エニタイムズの角田千佳さん

「夢を叶える方法はいくつもある」31歳・女性IT起業家の歩いた道

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「夢を叶える方法はいくつもある」31歳・女性IT起業家の歩いた道

「困りごとのマッチングサービス」を提供している株式会社エニタイムズの角田千佳(つのだ・ちか)さん。「サービスを提供する方にも、される方にも、喜んでもらえたら最高」国連高等難民弁務官(当時)の緒方貞子さんに憧れていた少女が、証券会社、IT企業を経て、「日本の困りごと」の解決に乗り出すまでの道のりとは? 子ども頃から胸に秘めていた「やりたいこと」を形にするために試し続けたいくつもの方法とは? 

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「やりたいこと」と「夢を叶える方法」

―もともとは、「発展途上国の街づくり」に興味があったそうですね。きっかけは?

角田千佳さん(以下、角田):小学生の頃から読書が好きでノンフィクションをよく読んでいました。なかでも伝記をたくさん読んでいるうちに、「同じ時代を生きている人の話」に興味が湧いたんです。母に相談すると、図書館から借りてきてくれたのが緒方貞子さんの本でした。

―当時、緒方さんは国連高等難民弁務官をなさっていましたよね。

角田:その本の内容は内戦をしている国のルポルタージュで、そこには今まで知らなかった「衣食住もままならない世界」が広がっていました。ある子どもに「将来やりたいことは何ですか?」と聞いたところ、「敵をひとりでも多く殺すこと」と答えたそうです。自分と同じくらいの歳の子がそんなふうに考えている。これには本当に驚きました。

そこから、平和に暮らしている自分にも何かできることがあるのでは?と考えるようになったんです。本を読んで途上国支援について自分なりに勉強する中で、金銭的な援助では一時的なものになってしまう、その国の人が働いて自立できるようにする仕組みが必要なのでは?と気づきました。そして、それを実現するのが「街づくり」だな、と。

―その時から今まで想いは変わらなかった?

角田:ソフトバンクの孫正義社長が「自分が登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」と言うように、自分の人生の「軸」となるものが見つかると人はそれに向かって頑張れる。そこで、私はまず社会を知ろうと、証券会社に就職しました。その後、IT企業で働きつつ、目標だった国連の職員になるための準備をしていたんです。

でも、調べていくうちに「国連よりもビジネスの方が自分のやりたいことを実現できるスピードが早いのかも」と考えるようになりました。街づくりのアイデアがいろいろあったので、それを早く実現させてみたかったんです。

―やりたいことはそのままに、夢を叶えるための方法を変えたのですね。


いろんな問題をつなげて解決

角田:街づくりをするにしても、いきなり途上国でやる必要はないのかな、と。社会人として過ごしながら、自分の身近にも社会問題がたくさんあることに気がついたんです。雇用の問題もあれば、高齢化の問題もある。都心では共働き世代が増えているのに、核家族を手助けするシステムができていないという問題も見えてきました。

こういう問題をつなげて、解決できる仕組みがあるのでは? そう考え始めたのが現在のANYTIMES(エニタイムズ)が生まれるきっかけでした。やがて「日常生活のちょっとした困りごとを提供したり、提供されたりする仕組み」を思いついて2013年の10月にANYTIMESのテスト版サービスをローンチしました。

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―いわゆる「便利屋さん」のようなサービスなのでしょうか?

角田:少し似ていますが、ANYTIMESはサービスを提供するだけではないんです。ANYTIMESでは、サービスを提供する側とされる側が入れ替わる可能性があります。たとえば、料理が得意でそのスキルを提供できる人(サポーター)と、料理をする時間がなくアウトソーシングしたい人(依頼者)をつなげることで、双方に満足していただける。それがANYTIMESというプラットフォームです。

―というのは?

角田:サービスを提供される側(依頼者)はもちろんですが、サービスを提供する側(サポーター)からの満足度も高いのが、ANYTIMESの特徴。家事のスキルを提供してくださっているある女性サポーターは、「普段、息子たちに食事を作ってもマズいと言われ、掃除をしても文句ばかりだったので、依頼者の方から感謝された時はとても嬉しくて」と話していました。

誰かから必要とされたり、感謝されたりする。そういう満足感をサポーターの方は“提供されている”とも考えられるんじゃないか、と。「自分のスキルがビジネスになるなんて思ってもいなかったから、嬉しい」そんな声をサポーターの方から聞くと、本当に嬉しいですね。

―これまでバリバリ働いていた女性が、出産をきっかけに社会から隔絶されて孤立感を深めるという話もよく聞きます。そういう問題の解決策にもなっているのかもしれませんね。

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母の背中を見ていたから

―ご自身でもサービスを利用することはありますか?

角田:依頼者としては、掃除や語学レッスンをわりと利用しますね。サポーターとしては、キャリアに関するカウンセラーとして相談を受けたりします。これまで一度も自分のスキルを他人に提供したことがなくても、「もしかしたら、需要あるかな?」と登録してみるだけで、思わぬ反響があって楽しいと思いますよ。

実は、子どもの頃、実家では忙しい時期には家政婦さんがいたんです。というのも、結婚を機に仕事を辞めた母が自宅で塾を開いて、講師として忙しい毎日を送りながら2人の子育てをしていたから。母は「忙しい時には、家事はアウトソーシングする」と割り切っていたんですね。そんな母の背中を見ていから、ANYTIMESのサービスを思いついたのかも。

―角田さんは会社員を経験してからANYTIMESを立ち上げましたが、起業して「自分の時間」はどんなふうに変わりましたか?

角田:ANYTIMESの平日の就業時間は10~19時が基本です。でも、9時から18時の勤務もできるので、わりとフレキシブルに動けますね。土日は会社はお休みですが、仕事関係の人と交流したり、勉強したりしていて、24時間ずっと仕事のことで毎日頭がいっぱいですね(笑)。

―休みたくならないんですか?

角田:身体を動かすのが好きなので空いた時間で、ヨガやジムに通ったり、クロスフィットで1時間ひたすら筋トレをしたりすることもありますよ。平日も週末も、とにかく毎日とても充実していて、会社員時代と比べると圧倒的に今の働き方がいいです。

思考を狭めない工夫

―現在、31歳で独身でいらっしゃいますが、結婚や出産といったライフイベントで生活が変わる可能性もありますよね? その時はどんなふうにしようと?

角田:そのあたりのことは相手によって変わるので、今から考えても仕方ないかな、と。そもそも結婚や出産をしないかもしれませんし。「こうあるべき」と考えると、思考を狭めてしまうのであまり先々のことまで考えないようにしています。

今のところ、ANYTIMESではリモートワークを取り入れていませんが、柔軟に動けるような体制は整えておきたいですね。将来、どんなライフスタイルになっても工夫次第でなんとかなると思っています(笑)。家族で助け合ったり、ANYTIMESをフル活用して、子どもの送り迎えや掃除、料理を手伝ってもらえる人を探したり。

―今後してみたいことは?

角田:過疎化が進んでいる地域で、ANYTIMESのサービスを広めていきたいです。すでに宮崎県・日南市と提携していて、シルバー人材センターやファミリーサポートセンターに利用していただいてます。将来的には一般の方同士で直接やりとりできるようにしていきたいですね。ただ、インターネットに馴れていない人も多いので、講習会を開いたりしており、課題はたくさんあります。

最近では日本に来ている外国人の利用も増えているので、東京オリンピックに向けて英語以外にも多言語対応にしていきたいという野望も。それが実現したら、次は初心の「途上国の街づくり」につなげていきたいな。

(編集部)

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