『ウェブニュース一億総バカ時代』著者・三田ゾーマさんインタビュー

「広告のくせに面白い」は信頼につながる ネットニュース運営者が語る、ウェブ媒体が生き残る道

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「広告のくせに面白い」は信頼につながる ネットニュース運営者が語る、ウェブ媒体が生き残る道

ネットニュースが真の価値を獲得するには

ウェブニュースが無料で提供できるのは広告がついているから。それ自体はひとつも悪くないことですが、「ステマ」が横行すると、いずれウェブメディア全体の信頼が失墜するのではと危惧するのは『』(双葉新書)著者の三田ゾーマさん。

前回、ユーザーが賢くウェブニュースと付き合う方法を教えていただきました。今回は、業界を揺るがした本書を出版した経緯、これからウェブニュース界はどうすればいいのかをお伺いします。

面白い広告を作れば、むしろサイトの信頼が増す

――ウェブニュースは一部にはメンバー登録や、課金をするサイトもありますが、広告以外にマネタイズして生き残る可能性はあると思いますか?

三田ゾーマ(以下、三田):正直、無料のニュース媒体が広告以外のマネタイズで生き残ることができる方法があるなら、私も知りたいところです(笑)。

個人的な意見としては、広告そのものは残っていくと思いますが、「媒体と広告主の関係」や「媒体がどのように広告を作っていくか」は生き残るために変化する必要があると思っています。

たとえば、ケンカばかりしている不良青年が捨て猫に餌をあげているところを見たら、「不良だと思っていたけど、根はいいやつじゃないか」と好感度がすごく上がりますよね。ところが、人の良さそうな青年が路地裏で猫をいじめていたら「優しそうな顔して、本当は最悪な奴だったんだ」と逆に好感度が大きく下がります。

これはいわゆる「良ギャップ」「悪ギャップ」と呼ばれるものですが、実は広告についても同じことが言えます。ユーザーはサイトに広告を見に来ているわけではないので、普通であれば「広告であること」は悪い印象を与える要素になります。ところが、ユニークで笑える広告、感動できて何度でも見たくなる広告、読む人にとって本当に役に立つ広告は、ユーザーから見ると「広告のくせに面白いじゃないか」となり広告であることが良ギャップとして逆に作用することがあるのです。

広告を作ろうとすると、どうしても「広告主が言いたいこと」を優先して表現することになりますので、ユーザーを置いていきがちになってしまうと思います。しかし、「うちの媒体ではこのやりかたが本当にユーザーに響くのです」と自信をもって広告主に提案できる媒体になるためにも、なんでも広告主のいうことを聞く「御用媒体」になるのではなく、自媒体の強みや特徴を改めて伸ばしていく必要があると思います。

すこしずつ業界の風向きが変わりつつある

――広告記事に「PR」であることを、ユーザーにわかるように何度も表示する「はてな」の例のように、ユーザーの信頼と広告を両立させるのが最良の道なのでしょうか。

三田:はてなの広告営業mtakanoさんはブログの中で「『PR表記』をファーストビューに大きく出しつつも、ユーザーの皆さんが『PRだけど面白くてためになる』と反応してくれる広告事例をたくさん作れたことに誇りを持っています」と仰っています。これは先ほどの回答と重複しますが、まさに広告における「良ギャップ」を体現している媒体であると思います。

――本書の中で、「業界団体を作って広告のガイドラインを決めるべき」との提案がされていますが、業界関係者から反応はありましたか。

三田
:実は先日、本業の方で付き合いのある広告代理店の担当者から「JIAA(日本インタラクティブ広告協会)のガイドラインを守りたいのだけどどうすればいいか?」というような趣旨の質問をされてびっくりした、ということがありました。これまでは「どうすれば広告っぽさを無くせるか?」「PR表記を外すことは可能なのか?」というような質問しかされたことなかったのですが……。ステマや曖昧なPR表記は逆にリスクになりうる、ということが広告主側に広まれば、媒体側にもそれを追従する動きがでてくると思います。少しずつ業界も変わりつつあるのではないでしょうか。

本当に価値のある媒体になるために

――最後に業界関係者にメッセージをお願いします。

三田:私は今回、業界の内情を暴露する本を書きました。なぜこのようなことをしたのか。特定の媒体や会社を標的にして攻撃したかったからでは決してありません。業界では「常識」と言われることがいかに「異常」であるか、ステマを作り慣れてしまい一般的な感覚が麻痺している現場がいかに危険であるかを、多くの人に問いたかったのです。「これって変ですよね?異常なことですよね?」と。

本書を読むことでユーザーのリテラシーが高まり、ステマの効力が下がれば、いずれステマ以外のマネタイズの方法を業界は考えざるをえなくなるでしょう。その時、ウェブニュースは本当に価値のある媒体になれるんだと思います。「ウェブニュースなんて便所の落書きと同じ」とユーザーからバカにされないためにも、どうすれば我々の業界が本当によくなっていくのかを考えていくきっかけになればと思います。

(穂島秋桜)

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