日本一ちっちゃな働きかた改革 第21回 田中美和さんインタビュー(第1回)

広報、人事、マーケ…文系総合職はみんなフリーランスに転身できる? 

SHARE
広報、人事、マーケ…文系総合職はみんなフリーランスに転身できる? 

「日本一ちっちゃな働きかた改革」
の連載一覧を見る >>

「フリー編集長」と「社畜プロデューサー」というまったく異なる立場から、Duniakita編集部というチームを運営している鈴木円香(33歳)と海野優子(32歳)。

脱サラした自営業者とマジメ一筋の会社員が、「心から納得できる働きかた」を見つけるため時にはケンカも辞さず、真剣に繰り広げる日本一ちっちゃな働きかた改革が現在進行中です。

海野P(左)と鈴木編集長(右)

海野P(左)と鈴木編集長(右)

最近では「フリーランス」という働きかたも選択肢の一つとしてクローズアップされています。でも、フリーランスといえば、アナウンサー、デザイナー、編集者、ライターといった職種でないとなれないイメージも。実際のところ、フツーの会社員にとっても選びうるワークスタイルなのでしょうか?

そこで今回は、主に文系総合職の女性に向けてフリーランスという働きかたを提案している、株式会社Waris(ワリス)共同代表で一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事でもある田中美和(たなか・みわ)さんに話を聞きました。

田中さん(右)にふたりで話を聞きに行きました

田中さん(右)にふたりで話を聞きに行きました

なってみたら、まわりにも勧めたくなった

鈴木:田中さんは11年にわたり大手出版社に記者・編集者として勤められたのち独立してフリーランスに。現在はご自身が立ち上げたWarisにて、経営企画、マーケティング、広報、人事、経理、財務など、事務系総合職の経験があるフリーランス女性に、仕事をマッチングするサービスを運営されています。

やっぱり今の時代、フリーランスという働きかたに可能性を感じていますか?

田中美和さん(以下、田中):はい、今ではとても可能性を感じていますが、独立前はそこまで意識してはいなかったんです。

11年間の会社員生活のうち7年間は、月刊誌『日経ウーマン』の記者として働く女性を取材してきました。その経験を通じて女性の働きかたをめぐる課題がいろいろと見えてきて。社会人として最初の10年はその課題を「伝える」ことに携わってきたので、次の10年は「解決する」ことに関わりたいな、と。ただ月刊誌はとても多忙なので、まずは考える時間を持つために辞めてみた、という感じでした。

鈴木:具体的なプランがあったというより、ひとまず辞めて考えようと?

田中:はい。自分に何ができるかは明確には見えていなくて。33歳でとりあえず辞めてフリーランスになってみたんです。在職中にキャリアカウンセラーの資格を取得していたので、ライターの仕事とカウンセラーの仕事の2軸でやっていこうと考えていました。

鈴木:実際になってみてどうでしたか?

田中:でも、なってみると、すごくいいな、って感じて。時間と場所を自由に選べることが、心をこんなに軽くするんだ、と。仕事も選べるし、一緒に働く人も選べる。この働きかたをもっと他の女性にも広めたいな、と思いました。

広報、人事、マーケもフリーに転身できる

鈴木:時間と場所をコントロールできるだけで、ストレスは劇的に減りますよね。ただ、私たちのような編集者やライターは比較的フリーになりやすい職種だと思うんですが、それ以外の職種はフリー転身が難しいのでは?

海野P:(まさに! そこが聞きたい!)

田中:実はフリー転身後、ライターの仕事は前職時代のツテもあり順調だったんですが、キャリアカウンセラーのほうは実務経験がなかったため、ゼロからの仕事探しでした。でも、ある時フリーランスのカウンセラーに仕事を紹介している会社の社長さんと知り合う機会があり、そこから就活中の大学生のためのキャリアカウンセリングや、企業で再就職のアドバイザリーを担当することになりました。

その時、初めてフリーランスの人事がいるんだ!という発見があったんです。やがてフリーランス同士の横のつながりもできて、人事の他にも広報、経理、マーケティングの仕事をフリーでやっている方の存在も知りました。こういうジャンルまでフリーランスが広がれば、働きかたが変わるかもしれないと初めて気づいて。

鈴木:ご自身もフリーになってみて、初めて「いたんだ!」とその存在に気づいたんですね。

田中:そう、フリーランスとして働きたい女性は、実はいっぱいいるんじゃないか。でも、仕事があるか不安だから踏み出せないだけかもしれない。そこで共同経営者の米倉と河の3人でWarisを立ち上げました。米倉はすでにフリーランスとして働くワーママで、河は人材系企業で女性の労働市場を見てきたプロでした。3人とも雇用にこだわらない働きかたに可能性を感じていたんです。

鈴木:「雇用にこだわらない」は大きなポイントですよね。「雇用された正社員じゃないきゃイヤ!」という人もまだまだ多いと思うんですが、雇用にこだわらなければ、働きかたの幅はぐんと広がります。

photo1-3

フリー転身の準備は在職中から

鈴木:2013年6月にサービスを正式にローンチされてから4年になりますが、やはりフリーランスになりたい女性は多いですか?

田中:現在Warisには約4000人が登録していて、4年制大学卒の総合職の女性が中心です。平均年齢は38歳。職種は、広報・マーケティングが2割強、人事や管理、財務が2割弱、営業関係も2割ほどです。実はWarisに登録されている方のうち6割がまだ会社に勤めていて、完全にフリーランスの方は13%だけ。会社員としての年収帯は500万〜1000万円くらいの方々ですね。

鈴木:会社員として在職中なのにフリーランスの仕事もやっている???

田中:在職中でWarisに登録しているのは、キャリアチェンジを考えている人です。育児や介護との両立を考えた時に、フレキシブルなワークスタイルに変えられるようにしておきたいというニーズ。いい案件が見つかったら、それを機に会社を辞めたいという方もいますし、すでに退職が決まり案件を確実に獲得したいという方もいます。

鈴木:なるほど、会社を辞めた直後もフリーとしてすぐに仕事を受けられるよう、在職中からマッチングしておくんですね。

田中:やっぱり独立1年目は大変です。どうやって最初の仕事を獲得するか。それがフリーランスの最初の壁ですよね。そこでつまずいてうまくいかないと、「やっぱり私にはフリーは無理なんだ……」となっちゃいますから。

鈴木:フリーの醍醐味を味わう前にくじけちゃうともったいないですよね。

田中:「最初の仕事を確実に獲得したい」というニーズの他にも、「仕事の幅を広げたい」というニーズもあります。会社員からフリーになると、まずは前職や仕事仲間を経由してもらう仕事が中心になってきます。それ以外の、自分ではリーチできないクライアントから仕事を獲得したいという相談もよく受けます。

photo1-4

週2、3日のコミットでもOK

海野P:実際、文系総合職系でフリーランスになると、どういう仕事を受けることになるんですか? 漠然と「フリーって自由でいいな」って思うけれど、具体的にイメージできなくて。

田中:Warisの場合、クライアント企業は現在1300社ほどですが、うち7割が中小・ベンチャーです。IT系の企業が多くて、全体の4割ほどを占めています。

中小・ベンチャーは大手に比べると、限られたリソースを活用しなくてはいけないので、手取り足取り教育している余裕がなんです。そこで、ウェブマーケティング、広報、人事など、各ジャンルでひとりで走れる人材を求めているんです。

海野P:なるほどー。「文系総合職」ってそういうところにニーズがあったんですね、知らなかった……。

田中:そもそも中小・ベンチャーは、職種や業務内容によっては週5・8時間のフルコミットを必ずしも必要としないケースがあるんです。週に2、3日、1回数時間関わってもらえるだけでも助かるという感じです。必要な時に必要なだけ専門性の高い人材に来てほしいわけです。

海野P:週2、3回のコミットならハードルが低い。

田中:最小単位だと週1日の案件もありますね。例えばPRのアドバイザリー業務は、最小単位でも働きやすい職種です。クライアント企業のPR戦略を見直して、新しい戦略を社内のチームと一緒に練っていくような仕事。また採用代行も数時間単位でやれます。なかには採用の面接業務だけを切り出して受けているフリーの方もいますよ。「新卒の採用が得意」「エンジニアの採用に強い」など、「採用」という領域一つをとってもそれぞれに得意分野がありますから。

鈴木:そういう案件を何本獲得するかによって、自分の仕事量を調整していくんですね。第2回はフリーになった時「何屋さん」としてやっていくか?という問題について聞いていきたいと思います。

(構成:Duniakita編集長・鈴木円香)

この連載をもっと見る

日本一ちっちゃな働きかた改革

脱サラした自営業者のDuniakita編集長・鈴木円香と、社畜プロデューサー海野Pのふたりが、時にはケンカも辞さず本気で持続可能なワークスタイルを模索する連載です。

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

広報、人事、マーケ…文系総合職はみんなフリーランスに転身できる? 

関連する記事

編集部オススメ

仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。その両立って本当に必要?改めて問い直すキャンペーンが始まります。

後悔のない30代を過ごしたい。ありとあらゆる分野のプロフェッショナルに、40歳から自分史上最高の10年を送るために「30代でやっておくべきこと」を聞いていきます。

記事ランキング
здесь

читать далее