貴女も「ハイスペ女子」かも…彼女たちの今どきの苦悩【#両立って必要?】

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貴女も「ハイスペ女子」かも…彼女たちの今どきの苦悩【#両立って必要?】

「#両立って必要?」
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仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。理想の自分になるためにがんばってはいるけれど、時々しんどくなってしまうことも。

今回、Duniakitaでは、そんな悩ましい両立について、改めて問い直してみるキャンペーンを始めました。その両立は貴女の人生に本当に必要なものなの? 貴女が幸せになれる両立ってどんなカタチ? 一度、一緒に考えてみませんか?

やりがいのある仕事も、好きなことを迷わずできるだけの収入も、手に入れたいものは努力によって着実に手に入れてきた。そんな女性を「ハイスペ女子」と呼ぶならば、もしかしたら貴女自身も当てはまるのかもしれません。

「ハイスペ女子」という存在が生まれたのは1990年代。「短大卒業後、一般職で寿退社が勝ち組」とされていた時代から、バブル崩壊で一転して、女も4年制大学を出て総合職に就かないと生きていけない時代となったことが「ハイスペ女子」誕生のキッカケといわれています。

産業医で『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社)の著者である矢島新子(やじま・しんこ)さんいわく、最近のハイスペ女子には、かつてのハイスペ女子には見られなかった傾向があるそう。

その最大の要因は「仕事かプライベートか」ではなく、「仕事もプライベートも」になったことにあると言います。

「ハイスペ女子」に定義はない

——「ハイスペ女子」という言葉はよく耳にしますが、実際のところ定義があいまいですよね。

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矢島新子先生(以下、矢島):そうですね、「学歴が高い」「収入が高い」「社会的地位の高い職業に就いている」「ルックスがいい」など、いろいろな角度から一般にスペックが高いと思われている女性を指しているだけで客観的な指標にもとづいた定義はないですね。

実際に「ハイスペ女子」と呼ばれる女性が「自分はハイスペ女子だ」と自覚しているかといえば、微妙です。子どもの頃からがんばってきて、いい学校に入って、いい仕事に就いてそれなりにプライドはある。でも、「選ばれた者」っていう優越感はなくて、「言われてみればハイスペかな……」って感じではないでしょうか。

——そうかもしれません。Duniakita読者は4年制大学を出て年収400〜600万という層ですが、ある意味「ハイスペ女子」と呼べるかもしれませんね。

矢島:その女性がハイスペ女子であるかどうかは、相対的に決まるんです。たとえば、東大を出ていてもグローバルな舞台で仕事をしていれば、海外の有名大学はいくらでもある。そういう世界を見ていれば自分をハイスペだと思わず、「もっとがんばらなきゃ」と自分にプレッシャーをかけてしまいますよね。これは極端な例かもしれませんが、ハイスペ女子には往々にしてそういう傾向が見られますね。

——この条件が揃えば「ハイスペ女子」とは言えないわけですね。

矢島:そうなんです。ただ、ハイスペ女子は、たいてい共通して「自分はまだまだ足りない」と感じています。まわりも同じようなスペックだし、そもそもアンビシャスで努力家なので、いつでも「自分なんてまだまだ」って思っちゃう。これは大きな特徴です。そして、みなさん、基本的にピュアですね。世の中にいい影響を与えたいとか、いいものを作り出したいとか、本質的なところで生きようとしている人が多いです。

両立当たり前時代のハイスペ女子

——同じハイスペ女子でも世代によって考えかたに差があるそうですね。

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矢島:はい。ハイスペ女子と呼ばれる存在が出てきたのは、バブルが崩壊した1990年代。ということは現時点で主に40代、30代、20代のハイスペ女子が社会にいるわけですが、世代によってその思考や中身はかなり違いますね。

たとえば、今の40代は「ハイスペ女子=バリキャリ」でした。私の場合は医師ですが、「結婚する=仕事を辞める」という時代でしたから、プロとしてキャリアを築きたければ「結婚しないで、がんばります!」と言わないと医局にも研究室にも残りにくい雰囲気でした。そして、それは一般企業でも同じでした。

——30代のハイスペ女子はどう違うんですか?

矢島:今の30代、ちょうどDuniakita世代にあたるハイスペ女子は、最初からワークライフバランスを求めています。仕事を続けてキャリアを積むのは当たりまえ、もちろん結婚もしたい、と。それに男性側も女性に結婚後もずっと仕事を続けてほしいと求めています。

——「仕事かプライベートか」の二択の時代から、「仕事もプライベートも」という両立の時代になったんですね。

矢島:上の世代のハイスペ女子は「キャリアを積むためなら何でもやります!」というスタンスだったんですが、今の30代、特に30代前半のハイスペ女子はやりたいことをやってキャリアを積みたいと考えているようです。

パートナーとは対等になったけれど

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矢島:特に金銭面の意識は、40代と30代のハイスペ女子では大きく違うな、と感じます。40代はプロとして仕事をしてちゃんと稼いでいても生活費は夫が負担して、自分が稼いだ分は自分で使うという感じだったんです。ところが今の30代は、生活費は折半が基本。なかにはパートナーがハイスペ女子の収入を当てにしていて、心身に不調をきたして休職したくても、「休まれては困る」と止められるケースも増えているんですよ。

——対等になったけれど、家計を支えているがゆえに「稼ぎ続けなきゃ」というプレッシャーを感じているんですね。

矢島:はい。それもあって、最近のハイスペ女子の間では、かつて中年男性が口にしていたようなことを言う人が増えています。たとえば「自分の貯金額を知りません」とか。自分は仕事で忙しいから、お金の管理は自分より時間の余裕があるパートナーに任せちゃう。銀行の通帳も預けちゃってるので、月々の収入も出費もわからない、と。

——確かに、私の父親の世代は、奥さんが財布のひもを握っていて自分では1円たりとも動かせないという男性は少なくないような気がします。それと似てきていると。

「脱落しちゃいけない」という危機感

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矢島:今のハイスペ女子がつらいのは、キャリアから降りられないからなんです。理由は大きく分けて2つあって、1つは先ほど申し上げたように、稼ぎ続けることを求められているから、もう1つは「脱落しちゃいけない」という危機感があるからです。

中高が進学校で、その同級生の結構な割合が同じような大学に進学してキャリアを積んでいく……。途中で「これ、自分のやりたい仕事じゃないかも……」と気づいても脱落したらどうしようという不安から方向転換ができずにいるハイスペ女子は少なくありません。

——「自分がやりたいことをやる」という決断が苦手なのかもしれないですね。

矢島:心の中では他にやりたいことがあっても、途中でキャリアの方向転換が難しい。もともとしっかり者なので、職場でも「あいつに任せとけば大丈夫」と期待されて、その期待に応えようとするばかりに余計に舞台から降りちゃいけないと考える。昔はそんな時の逃げ道として結婚があったんですけど、今は選択肢にないから一層つらくなっちゃうんです。

ハイスペ女子が病むパターン

——先生は日頃から産業医として、働く女性の相談を受けていらっしゃいますが、ハイスペ女子が病んでしまうケースもよく診られるそうですね。

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矢島:はい、ハイスペ女子にはPMS(月経前症候群)とパニック障害が多いですね。なかでも注意が必要なのが摂食障害です。仕事のストレスから食欲が過剰になって嘔吐を繰り返している過食症もあれば、逆に食べものを受けつけなくなる拒食症もあります。相談者の中には、体重が22キロの女性もいましたね。でも不思議と職場の人は気づかないんです。「痩せてる人だと思ってた」って感じで。

——なぜ、ハイスペ女子に摂食障害が多いんですか?

矢島:ハイスペ女子で摂食障害を抱えている人によく見られる特徴があるんです。それは「貯金が得意な人」。今月はいくら貯める、今週の出費はいくらに抑えるという目標をキチッと達成できる人は、自分の体重も0.5キロ単位でチェックしちゃう。数字を細かく詰めるのが得意だから、体重管理もストイックになるんです。

——仕事をきちんとやる性格が裏目に出ちゃうんですね。でも、そういう女性は案外いるような気がします。

矢島:摂食障害は周囲が気づきにくいんです。私の感覚では、体重が30キロまで落ちてしまうような深刻なケースは1000人に1人くらい。摂食障害の人の中で、拒食症で亡くなる人と自殺で亡くなる人を合わせて15%。これはかなり高い割合です。

でも、ここからが摂食障害と明確にラインを引けるものではないし、時代の風潮としてみんなが痩せたいと思っているので、潜在的なリスクのある女性はもっと多いかもしれませんね。体重が40キロしかなくても「太っている」と感じている女性はいますし、ストレスから過食と嘔吐を繰り返している女性もいます。

——まわりが気づいていないだけで、摂食障害のリスクがある女性は結構いるかも、と。

矢島:ですね。「貯金が得意」のほかに、もう一つよく見られる特徴があるんですが、それは「進学校に通いながらバレエをやっていた人」。何でも完璧にやらなきゃという意識が子どもの頃からあるんですね。そういう人は明らかに病気でも自分が病気かもしれないとも思わないし、病院に行くように勧めても「私は元気です」と拒む。体重が減ると活動性が高まり頭も冴えるので、本人はそう感じてしまいます。

誰にでも「いい顔」をしてしまう

——最後に今どきのハイスペ女子への処方箋をください。

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矢島:誰にでもいい顔をしようとするのが、ハイスペ女子の特徴です。職場でも家庭でも、ボーイフレンドやパートナーに対してさえ「いい顔」しか見せられない。仕事以外の時間も、家事と「見た目」を保つための体のメンテナンスで全部消えてしまう。結局、24時間全部「こうであるべき」に支配されているんですね。すると、不意に「なんで自分はこんなことをしているんだろう?」という思いに駆られて病んでしまいます。

——「いい顔」しか見せられない……そういう女性は多い気がしますね。

矢島:まずは「自分の時間をコントロールしているのは、他でもない自分」という感覚を失わないことですね。この仕事は自分がやりたいからやっている。プライベートとの両立も自分がやりたいからやっている。そういう感覚を維持すること。

——「やらなきゃ」から「やりたい」に変えていくんですね。

矢島:はい。「自分以外の何かから動かされている感じ」をなくしていくんです。具体的には、1日10分でいいから自分が本当に好きなことをやる時間を持つことから始めてみてください。夜、職場から自宅に帰るまでの間にカフェで本を読むという程度のことでいいんです。これだけでも自分でコントロールしている感覚を取り戻せると思います。

——まずは1日10分のリハビリから。

矢島:「I want to(やりたい)」で始めたことも、忙しい毎日を送っていると、いつのまにか「I have to(やらなきゃ)」に変わってしまっていたりするんです。その渦に巻き込まれないためにも「1日10分」から始めてもらいたいですね。

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