専業主婦や子供のいない夫婦はダメ? トヨタの「配偶者手当廃止、子ども手当4倍」について考える

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専業主婦や子供のいない夫婦はダメ? トヨタの「配偶者手当廃止、子ども手当4倍」について考える

トヨタ「子ども手当4倍」は誰のため?

政府が所得税の「配偶者控除」の見直しを検討する中、企業にもそのような動きが広まっているのでしょうか。朝日新聞の報道(「」)によると、トヨタ自動車の労使は来年1月以降、「家族手当」を大幅に見直すようです。

トヨタの新制度は本当に政府方針と重なるのか?

現在は専業主婦らに「月額1万9,500円分」を支給している家族手当を廃止する代わり、現在1人あたり基本5,000円の子供への手当を「約4倍」に増額。これにより、子供が2人以上いる社員は手当が増える一方、妻が専業主婦などで子がいない場合は大幅減となります。が、この「トヨタの制度改正」、果たして報じられたように、「女性に就労を促し、子育ても支援する国の政策を先取りする」(記事本文より)ものでしょうか?

新聞記事は、今回の制度改正を、次のように評価しています。

「安倍政権は人口減対策として子育て支援の強化に加え、女性の就労を促す方針を打ち出している。『専業主婦の働く意欲を損ねている』との指摘がある所得税の配偶者控除の見直しを検討するほか、……(略)……産業界を代表するトヨタに続き、ほかの大企業にも同様の動きが広がる可能性がある」(記事末尾より引用)

これを読むと一見、トヨタの制度が、「専業主婦が社会に出て働くことを促し、『共働き子育て』がしやすい社会を目指す政府方針と重なる」というようなニュアンスがあります。しかし、実際は微妙に異なります。新制度では「妻が専業主婦でも勤め人でも、子供をより多く産めば手当が増える」ようになっているとも考えられるのです。

恩恵を受けるのは働く女性ではなく、子もちの専業主婦

『2016年版 四季報女子版』(東洋経済新報社)によると、トヨタは男性従業員が6万831人に対し、女性従業員7,392人。9割が男性ですね。トヨタ自動車ほどの大企業であれば、夫の転勤などで、やむなく専業主婦(やパート主婦)になった妻も多いでしょうから、新制度をきっかけに、専業主婦たちが「子供を2人以上産もう」という気持ちになるとすれば、それは歓迎すべきでしょう。

少子化対策として、「女性が子供を産みやすい環境を整えたい」ならば、女性が主婦であろうが勤め人であろうが、シングルマザーであろうが、子供を産み育てやすい社会をつくるべきです。この考え方からすれば、トヨタの制度改正は一定の評価ができます。これをきっかけに「子供を中心とした支援制度をつくるべき」という考え方が、社会全体へと広がるのではと感じます。

ただ、トヨタの制度改正を「女性に就労を促し、子育ても支援する国の政策を先取りする」と報じる記事は、「専業主婦や子供のいない夫婦はダメで、子供を沢山産む共働き夫婦こそ素晴らしい」という考え方だと受け取ることもできます。大前提として、「子供を産む・産まない」は女性の自由。ただ、もし「産みたい」なら、どんな女性でも、子を産み育てやすい社会が理想です。それが転じて、「子供のいない夫婦バッシング」や「子供を産まない女性(男性)バッシング」につながらないか、今回の報道を見ても、大変心配なところです。

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