが欲しい、とも。

薄井シンシアさん(以下、薄井):みなさんスキルにこだわりますよね。私はそこにこだわりません。ただし、「どうやったらそのスキルが身につくか」はとても考えますけどね。

——というのは?

薄井:私が52歳の時に始めた電話受付のパートは時給1300円でした。確かにそんなに難しいことを任されているわけでもない。ある時、職場で古参メンバーに「ろくに電話も出られないくせに」って嫌味を言われたんです。

——わかりやすい嫌味ですね。

薄井:でしょう。そこで私のチョイスは2つ。ひとつは仕事を辞めること。でも、それをやっちゃったら、次はないですよね。もうひとつは、嫌味を言った人とケンカすること。でも、入ったばっかりの私が職場に長くいる人とケンカしても自分のプラスにはならない。じゃあ、自分のプラスになるようなケンカの方法は……?

——ケンカはするんですね(笑)。

薄井:自分にも周りにもプラスになるようにね。それは、徹底的に電話に出ることだと思いました。私ね、定義するのが大好きなんですよ。まず、正しい電話の出方が何か定義して、テンプレートを作りました。そしてその型どおりに完璧に繰り返す。自然にできるまで体に叩き込みました。すると、1年後には私の方がお客さんも増えて、売上も上がったのです。

20年先が見えなくてもいい

——見事な勝利ですね。1年コツコツとやり続けられたのがすごいなって思いました。目の前の仕事をやり続けることが何になるんだろうって考えて、モチベーションが下がってしまう人も少なくないと思うので。

薄井:それは、先のことを考えすぎ。仕事の話から離れてしまうけど、先日うちの娘が結婚したんです。でも、結婚に踏み切るのをずいぶん渋っていて……。

——なぜですか?

薄井:「今はいいけれど、20年後の自分の人生に彼がいることが想像できない」と言うんです。でも私は思うんです。あなたが今思い描いている20年後になるかどうかなんて誰にもわからない。だからいいじゃない、そのつど再評価すればいいんだから、って。私は今58歳だから、これまでを振り返ることも多いのですが、人生ってそんなに上手くいかないんですよ。自分のプラン通りにはね。

——思い通りにいかないことは承知していますが、それでも失敗したくないという気持ちは強いです。

薄井:そこなんですよね。みんな失敗を恐れている。私はどちらかというと、失敗なんかどうでもいいの。失敗した時にそこから立ち直れるか、何を学ぶかが大事。

くよくよしない、比べない

——失敗した時、薄井さんはどうしているんですか?

薄井:まずはくよくよしないこと。泣いてわめいてグチを言う「かわいそうパーティー」は10分。あとは、自分が置かれている環境のありがたみを思い出すこと。私は毎日寝る前に、なるべくひとつかふたつ、何かに感謝するんです。そしてそのまま眠るので、翌朝起きなかったとしてもOKなんです。

——今日が最後の日でもいいと思えるのは、毎日全力だから?

薄井:そう。全てやりきっているから。この間、ずっと働いてきた女性の集まりに呼ばれて行きました。私は別にね、「みんな専業主婦になって」とは言っていませんよ。ひとつの選択肢としてあってもいいというのが私のスタンス。

でも、20年以上キャリアを積んできた人たちの中には、私を否定しないと自分たちの価値が見出せない人もいるのかなって思いました。なぜそれを思ったのかというと、ある女性に「私も専業主婦だったら、娘をハーバード大学に入れられたのかしら」と言われたんです。

——へぇー。そういうマインドもあるわけですか。

薄井:私は、彼女に対して「私も20年働いていたら一流企業の役員になれたのかな」ってまったく思いませんでした。だって毎日全部やりきって、人生に対する罪悪感もまったくないですから。だから他人がどんな生き方をしていてもオールOKだと思えるんです。

——なるほど。こだわるところと、気にしないところのバランスが大事なんですね。次回は専業主婦をやめた時から現在までの話を伺います。

【薄井シンシアさんの著書はこちら】

(KADOKAWA)

(取材・文:安次富陽子、写真:青木勇太)

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