「好奇心を持つことは大事なこと」仏女優、イザベル・ユペールさんに聞く

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「好奇心を持つことは大事なこと」仏女優、イザベル・ユペールさんに聞く

フランス映画界を代表する女優、イザベル・ユペールさんが主演する映画『エル ELLE』(ポール・バーホーベン監督)が8月25日(金)から公開されます。

フランス女性と言えば、日本では「自由奔放」「芯が強い」「人の目を気にしない」とうイメージがあるせいか、その生き方に憧れる女性も多いのではないでしょうか?

今回、ユペールさんが演じたのは、「普通じゃない」やり方で暴行事件の真相に迫っていく女社長という役。ユペールさんに話を聞きました。

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「人の目が気になるのはみんな同じ」

ユペールさんは、1953年、フランス・パリ生まれ。カンヌ、ヴェネチア、ベルリンという世界三大映画祭のすべてで賞を受賞。最新の日本公開作『エル ELLE』ではセザール賞(仏版アカデミー賞)や米ゴールデン・グローブ賞を受賞し、フランス映画でありながら米アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされました。
 
今回、『エル ELLE』を携えて来日したユペールさん。シンプルなパンツススーツ姿で取材部屋のソファに腰掛ける彼女は、驚くほど小柄。64歳という実年齢を感じさせない少女のような可憐さですが、映画の中ではかなりアブナイ女を演じています。

主人公のミシェル(ユペール)は、ゲーム会社の女社長。仕事ができて、リッチで、性に関しても奔放。物語は、彼女が自宅で覆面姿の男にレイプされるところから始まります。性犯罪の被害者なのに、なぜかまったく取り乱さず、警察にも届け出ないミシェル。それどころか、自分のやり方で犯人に復讐しようとします。そんな異様な行動の裏には、家族にまつわる過去の事件が関係していました。

「こうあるべき」という常識にとらわれがちな日本人からすると、ミシェルのとる数々の行動はインモラルで、常軌を逸しています。

ユペールさん、周囲の目が気になる私たちが、ミシェルから学べることはありますか?

「人の目が気になるなんて、人間みんなそうじゃないかしら」

今回の来日で複数メディアの取材を受け、おそらく“フランス女性的な生き方”についても質問されてきたのでしょう。

「日本のみなさんが思っているほど、フランスの女性は自由じゃないわよ。これは哲学的な意味で、だけど。人はそれほど自由ではないと思うわ」

確かに『エル ELLE』でも、登場する男たちは清々しいほどクズ揃い。女性たちが彼らに苦しめられ、そして立ち向かう構図になっています。

「ミッシェルは勇気があるし、とても知的で、自分から何か行動しようという気持ちのある人。ただ、彼女はあくまでもフィクションの人物。1つの女性のタイプを示しているだけよ。だから、彼女から皆さんに与えられる教訓は何もないの」

「私とミシェルの共通点はたくさんある」と言いつつも、あくまで演じる役は役、自分は自分、他人は他人というスタンスが垣間見えます。映画のタイトル「ELLE」とは、フランス語で「彼女」という意味の単数形。ユペールさんから感じるのは、映画のミシェルと同様、独立した「個」としての意識の強さです。

「ミシェルは自分にふりかかってくる事件に関して、感傷的になるようなことはまったくありません。距離を置いて、冷静に眺めています。普通の人なら心が崩壊してしまいそうな経験をしているのに、彼女はむしろそこから自分自身を分析して、遭遇する事件や不安を超越し、自分と男性たちとの関係、父親との関係、そして彼女本来の姿を見つめていくのです」

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大事なのは「常に好奇心を持つこと」

輝かしいキャリアを築いてきたユペールさん。女性たちが長く働き、キャリアを積んでいくために、20代、30代のうちにやっておいたほうがいいと思うことは何ですか?

「さっきも言ったけど、私、人にアドバイスするのはあまり得意ではないの。ただ、常に好奇心を持っているということは大事だと思います。いろんな人と会うとかね。そのときすぐに結果は生まれなくても、将来的に何かの役に立つことがありますから」

日本では、60代の女優がミシェルのようなセクシャルな役をオファーされることはないでしょう。『エル ELLE』のミシェルは、設定上では40代。いくら美しいとはいえ、正直、ユペールさんだって40代として見るには無理があります。けれど、観客に「別にこの人、何歳だっていいや。だってセクシーだもの」と思わせてしまう“何か”を持っている。_ELL3618s

「子どもの頃から、自分が有名な女優になるなんて全く思っていませんでした。ただ私自身、その頃から何も変わっていないと思います。もちろん、まわりは変わったと言うかもしれない。でも、私が持っているものは、何も変わっていないの」

少女のように見えるのも納得の言葉。

取材が終わると、去り際こちらに軽くウィンクして颯爽と次の予定に向かっていったユペールさん。何者にも比べられない彼女だけのチャームがそこにありました。

『エル ELLE』は8月25日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国にてロードショー

(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

(取材・文:新田理恵、写真:宇高尚弘/HEADS)

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