気になる「ニュースの数字」第21回

女性の感染がこの1年で2倍に 梅毒は「昔の病気」じゃない

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女性の感染がこの1年で2倍に 梅毒は「昔の病気」じゃない

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「自分は大丈夫」

きっとほとんどの人が性感染症にかかる可能性について、こう思っているのではないでしょうか。しかし、その考えは甘いかもしれません。

今月6日の国立感染症研究所の発表によれば、先月28日までに報告された今年の「梅毒」の患者数は2778人。1999年以降で最多となりました。普段から性病の感染には気をつけているという人でも、「昔の病気」のように思われていた「梅毒」が今、爆発的に増加しているのは知らなかったのではないでしょうか。

5年前と比べると、なんと5倍に

厚生労働省の「性感染症報告数」によれば、「梅毒」の女性感染者数は2015年には377人だったのが、翌2016年には763人と1年で約2倍に増加。さらに5年前と比べると約5倍に増加しています。なかでも、20〜24歳、25〜29歳の女性が圧倒的に多く、報告数も1年前に比べ2倍以上増加しているのです。

性感染症は、婚前のセックスが当たり前で、さまざまな性的価値観が許容されている現代では誰でもなる可能性のある病。女性向けサイト「Rucora(ルコラ)」が2016年3月に読者を対象にして行った調査によると、「現在、性病の不安がある」と答えた人は全体の79%。また、「性病にかかったことがある」と答えた人は33%に上りました。

今回は「梅毒」を始めとした性感染症の、最近の感染傾向と感染経路について見ていきます。

男性とのセックスが原因の8割

まずは「梅毒」について、さらに詳しい数字を見ていきましょう。

先ほど、女性の感染者数が爆発的に増えていると書きましたが、総感染者数は男性が女性をはるかに上回ります。2015年の男性の患者数は1934人で前年よりも約1.5倍増加。年齢別で見ると、もっとも患者数が多いのは25〜29歳ですが、20〜44歳まで目立った偏りはありません。

感染の原因も男女で異なります。東京都の報告書によれば、2008〜2014年において男性の感染原因でもっとも多かったのは「同性間の性的接触」で、多い時で全体の60%。しかしながら2015年には「同性間の性的接触」と「異性間での性的接触」はどちらも40%程度に変化しています。

女性はどうかというと、圧倒的に「異性間の性的接触」が多く、全体の80%を占めます。おそらく、2015年の男性の感染原因で「異性間の性的接触」が急増したのは、女性の「異性間の性的接触」での感染が増えた影響でしょう。

なぜ「梅毒」がこんなにも猛威を振るっているか?

それは、「感染に気がつかない」ことが原因の一つのようです。「梅毒」は感染から発症まで3〜6週間の潜伏期間があり、また初期症状がわかりにくいことから、気づかないまま他人に感染させている可能性が高いのです。

他にもいろんな性病が増えている

「梅毒」と同じく女性の感染者数が多く、厚生労働省が注意喚起をしている性感染症には、「性器クラミジア」「淋病」「性器ヘルペス」があります。特に性器クラミジアは女性でもっとも患者が多い性感染症。2005年頃に女性患者数は2万人を切り、その後減少傾向にありますが、2015年の患者数は1万2780人。一番も患者数が多い年代が20〜24代となっています。こちらも梅毒同様、特に女性は症状が出にくく「いつ感染したのかわからない」ことがよくあると言われています。

さらにクラミジアはオーラルセックスからのみの感染が21%を占めているという研究もあり、性器にクラミジアが見つかった場合、症状がなくても10〜20%の割合で喉のクラミジアに感染しているそうです。
 
また、2011年頃から微増傾向にある性感染症が「性器ヘルペス」。2015年の女性患者数は5434人で、前年より約70人増加。さらに、他の性感染症は男性の方が患者数が多いのに比べ、性器ヘルペスは女性の患者数が多いのも特徴です。2015年の女性患者数は男性の1.5倍程度となっています。年代別では、25〜29歳で患者数が多いことがわかっています。

最後に、HIVとエイズ*について見てみましょう。エイズ動向委員会報告によれば、2015年のHIV感染者数は男性が860人に対し、女性は20人。エイズは男性379人に対し女性11人となっています。
*HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はウイルスの名前で、エイズ(後天性免疫不全症候群)はHIVに感染することにより発症する病気の名前。

男性のHIV患者数は15年前の2000年(336人)よりもかなり多くなっていますが、去年と比較すると減少。一方の女性は2000年の32人からほぼ横ばいです。感染ルートは「異性間による接触」が19.5%に対し、「同性間による接触」が68.7%となっています。

現在の性感染症の実態、いかがでしたか? 

実は性感染症検査キット「STDチェッカー」の利用者へのアンケートによると、女性104人のうちでもっとも多く使われていたキットはHIV検査専用のタイプ。約2人に1人がこのタイプの検査キットを利用していました。

どうしてもHIVやエイズを心配してしまうところですが、「梅毒」は特効薬があるとはいえ、最悪死に至る場合もありますし、妊娠していた場合は早産や死産の原因にもなります。クラミジアは子宮頸管炎を引き起こす可能性もあり、子宮を傷つける場合さえ。オーラルセックスで感染することを知らない人も多いでしょう。

一度、自分の性生活を振り返り、検査をしてみては?

(安仲ばん)

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3組に1組は離婚している? 不妊に悩むカップルは6組に1組って本当? 世の中に溢れる様々な「ニュースの数字」の裏側を読み解く連載です。表に見える数字だけではなく、その背景をしっかりと紐解いていくと、新しい発見や気づきが得られるかも。

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