日本一ちっちゃな働きかた改革 第16回 森本千賀子さんインタビュー(前編)

私、意外に市場価値あったんだ…こんな仕事、誰でもできると思ってたけど。

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私、意外に市場価値あったんだ…こんな仕事、誰でもできると思ってたけど。

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「フリー編集長」と「社畜プロデューサー」というまったく異なる立場から、Duniakita編集部というチームを運営している鈴木円香(33歳)と海野優子(32歳)。

脱サラした自営業者とマジメ一筋の会社員が、「心から納得できる働きかた」を見つけるため時にはケンカも辞さず、真剣に繰り広げる日本一ちっちゃな働きかた改革が現在進行中です。

海野P(左)と鈴木編集長(右)

海野P(左)と鈴木編集長(右)

新卒で就職してから10年前後、そろそろキャリアチェンジをしようかな?と悩み始めるDuniakita世代ですが、転職するにしろ、独立するにしろ、知っておきたいのが「自分の市場価値」。

今の私って、社会人としてどのくらい価値があるの?

そして、今後その価値はどのくらいまで上げられるの?

今回はリクルート エグゼクティブ エージェントでエグゼクティブ・コンサルタントを務める森本千賀子(もりもと・ちかこ)さんに、「社会人10年目32歳、IT企業勤務のメディアプロデューサー」海野Pの市場価値を聞いてみることに。

海野P同様、キャリアの岐路にあるDuniakita世代のみなさん、「自分の市場価値」って考えたことありましたか?

まずは恒例のボヤきから…

鈴木:森本さんといえば、トップ・キャリアコンサルタントとして業界内にとどまらず名前を知られた存在です。現在は企業の経営層を中心にエグゼクティブの転職相談を主に手がけられていますが、普段から20代、30代の女性のキャリア相談に乗られることも多いそうですね。

森本千賀子さん(以下、森本):はい。ちょうど海野さんくらいの方からよくキャリア相談を受けますよ。この世代の女性はみなさんいろいろと迷われていますね。

海野P:ですよね(苦笑)。私は今年で社会人10年目で、今の会社が2社目です。3年半前に「Duniakita」を立ち上げてメディアプロデューサーをやっています。仕事は楽しいし、メディアで情報発信をするのは本当にやりがいを感じているんですけど、自分がこれまでやってきたことが、価値として自分の中に蓄積されていっているかといえば自信がなくて。私って本当に社会人として価値あるのかな?転職市場でニーズあるのかな?って。

鈴木:……と、今回もこの連載恒例の海野Pのボヤきから始まりましたが、海野P同様、20代後半から30代で年収400万〜600万円のDuniakita世代は、そろそろキャリアチェンジを意識して「自分の市場価値」が気になるお年頃。転職するにしろ、独立してフリーになるにしろ、自分の強みとその価値を把握しておきたいんです。

森本:なるほど、なるほど。ちょうど海野さんくらいの方の相談に乗っていても、自己評価と他者評価が食い違っていて「私、そんなにできないし……」と自信がなかったり、10年後のキャリアを意識した時に「今のままじゃダメだ」と気づいたもののどうしていいかわからなかったりという話を本当によく聞きますよ。

海野P:この連載で散々「社畜」って呼ばれてますけど(笑)、私、本当にこれまでレールの上を歩んできた人間なんです。特に「これがやりたい」ということがないまま、社会人として10年間、仕事をがんばってきてしまいました。プログラミングとか、デザインとか、営業とか、何か一つでも専門があれば、もっと自信が持てたのかもしれないけれど……。どれも中途半端だから、自分の価値がわからないんです。

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「35歳転職限界説」はもう終わった

森本:結論から言っちゃうと、海野さんの場合、自分の市場価値を考える時に、「経験」をウリにしなくてもいいんです。32歳で大事なのは「経験」より「コンピテンシー」。さらに言えば、そのコンピテンシーをもとに発揮できるポテンシャルです。

海野P:コンピテンシー?

森本:そうです。例えば、ウェブ媒体の編集という仕事についてコンピテンシーを考えてみると、話題になる記事を考える「企画力」、取材をするための「コミュニケーション力」、原稿を書くための「語彙力」や「構成力」というふうに、小さなスキルにブレイクダウンしていくことができます。こうして分解されて出てくるスキルが「コンピテンシー」なんです。

そして、32歳の海野さんの場合、「ウェブ媒体のプロデューサーを3年やりました」という経験よりも、どういうコンピテンシーを持っているかの方が重要です。

海野P:もう社会人10年目だし、「経験」が評価されると思ってました。「こんなことやってきました!」っていう実績というか。

鈴木:逆に「経験」が求められるのは、何歳くらいからなんですか?

森本:一概には言えないんですが、企業側が経験を求めるようになる、つまり「即戦力としてほしい」と考えるようになるのは、30代後半からアラフォーにかけてでしょうか。転職で「これまで他社でやってきたことを、うちでもそのまま再現してよ」と求められるようになる段階ですね。

昔は「35歳転職限界説」というのがあったんですけど、最近その年齢がどんどん後ろ倒しになってるんです。今は全然35歳が限界じゃないですね。アラフォーでもポテンシャルを期待されてまったくの異業種に飛び込んでキャリアチェンジができる時代ですから。

海野P:そうなんですか!? まだまだフツーに「35歳転職限界説」を信じてました。あと3年以内くらいで自分のキャリアの方向性を固めなきゃ、とどこか焦ってました……。

森本:ただ女性となると、妊娠・出産があるのでちょっと事情が変わってはくるんですが、「自分の市場価値」を考えるという意味では、35歳という年齢を意識する時代は、もう終わったと言っていいと思います。

「なかなかいいカード持ってますね」

森本:市場価値を知るにはまず、自分にどういうコンピテンシーがあるのだろう?と分解することが大事ですね。自分のコンピテンシーがよくわかっていれば、もっと自由にキャリアを選ぶことができるんです。つまり、今ウェブメディアの世界にいるからといって、次も同じ業種で探す必要はないんです。

鈴木:では、さっそく海野Pの「コンピテンシー」を分解していきたいと思います。

森本:普段どんなお仕事されてるんですか?

海野:何でもやってます(笑)。もともとはディレクターとして「Duniakita」以前からいろいろとサービスを立ち上げてましたが。今は一応プロデューサーとして「Duniakita」という事業がどうやったらビジネスとして回るか設計したり、数値目標をクリアしているか管理したり。プロジェクトリーダーのような立場でもあるので、チーム全体のマネジメントもしてますし。営業担当者に同行して営業を手伝ったり、PRイベントがあればその企画・運営もやったりします。

鈴木:あと、人手が足らない時期は経理処理や契約書まわりもやってくれてたし、時には問い合わせメールの返信まで。あとは私の愚痴聞きも。ホント、働き者なんです、海野Pは。

森本:おお、なかなかいいカード持ってますね。

海野P:(!!!)

鈴木:(!!!)

森本:海野さんのコンピテンシーの中で特に強いのが、マネジメント力とプロデュース力ですね。海野さんは、「Duniakita」という新規事業を社内で立ち上げてプロジェクトリーダーをやり、営業経験も積みながら、プロデューサーとマネジャーも同時に務めているわけです。

鈴木:そういうふうに言うと、なんか華々しい。

海野P:なんか、すごい人みたい。

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できてなくても「やった」うちに入る

森本:まず32歳にしてマネジメントをやってること。これがすごくいいカード。特に女性の場合、子供を持つ可能性を考えると、35歳までにマネジメントを経験しておいた方がいいんですけど、これが大手だとかなり難しいんです。だから、海野さんみたいに社内ベンチャー的なプロジェクトでリーダーをやっているのは、かなりの強みですね。

海野P:でも、一応やってるだけで、実際できているかというと……。本当に小さなチームだし、誰から教えられたわけでもなく試行錯誤でやってるので、メンバー間でトラブることもたびたび。全然うまくやれてる実感ないです。それでも「やった」のうちに入るんですか?

森本:はい、十分「やった」うちに入ります

鈴木:おお、この苦しみにも意味があった、と(笑)。よかったね!

森本:大事なのは、マネジメントが大変だとわかっていることなんです。その苦労を味わったことがあれば、次に別のチームでマネジャーをやる時も、苦労との付き合いかたや向き合いかたがわかってる。これが未経験のままだと、とんでもなく高い壁に感じて「もう無理!」ってなっちゃう。とりあえずやったことないから不安ってなっちゃう。女性の場合、「やったことがない不安」のせいですごくハードルが高くなる傾向はありますね。

女性にとっての最強カードは?

森本:マネジャーのカードも、プロデューサーのカードも、市場価値としてはすごく高いんですが、現時点だとプロデューサーの方が多少高いかもしれないですね。

ただ女性に限ると、マネジャーのほうが市場価値はあります。というのも、やっぱり圧倒的にマイノリティだから。世の中的には「女性管理職を増やせ!」という空気感になっているので、需給バランスで考えると、断然需要のほうが多いんです。

鈴木:結局、どっちのカードもおいしいってこと!

海野P:なんと!

森本:海野さんは、マネジャーとしても、プロデューサーとしても、「自分は中途半端」とおっしゃいますけど、私なら、海野さんのこれまでキャリアを「変化対応力がありそうだな」と判断します。これだけいろいろな仕事をこなしてきたということは、どんな環境でも柔軟に対応する力があるだろう、と。「中途半端」ではなく「変化対応力がある」と見るわけです。

海野P:(ぐすん……)

鈴木:(海野P、今日も取材についてきてよかったね!)

後半では、前半で見えてきた海野Pの市場価値をもとに、これからの海野Pのキャリアの選択肢について考えていきたい思います。

(構成:Duniakita編集長・鈴木円香)

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脱サラした自営業者のDuniakita編集長・鈴木円香と、社畜プロデューサー海野Pのふたりが、時にはケンカも辞さず本気で持続可能なワークスタイルを模索する連載です。

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