田中俊之さんインタビュー(後編)

「真面目」ってつまらない? コツコツ型の働き女子に伝えたいこと

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「真面目」ってつまらない? コツコツ型の働き女子に伝えたいこと

「#両立って必要?」
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仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。理想の自分になるためにがんばってはいるけれど、時々しんどくなってしまうことも。

今回、Duniakitaでは、そんな悩ましい両立について、改めて問い直してみるキャンペーンを始めました。その両立は貴女の人生に本当に必要なものなの? 貴女が幸せになれる両立ってどんなカタチ? 一度、一緒に考えてみませんか?

「仕事と家庭の両立」など、「女性活躍」とセットで語られることも多い「両立」ですが、辞書では「二つの物事が同時に支障なく成り立つこと」とあり、なんだか完璧にこなさないといけないイメージがあります。

真面目な女子ほど「仕事も家庭もなんて自分にできるのだろうか?」「完璧にこなせない私は無理なんだ」と悩んでしまうのではないでしょうか? 最近は「イクメン」という言葉に象徴されるように、男性にも「両立」が求められています。

そこで、大正大学心理社会学部准教授の田中俊之さん(男性学)に真面目な男女ほど陥ってしまう「両立の罠(わな)」について聞きました。

【第1回目】「冷水を浴びせてくれる」友達っていますか?

社会学者の田中俊之さん

社会学者の田中俊之さん

理想通りにも思い通りにもいかないのが「現実」

——前回は「冷水を浴びせてくれる」存在って大事だよっていうお話でした。確かに言われた時はギクシャクすることもあるけれど、あとで「よく言ってくれたな」と感謝することも多い。

田中俊之さん(以下、田中):前編でもお話した「異論」ですよね。異論をぶつけたり、議論をしたりするのって泥臭くて「昭和的〜」って嫌われるかもしれないけれど、古いものが悪くて新しいものが良いってことではないと思うんです。

生きていくってスマートなことではない。まあ道徳観を押し付けて集団主義に走る「金八先生」はうざいですが(笑)。

でも、生きていくっていろいろなことがあるから、現実的な考え方をすると、子育ても結婚も出産も理想通りにも思い通りにもいかないんですよね。子育てなんて特にそう。「コントロールできないものが我が家にいるぞ」という状況で生きていかないといけないから。

理想的にも思い通りにならないのが「家族」だと思うんです。「これからは2人でなんでも話し合って」とか「家事は完全に平等で」なんて綺麗事はいくらでも言えるけれど。

——えー……誰かと「家族」を築くのであれば、そういう家庭がいいなと思っていました。

田中:そんな理想通りの家庭ないですよ(笑)。家族に限らず、理想的と言われるチームを組んだのに争いが絶えないってのはよくありますからね。

——あ、そうかも。会社もそうですよね。それって仕方がないことなのでしょうか? なんだか希望がない気がします。

田中:それって、真面目で善人で優秀だから陥っちゃう落とし穴なんですよ。前回も言いましたが、日本社会はホンネを隠している。例えば、1986年に男女雇用機会均等法が施行されて、一見、女子に対する差別はなくなったように見えたけれど、企業は「一般職」と「総合職」のコースを作ったわけですよね。

——一般職は女子、総合職は男子と振り分けたんですね。

田中:そう。だから騙されないようにしないといけないし、そこで大事なことは「真面目」とか「約束が守れる」といったことなんですよ。

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真面目さは「つまらない」ことでも欠点でもない

——どういうことですか?

田中:確かに真面目さが通用しない場面もあるかもしれないけれど、20代後半から30、40、50代と仕事をやっていくためには地道な積み重ねがとても大事なものになってくるんです。だから、「男社会では通じないんだ」って決してやさぐれないでほしいですね。

——ちゃんとやっていれば報われるってことですか?

田中:うーん、ちゃんとやってても裏切られることは残念ながらありますけれど、自分にできることをちゃんとやって、自分にコントロールできないことまでコントロールしようとしないことが大切なんじゃないですかね。

自分にできるのは真面目にコツコツ仕事をすることだったとしたら、その結果裏切られたり、評価されなかったりってのもあるけれど、それはコントロールできないことですよね。

真面目なことを自分の特性とするならばコツコツ積み重ねていく。「報われる」「報われない」は運だから、報われる時がきた時に自分の力を発揮できるようにしておくってのが健全なことだと思うんですよね。

——確かにそうですね。女子にありがちなお悩みをもう一ついいですか? 真面目なのかマゾなのかわからないんですが「自分さえ我慢すれば」とか「自分が大人になれば物事はスムーズに進む」って思っている女子もいて、見ていて「しんどそうだなあ」と思うこともあるんです。

田中:それは仕事で? プライベートで?

——両方ですかね。

田中:女性は「男性を立てると物事がうまく進む」って思っているかもしれないですが、男性はそう思っていないです。

「女性が男性を立てると物事がうまく進むことが多い」という質問に対する答えの男女差から、統計ではっきりとわかっていることなんですが、女性が引いたつもりでも男性にとっては「当たり前」で貸しを作ったとは思っていないんです。「私は譲った」と意識しても男性はそうは思っていない。

相手がどんなタイプなのか、どんな社風なのかというのにもよるんですが、一般的には言いたいことはちゃんと言ったほうがいいです。

また、さっきの「信頼」の話にもなってくるのですが、要はお互いの信頼関係があるかどうかによると思うんです。信頼関係がなければ男性側は「急に言ってきた」「要求してきた」「主張してきた」って思う。

でも、なんでもオープンに話していて普段からいい話も悪い話もできる関係や環境だったら、「今の組織のあり方についてここが問題なと思っている」と言ったとしても建設的な議論ができると思うんです。

——職場でも家庭でもそれ以外でも信頼を築いていくっていうのが大事なんですね。

田中:そうですね。だから無理にやり方を男社会に合わせたり、男社会だから(男らしくて良いとされている)乱暴、不真面目でいいんだって開き直ったりするのは自分が損をしてしまうことになる。30代の女性には堂々と、自分の良いところを伸ばしていってほしいですね。真面目な生き方に自信を持ってください!

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(聞き手:Duniakita編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)

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