川崎貴子の「自立という幸福」第六回

子供はホコリじゃ死なない 女性誌が見せる“育児と仕事のキラキラ両立”に振り回されないで

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子供はホコリじゃ死なない 女性誌が見せる“育児と仕事のキラキラ両立”に振り回されないで

理想を持つこと、目標を設定することは、人間が成長する上でとても重要ですよね。ただ、私のところに相談に来る女性の多くは、ご自身で設定した「理想の自分」のハードルが高すぎて「いつも自分にダメ出しばかりしている」と言います。彼女達はとても優秀で、真面目で、会社からの評価も高いのに、「私なんて……」が、決して謙遜ではなく普通の会話の中で何度も出てきてしまう程、現状の自分を受容できていません。

で、当然ですが苦しそうです。「理想の自分に向かって成長したい!」という楽しそうな様子は皆無。周囲にどんなに評価されても、彼女達の「理想の女性」はもっと仕事ができるし、もっと女性として魅力的だし、もっとプライベートも完璧な筈だから、と、皆口を揃えて言います。まるで自分を苦しめる為に理想を掲げているかのようです。

女性誌はキラキラした「まやかし」

そもそもそんなスーパーウーマン本当にいるんかい!というお話です。

メディアに登場するキャリアウーマンと言われている女性達、「一体いつ寝てるんだ!」「家事も育児も仕事も一人で完璧にこなしてる!?」「何故40代なのに皺もシミもないの?」と少なくとも計3回はシャウトしてしまうような「1日密着取材記事」とかありますよね。

女性誌やwebにたまに載せて頂いている末端として、よくメディアに載ってる女性達の友人知人代表としてこの件お話させていただければ、あれは殆どが「嘘っぱち」です。

まぁ、嘘と言うよりは、編集者さんの善意の脚色があったり、本当の所が書いていなかったり(以前、「家事は適当です。うちの子ホコリじゃ死なないんで」、と言ったりしましたが全カットされていました)という方が正しいでしょう。家事も育児も仕事も頑張った1日がたまには本当にあるけれど、実際にはアウトソース含めて色々な人の手を借りてるし、仕事頑張った日は家事0点、育児15点ぐらいだったりするし、皆、睡眠もたっぷり取ってるし、結構適当だし、意外にくよくよ悩んでいるし、酔っ払って化粧落とさず寝ちゃったりもします。(それは私だけ?)

また、プロのメイクさんとカメラマンの手にかかれば、加齢による皺だって、仕事による眉間の皺だって、巧みなコンシーラーとレフ版とライトで全て無かった事にしてくださいます。結果、肉眼で確認してる鏡の中の自分より、プロに撮られた写真は10歳近く若かったりして、毎回長女(小5)に「ママ、これは軽い詐欺だよ。詐欺行為だよ」と言われてしまう仕上がりなのです。

ワクワクしない理想は今すぐ捨てるべし!

女性誌の虚偽キラキラ掲載はさて置き、会社やコミュニティにもスーパーウーマンに見える女性はいますよね。そんな彼女達だって本当は必死かもしれないし、プライベートではものぐさだったりするかもしれない。何もかも完璧なんて体が持たないから人間どこかで調整するものです。

また、「社内でモデルケースはいますか?」と問うと、「○○さんは別格です。あんな人には絶対になれない」と、社内で一番出世してる女性の話が出されることが多いのですが、深堀りすると「深夜、土日も働いていて、いつ休んでいるのかわからない。あんな風にはなれないです」と。

それは、「なれない」じゃなくて「なりたくない」だったりするわけですが、件の彼女は何と言っても「社内で一番出世した女性」。男性上司からも「○○さんを見習うように」と何度も言われていると「モデルケースにしなければ」と思い込んでしまうのかもしれませんね。

しかし、モデルケースを決める際に、出世しているとか給料が良いという基準だけで判断するのは危険です。「○○さんのようになりたい!」とワクワクするような対象をモデルケースにしなければ、折角努力しても理想に近づけば近づく程苦しい思いをし、結果「自分を認めてあげられない」という状態を作り出してしまうからです。

モデルケースはパッチワークで

とはいえ、そう簡単に「ワクワクするようなモデルケース」が目の前に現れてくれるとは限りません。特に、女性管理職が少ない日本国内の企業において、頑張って役職者になった女性はタフで仕事没頭タイプは多い筈。結局の所、件の「社内で一番出世した女性」と同タイプで、「凄いけど、ワクワクしない」になりかねない。

そんな時はぜひとも、まるでパッチワークのように「A先輩の交渉スキルとB先輩のユーモア、そして取引先のCさんの仕事と家庭の両立っぷりを足した人にしてみよう」とモデルケースの良いとこ取りをしてみてください。

良いところだけ抽出してしまったら、それこそ完璧な人間像になってしまうのでは?とお思いかもしれませんがご安心あれ。パッチワークは、何といっても「つぎはぎ」ですから、完璧に見えがちな「一人のスーパーウーマン」より見た目も含めていい感じに不格好です。でもその分、無理だと思えば別の布にして軌道修正するもよし、小さな布を付け足すもよし、あなただけのワクワクする布を集めて、どんな完成品を目指すかを考える作業が発生します。

「自分の理想とは何か?」を自分自身で一つ一つ考え抜くことが、誰かのコピーではないオリジナルの「真の理想」に繋がり、それは近づけば近づく程あなたに高揚感と達成感を与える筈です。そして、自分を幸せにするための「理想」と共に、キャリア人生そのものを楽しく歩いてゆきましょう。

(川崎貴子)

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