日本一ちっちゃな働きかた改革 最終回

「自分のハッピー」について、真剣に考えてみることにした社畜の話

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「自分のハッピー」について、真剣に考えてみることにした社畜の話

「日本一ちっちゃな働きかた改革」
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「フリー編集長」と「社畜プロデューサー」というまったく異なる立場から、Duniakita編集部というチームを運営している鈴木円香(34歳)と海野優子(32歳)。

脱サラした自営業者とマジメ一筋の会社員が、「心から納得できる働きかた」を見つけるため時にはケンカも辞さず、真剣に繰り広げてきた日本一ちっちゃな働きかた改革。5月から半年以上にわたり続けてきた連載も今回がいよいよ最終回です。

海野P(左)と鈴木編集長(右)

海野P(左)と鈴木編集長(右)

社会人10年目、人生初のマネジャーを経験して辛酸を舐め、キャリアに迷いが生じまくっている海野Pでしたが、この連載を通じてどのような気づきがあったのでしょうか。チームメンバーとして、その苦悩を間近に見てきた鈴木がインタビューしてみました。

社畜Pのキャリアに一筋の光が

鈴木:さてさて、今回でDuniakitaのこの名物連載も最終回です。社畜、社畜と呼ばれることにもすっかり慣れてきた頃だと思いますが、全31回を振り返ってみてどうですか?

海野P:うーん、やっと「後厄」に突入できたって感じですね。

鈴木:後厄ですか? その心は?

海野P:まだまだ悩むこともたくさんあるし、苦しいこともあるんですが、「もうすぐ抜ける」と先が見えてきたというか。真っ暗だったトンネルにちょっと光が差してきた感じというか。

鈴木:おお。社会人10年目にして苦悩のどん底にいた海野Pの眼前にようやく一筋の光が差したわけですね。

海野P:この連載では20代から50代までいろんな人に話を聞いてきましたが、結局共通しているのは「自分のハッピーが一番大事」ってことなんですよね。45歳にして念願の雑貨店をスタートしたWill Labの小安美和さんの話を聞いていても、「ローコストでハイパーハッピー」を実践するハピキラ会社員・正能茉優さんの話を聞いていても、自分のハッピーを叶えるためにどんな仕事をするか?という発想が必ずありました。

BUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長の浜田敬子さんも、すごくシンプルなwillをお持ちです素敵だな、と思いましたし。とにかく「仕事が好き」という思いを自分に素直に貫いてこられたんだな、と。

鈴木:Duniakita働きかた改革の「有識者会議」に出てくださった方はみなさん、自分のハッピーは何?という問題を突き詰めた末に得たwillをお持ちでしたね。

海野P:つまり、「私のwillって、何?」というのを突き詰めて考えないと次に進むべき道は見えないんだな、と気づいたんです。逆に言えば、willがわかれば解決しそうな予感もしてきて。それでやっと、真っ暗だった私のキャリアに光が差してきた感じです。

鈴木:いやあ、それは本当によかったね! ところで、これまでは「自分のハッピー」や「私のwill」について考えてなかった?

海野P:考えてなかったですね。というか、考えちゃいけないと心のどこかで思ってたのかな。仕事を通じて自分の楽しさや幸せを追い求めるのって、「ぬるい」「甘い」という感覚があったのかもしれません。

鈴木:さすが社畜と呼ばれた女……ストイックですね。

photo2

「人から求められる」という誘惑

鈴木:ちなみに「前厄」は?

海野P:「前厄」は26、27歳の頃でしたね。ちょうど新卒で入社した会社から今の会社に1度目の転職をするタイミングでした。あの頃は自分が日々やってる仕事が社会に何も還元できてないんじゃないか、ということに苦しんでました。そして転職して「Duniakita」を立ち上げて、微力ながらも社会に影響を与えられたことで充実感を得て「前厄」は抜けられました。

鈴木:そして32、33歳にして初めてチームのマネジメントを経験したことなどをきっかけに、「後厄」がやってきた、と。

海野P:そうですね。目の前の仕事は楽しいし、まわりから必要とされてやりがいもある。でも、それで自分の承認欲求が満たされてしまって、「自分のハッピー」や「私のwill」を考えなくなってましたね。そして、でもマネジャーをやってみたら全然うまくやれないし、ふと「このままでいいんだっけ?」と考え始めてドツボにはまってました。

鈴木:「人から求められる」ってある種の誘惑ですからねえ。まわりの期待に応え続けているうちに、自分のwillが見えなくなってしまうことはよくありそうです。

海野P:そうなんです、目の前の仕事にすがっちゃうんです(笑)。自分の向き不向きも考えずに突っ走っちゃうというか。

「どこでも生きていける」という感覚が欲しい

海野P:キャリアコンサルタント・森本千賀子さんのインタビューで初めて知った「コンピテンシー」の概念にはすごく救われましたね。これまでにやってきた「実績」じゃなくて、分解できる「強み」が大事なんだ、という話です。

鈴木:海野Pがコンプレックスに感じていた「全部、中途半端」を「マルチタスク」と捉え直していただいた回ですね。そしてウェブメディアのプロデューサーから社長の右腕に華麗な転身を遂げる可能性があるという希望までいただいたあの回。

海野P:「情熱を伝える力」とか「人の成長を信じる力」とか、分解できて応用がきく「強み」という概念がそれまでの私の中にはなかったんです。だから、とにかく目の前の仕事をがむしゃらに頑張って数字という実績を出し続けるしかないと思ってたんです。

鈴木:そうだよね、ハードワークですり減ってる海野ちゃんを見て、前に私、「仕事休んで、1年くらいプラプラしてきたら?」って言ったことあったよね?

海野P:ありましたね(笑)。でも、1年もプラプラしたら履歴書に穴が空いちゃう気がして怖くて。休んでいるうちにコツコツ積み上げた実績の価値がなくなってしまうような気がしていたんです。でも「実績」から「強み」に思考を変えると、感覚が変わりますよね。「強み」は目減りしないし、どこの業界へも持ち運び可能なんです。

鈴木:お、では、1年くらいプラプラしますか?(笑)

海野P:いや、まだその覚悟はつかないっす。

「強み」と言えば、フリーランサーの安藤美冬さんの「凡人のキャリア戦略」もすごく救われましたね。「人よりちょっと詳しいと思えるもの」を3つ束ねれば強みになる、と。結局大事なのは、履歴書に書くような実績ではなく、シンプルな生きる力なんですよね。そこが見えると生きるのがラクになる予感がします。今いる「ここ」じゃなくても、どこでも生きていけるという感覚が持てるというか。

鈴木:「ここで頑張るしかない」から「どこでも生きていける」に感覚が変わるということですね。

海野P:そうです。あとは、自分にできないことはできないという勇気ですね。自分の「強み」ではないから、「この仕事はできない」という勇気も必要かな、と。とりあえず、振られた仕事は何も考えずに「できます!」と威勢よく答えちゃうんじゃなくて。

鈴木:これは、社畜の鑑だったかつての海野Pからは想像もできない発言ですね。

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模索を続ければ、「100%の幸せ」に出会えるの?

海野P:とにかく今回の連載を通じて「働きかた改革」という言葉がすごく身近になりました。この連載を始めるまでは、エラいおじさんたちが勝手にやってくれている感じ、遠い感じがしていたんです。でも、この2017年に「働きかた改革」が話題になるのには、ちゃんと必然性があったんだな、って。

鈴木:必然性というと?

海野P:最後にインタビューをした少子化ジャーナリストの白河桃子さんが、今の20代女性が、私たちを反面教師にしてキャリア戦略を模索しているという話をなさっていましたが、「目の前に正解が走っている時代」じゃないんだな、と。

自分の前を上手に走っている誰かのマネをしてキャリアが成立する時代ではないんですよね。過去のノウハウが役に立たない。自分でwillを見つけて道を切り拓いていかなきゃいけないから、みんな悩むんです。「働きかた改革」はその中から必然的に出てきたのかな、と。

鈴木:なるほど。みんなが模索するしかない時代なんだから、いい加減「模索に馴れろ!」という話なのかもしれませんね。

海野P:でも、仮に模索して「自分のハッピー」や「私のwill」が見えてきたとして、それに向けて実際に踏み出せるかというとやっぱ勇気が要りますよね。ワリス共同代表の田中美和さんも、フリーになるなら会社員時代の1.5倍の収入を目安にするとおっしゃってましたし……。そのあたりの腹はまだ決まらないんですよね。

鈴木:えいや、でやるしかないんじゃない? フリー転身、意外に何とかなるよ(笑)

だけどさあ、人間、模索を続けていつか「私はこれで100%幸せです」と言える状態にたどり着けることがあるんだろうか?

海野P:どうなんでしょうね。わかりません。でも、あると信じてますよ。たとえたどり着けなくても「目指してみよう」と思うようになったことが、自分の中で何より大きな変化でしたから。

鈴木:(泣けてきますね)海野P、これからも頑張って!

みなさん、全32回にわたりご愛読いただき、ありがとうございました。

社畜を脱して「模索する女」となった海野Pが、はたしてこれからどのような転身を遂げていくのか。模索する女性メディア「Duniakita」ともども今後も読者の皆さんに温かく見守っていただければと思います。

(構成:Duniakita編集長・鈴木円香)

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