株式会社READYFOR 米良はるかさんインタビュー

「夢なんか、なかった」コンプレックスを脱して見つけた本当にやりたいこと

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「夢なんか、なかった」コンプレックスを脱して見つけた本当にやりたいこと

「しなやかに、生きる。」
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東京の本郷にオフィスを構え、約50人の社員を抱えるクラウドファンディングサービス、「READYFOR」を運営する米良はるか(めら・はるか)さん。やりたいことを実現し、輝いているように見えます。しかし、聞けば「子どもの頃、自分は好きなことや熱中していることがなくてコンプレックスだった」そう。25歳の時に起業して、今年で3年目。これまでの道のりと今の心境について聞きました。

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「2ヵ月で120万円」が最初の第一歩

―まだ日本に「クラウドファンディング」という言葉がなかった時の起業でした。

米良はるかさん(以下、米良)
:最初のきっかけは、大学生の時に知り合ったパラリンピック・スキーチームの監督が資金に悩んでいたことでした。インターネットを通じて、広くお金を集められればいいんじゃないかと思い、ネットで投げ銭のようなシステムをつくりましたが、当時はSNSもまだない時代。このプロジェクトを知ってもらうためにどうしたらいいだろうと悩みました。そこで新聞や雑誌に取り上げてもらおうと、直接交渉をしに行ったんです。足を使って回ったおかげで何社かに記事にしてもらうことができ、2ヵ月半で120万円を集めました。

その後、スタンフォード大学に留学した際に「キックスターター」というアメリカのクラウドファンディングのサービスを知ったんです。アメリカではその後もクラウドファンディングのサービスが立ち上がっていましたが、まだ日本にはなかった。ネット上でやりたいことをプレゼンしてお金を集める仕組みを日本にも取り入れたいと思いました。

―帰国後の2011年3月から活動を始められたとか。

米良:初期は私ひとりでやっていましたが、法人化する前のメンバーは10人ほど、さらにこの3年で40人増えました。2014年7月に株式会社化し、今では年間2000件のプロジェクトに累計21万人の支援者がいるサービスに成長しました。最初は年間40件のプロジェクトで、約1000万円の支援を集めたところから始まったんです。

―銀行やベンチャーキャピタルから融資や投資を受けるのとは違う?

米良:ネット上でオープンに資金を募ることによって、プロジェクトが知られるようになります。そして興味をもった人たちが資金で応援してくれるだけではなく、ファンになり、応援してくれるんです。新しいことを始める時は、成功するかどうかはわからないので立ち上げる側は不安です。そんな時に応援してくれる人がいるのはとても心強いし、自信につながりますよね。

―応援してくれる人がいるって嬉しいですよね。

米良:そうですね、うちは家族全員が私のやっていることを応援してくれている恵まれた環境でした。なので、何かで一歩を踏み出したいと思った時に、READYFORに行けば応援してくれる人がいるという状況をつくりたい。そんなふうに考えてこのサービスをやっています。

「ハマれるものがない」がコンプレックスだった

―米良さんも子どもの頃から何かを生み出すのが好きだったんですか?

米良:母は私が生れてからは専業主婦でしたが、化粧品会社でバリバリ働いてニューヨークに勤務していたこともありました。父方の祖父は発明家、父はコピーライターでクリエイティブな家系のようです。

私自身はモノづくりはまったく得意ではありませんでした。 何かが大好きということもなく、どんなこともハマらないし続かない。特徴のない自分がイヤでコンプレックスでしたね。「自分らしさってなんだろう?」といつもしっくりきていませんでした。だから「好きなことはこれだ」と人に言える人、“自分”がある人がとてもカッコよく見えて憧れていたんです。そういう人の話を聞いているだけで、幸せな気分になれるんです。

―それが今のお仕事につながっているのでしょうか?

米良:そうかもしれません。私はみんなの想いに触れる瞬間が好きなんです。例えば、お店を開きたい人がいても、「お金は大丈夫なの?」「成功できるの?」と世間の厳しい声が寄せられる場合があります。そんな時でもREADYFORなら「こういうお店を開きたい!」という希望を伝えて開店資金を募り、そのうえ多くの方から応援までしてもらえる。すべてのプロジェクトが目標金額に達するわけではありませんが、一つの自信を獲得する機会になるんです。夢を持った人たちと応援する人たちの真ん中に、READYFORがあればいいなあ、と。

―READYFORの起業によって「自分らしさ」を見つけたわけですね。

米良:そうかもしれません。私がそうだったように、もし自分らしさがわからなかったら、何でもいいから少しでも「やりたいな」「好きだな」と感じることにトライしてほしいです。その積み重ねで、自分のやりたいことが見えてきて、それが「自分らしさ」になるのかな、と。

―経営者になってみて、楽しいと感じる瞬間は?

米良:経営者になった今が私、とても楽しいんです。自分のやりたいことを実現して生まれたREADYFORが人生で一番大事ですね。好きな人と一緒に働けるのも経営者の特権です。「この人と一緒に働きたい!」と思う人を自分で口説けます。中途採用の面接は私自身がやっているので、そういう仲間を増やして共に会社の価値を高めていきたいです。

―20代の若手スタッフが多いですね。

米良:そうですね、新卒もインターンも採用しています。問い合わせの電話対応には、お子さんを育てながら働く主婦の方にお願いしたり。プロフェッショナルになりたい人もいれば、READYFORのミッションが好きで関わりたいと言ってくれる人もいて。今後はもっと働き方を多様化できるといいですね。

「疲れたな」と感じて始めたこと

―仕事とプライベートの両立はどう考えていますか?

米良:好きなことをやって、仕事もして、経営者としてビジネスで勝っていくのはすごく大変です。特にIT業界は先輩となる女性経営者が少ないので、自分で考えながら進むしかありません。だから仕事とプライベートを切り分けず、まとめて考えていますね。支えてくれる人がいたら頑張れるし、人生がハッピーになる。それが会社の成功につながると思います。「両立しなければ」と考えるより、気づいたら「両立していた」くらいがちょうどいいのかも。

―スタートアップの時期だけに、バランスをとるのは大変そうですね。

米良:会社が大きくなっている今は、ある程度無理をしなければならないタイミングも必ず出てきます。それに耐えられる精神力や体力は備えておきたいので「疲れたな」と思う時は、ちゃんと休むようにしていますね。

―メリハリを自分の中でつけるようにした?

米良:納得のいくまで情熱的に生きていたいんです。実は今まで、健康のためにダイエットや運動をしたことはありませんでした。マックのポテトも大好きだし、夜中にラーメンを食べることも。でも、最近「疲れたな」と思うことが増えてきてしまったんです。女性は加齢と共に身体も変化していきますよね。経営者とは「経営という長距離マラソンを最後まで制覇する者」と考えているので、元気でポジティブにい続けるために何か工夫をしなきゃと考え始めました。そこで、少し前から日曜日の朝にヨガを始めたんです(笑)。

―週末も出張や講演会、交流会が多いそうですが、ご家族との時間はどのように確保していますか?

米良:夫は私以上に出張が多い人で、ほとんど海外に行っています。なので、彼が日本にいる時には一緒に食事をしたり、話をする時間を持つようにしています。夫婦だけでなく、すべての人間関係において、相手から必要とされる時に側にいようというのが私のスタンス。相手が困っていたり、悩んでいたりする時に、手を差し伸べられるように心がけています。調子よく、うまくいっている時期は何もしなくていい。でも、大変そうな時期に一緒にいることがいい関係を保つコツかな、と。

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―5年後、10年後の自分はどうなってる?

米良:会社の経営として考えるべき未来は当然あります。でも、自分のことはキッチリとは考えていませんね。だって、10年前の自分は、経営者になるなんて予想もしていませんでしたから。もし10年後、今の自分が想像できる範囲になっていたら、私が私に負けることになります。将来が見えていないくらいが面白いんじゃないかなと思っています。

(編集部)

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