「シン・ゴジラ」で強烈なインパクトを放つ女性キャラクターたちを分析

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「シン・ゴジラ」で強烈なインパクトを放つ女性キャラクターたちを分析

大ヒット上映中の「シン・ゴジラ」。公開から2週間が経ち、そろそろネタバレも許される!? ということで、主人公の矢口蘭童(長谷川博己)を始め男性の政治家や官僚、自衛隊員が多数登場しひたすら会議と打ち合わせを繰り広げるこの映画で、異彩を放つ女性キャラクター3人を徹底分析。「政治力」「女子力」「(対ゴジラ)攻撃力」の3項目に分けて、それぞれのキャラが持つパワーバランスもチェック!

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エントリーナンバー1:英会話レッスンのような英語が気になる! 米国大統領特使/カヨコ・アン・パターソン(石原さとみ)

【政治力】★★★ (米大統領や側近をも動かす)
【女子力】★★★ (非常時でもフルメイク、ZARA愛用)
【攻撃力】★★☆  (米軍無人戦闘機を貸してくれた!)

首相官邸にクラッチバッグを持ってさっそうと登場し、「友だちの家でパーティーをしていたから、着替える時間がなくて……。ZARAはどこ?」という女子力満載のセリフを言い放つのは、日系米国人のカヨコ。米上院議員の娘にして、大統領の特使。40代で大統領になることを目指している(ちなみにヒラリー・クリントン大統領候補は68歳)という超ハイスペック設定は、もはや二次元のキャラクターのよう。

「イッツ・ミー。あと5分で着く。総理大臣臨時代理に至急ミーティーングよろしく」などと、英語と日本語を無意味にミックスした“ルー大柴”的な話し方が特徴で、妖艶に微笑みながらの「ウィン・ウィン」、ハートマーク付きの「ここからはパーソナル・サービス」「オー・マイ・ゴッド」的なイントネーションで嘆く「ゴッッッジィラァ」など、悪目立ちする迷セリフもたくさん。そのうちきっとお笑い芸人の渡辺直美が喜々としてモノマネしてくれるだろう。

演じる石原さとみの英語は、「Trade」(取引)を「トレェイド」と発音するなど、難しい「R」の発音にもこだわった努力賞もの。ドラマ「5→9 ~私に恋したお坊さん~」で英会話教師を演じていた頃から比べても相当進歩している。しかし、そのあくまで“日本人が頑張っている感じの英語”を聞かされると、彼女がCMキャラクターを務める英会話教室のレッスンを受けているみたいで、ちょっと“モヤる”。そうですよね、「トレード」じゃなくて「トレェイド」ですよねと、いちいち確認してしまうような……。

劇場パンフレットのインタビューで石原は、観客に「なんだ、こいつ」と思われるであろうカヨコ役を演じるプレッシャーを相当感じていたと告白。自分を鼓舞しながら撮影に臨んでいたそう。その時彼女がどれだけのものを背負っていたのか、分析してみた。

【「シン・ゴジラ」の石原さとみが背負っていたもの】

[1]大作映画のヒロインに必要な華と色気
[2]ゴジラの出現にアメリカが関わっているという設定そのもの。そのための“ルー語”
[3]日本人の祖母が原爆で被爆したという設定。核兵器使用という難しいテーマ
[4]アメリカでは若くても優秀なら権限を与えられるという実力主義の象徴
[5]庵野監督の惣流・アスカ・ラングレー(「新世紀エヴァンゲリオン」)的女性に対する萌え
[6]英会話スクール業界最大手「イーオン」の威信

彼女はこれだけのものを一身に背負っていた! 映画を観た率直な感想としては「石原さとみのあのキャラがちょっと浮いていたよね~」と言いたくなる人も多いだろうが、2回目、3回目と見続けるうちにその違和感は薄れていくので、ぜひ再見をおすすめしたい。

エントリーナンバー2:小池百合子似の“武闘派”防衛大臣/花森麗子 (余貴美子)

【政治力】★★☆ (内閣で発言力があっても、米軍の意向には無力)
【女子力】★☆☆ (色気はないが、メイク&服はビシっと決める)
【攻撃力】☆☆☆ (自衛隊の防衛作戦は……)

内閣の紅一点、しかも防衛大臣という重要なポストにある花森。ショートカットの髪にくっきり下まぶたまで引かれたアイライン。どう見ても第一次安倍政権で防衛大臣を務めていた小池百合子氏(現・東京都知事)を連想してしまうけれど……。クレジットにはちゃっかり「取材協力」として小池氏の名前が! これはもう小池氏がモデルと考えて間違いない。

だが、よく見ればその言動はだいぶ違う。花森は、小池氏のように柔和な笑みを浮かべることはなく、ゴジラに対して自衛隊が発砲する際は「よろしいですね? 総理」とドスの効いた声で決断を迫り、自衛隊の攻撃が失敗したという報告を受ければ「ぐわっ!」と咆哮して悔しがる。もしかして、小池氏のような元キャスターという華やかな経歴の人ではなく、自衛隊か防衛省からの叩き上げでのし上がってきたという設定なのでは? ファッションも、小池氏のようなカラフルかつコンサバティブなマダムスーツではなくて、モノトーン系のクールなスーツ。男性にこびた感じが一切しないのは、むしろ小池氏より好感度高し!

エントリーナンバー3:ノーメイクのリアルな理系女子! 巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)/尾頭ヒロミ(市川実日子)

【政治力】☆☆☆ (人脈なし、出世する気配もゼロ)
【女子力】★☆☆ (おしゃれ心はないが、ツンデレ萌えはアリ)
【攻撃力】★★★  (ゴジラ凍結プランに貢献)

ゴジラが出現して政府はパニック! そこでゴジラ分析のために呼ばれたのが、環境省の自然環境局野生生物課長補佐であるヒロミ。すっぴんで口紅もせず、髪型も毛先がぴょこんとはねたトレンド無視スタイル。これぞ大学の理学部にいるようなリアル理系女子。一時“リケジョの星”と持ち上げられた、お化粧ばっちり&ゆるふわ髪の小保方晴子氏とは、まるで真逆のキャラクターである。キャストもクールなタイプの市川実日子だからいい。

例えばお姉さんの市川実和子なら、コケティッシュな外見が邪魔で、この役にははまらなかったはず。ヒロミは基本むっつり顔。そして無表情のまま、「お言葉ですが、すでに(ゴジラは)自重を支えている状態と思われます」「他に有効な手段はありません。矢口プランの確度を上げるだけです」などと、どんな場でも常に冷静な見解を述べるリアリストだ。

となれば、当然のようにツンデレキャラで、主人公の矢口が不眠不休で仕事しているのを見て、「シャワーぐらい浴びてもよろしいかと」とさりげなく気遣ったり、希望の持てるデータが出てくると珍しくホッとした顔を見せたりする。そのギャップに同性でも思わず胸キュン。文系女子のように世をすねてないところが、またリケジョらしい。そんなヒロミが、終盤、男性陣が絶望に打ちのめされて嘆き悲しんでいる場面で、冷静に、しかし怒りを込めて言うセリフは、この映画の重要なテーマになっている。

(小田慶子)
(イラスト/渡辺裕子)

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