脳神経外科医・菅原道仁さんインタビュー 後編

何をやってもうまくいかない時に試して…「不安」を行動力に変えるプチ習慣

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何をやってもうまくいかない時に試して…「不安」を行動力に変えるプチ習慣

失敗が続いたりして落ち込んでいる時、「もっと前向きでポジティブな自分に変わらなきゃ!」とつい自分にプレッシャーをかけてしまうことはありませんか?

ところが、『成功する人は心配性』(かんき出版)などの著書を持つ菅原脳神経外科クリニックの菅原道仁(すがわら・みちひと)先生によれば、「成功者と呼ばれる経営者やスポーツ選手、アーティストなどは、実は心配性の人が多い」のだとか。

松下幸之助も、スティーブ・ジョブズも、イチローも、心配性だったからこそ成功をつかめた!? 菅原先生に聞く、心配性をコントロールして目標を叶える力に変えるコツ。今回は、不安を行動力に変える具体的な方法について聞きます。

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<前回>「心配性は優れた才能」不安をプラスの力に変えるコツ

LINEを活用して視点を変える

——不安な時は誰かに話すとラクになると言いますよね。でも心配性な人って、「忙しい時に話を聞いてもらうのは迷惑かも……」と思ってしまい、なかなか相談できない場合も多いのではないでしょうか?

菅原道仁先生(以下、菅原):相談する前からそう思い込んでしまって、なかなか「聞いて!」の一言を言えない人は多いかもしれませんね。でも、「相談したい」と言えば聞いてくれる人が、あなたの周りにも必ずいると思いますよ。

「王様の耳はロバの耳」という寓話(ぐうわ)がありますよね。王様の耳がロバの耳に変わってしまったことを口止めされた理髪師が、苦しさのあまり森の葦に向かって叫んでしまう。あの話は、自分の心の中のモヤモヤを外に出すことが大事だと言っているんです。心理学的には「カタルシス効果」というんですが、人間は出すことでスッキリする。心配性の人にとって、「穴の存在=相談窓口」があることは助けになるんですよ。

窓口として最適なのは、黙って聞いてくれる人。それから他言無用の人。「そうだね、そうだね」って頷きながら聞いてもらうことが大事なんです。「ちょっと聞いてよ。部長がああ言ってこう言って……」としゃべっているうちに、「あれ? 部長、悪いこと言っていないかも」と思えてくる場合もあります。言葉にすることで、自分の状況が客観視できます。そうすると、次の一歩を踏み出す勇気がわいてきます。

——『成功する人は心配性』では、LINEを活用して視点を変える方法も紹介されていましたね。簡単ですし、さっそくやってみようと思いました!

菅原:(1)上司に怒られたなど、不安を感じたときの出来事を書く(2)「なにをやってもうまくいかない」など心に浮かんできた考えを書く(3)感じた感情と正反対の笑顔などのスタンプを押す、という方法ですね。あとで読み返したときは、下から上にスクロールするので、笑顔のスタンプがまず目に入ってきます。それから文章を読むと「上司はイヤミで言ったんじゃなくて注意してくれたんだな」などと思いやすくなります。物事を違う側面で見やすくなるんですね。

不安になったときはメモを残して、スタンプだけは愉快な気分になるものを押してみましょう。忘れちゃいけないのは、タイムラインを自分しか見られない設定にすることです。そうしないと、悲しいことや心配していることを、全世界に公開することになってしまうので(笑)。

——それは恥ずかしい……気をつけないと(笑)。

あなたの「フレーム」は柔軟ですか?

——ほかに、心配性の人がやっておくといいことはありますか?

菅原:心配が先に立って前に進めない人は、自分で決めた枠の中にとらわれていることが多いんです。心理学的には「フレーム」というんですが、成功する人はフレームが柔軟な人が多いですね。自分で勝手に作ってしまっているフレームを軟らかくするのに有効なのは、自分が好きなタイプと正反対の映画を見たり、普段は絶対手に取らない本を読んだりすること。本を10冊読むとしたら、8冊は好きな本、2冊は誰かのおすすめにすると、視野が広がりやすくなりますよ。

——なるほど。「これは私の好みじゃない」と、つい食わず嫌いをしてしまいがちかも。

菅原:僕は、診察に来る高齢者の方に「最近、ボケてきちゃって」と言われることがよくあるんですが、そのときは「年末年始の紅白歌合戦をお孫さんと見てください。演歌ばかりじゃなくて、AKB48とか若い世代が好きな歌をちゃんと聞くといいですよ」とアドバイスしています。同じものばかり吸収するとよくないし、もしかしたら今まで聞いたことのなかった歌が好きになるかもしれない。もし気に入ったら、おばあちゃんがEXILEのライブに行ったっていい。

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——EXILEが好きなおばあちゃん、格好いいです! 私たちの場合は、うんと年齢の高い人や、もしくは女子高生など世代の違う人と話すというのもアリでしょうか?

菅原:ああ、それもいいですね。接するコミュニティーの幅を広げるようにするといいですよ。あるコミュニティーで共有してきたことが、視点を変えると全く違って見えることがありますし。飲み会なども、毎回仲がいいメンバーだけで集まるんじゃなくて、普段自分が参加しないコミュニティーに顔を出してみては? 一挙両得なのは、英会話教室やゴルフレッスンなどでしょうか。スキルを身に付けながら、自分にとって全く新しいコミュニティーに飛び込めますから。

僕も、異業種の人とか世代の違う人とはよく飲んでいました。クリニックを開くときも、診療をするだけじゃなく癒やせる空間を作りたかったので、ホテルで勤務している友だちや飲食関係の人に話を聞きましたよ。誕生日月には必ずメッセージを送っているとか、ちょっとした気遣いのコツとか。そのおかげで、医者が考える価値観にとどまらないサービスを取り入れたクリニックになりました。

——嫌われないか心配で、土地勘のない場所には踏み込んでいけないという場合は……。

菅原:やっぱり一番は、「世界は広い」と知ることだと思います。嫌われたくないと思っている人は、意外とコミュニティーが狭い。あるコミュニティーと合わなかったとしても、どこかに意気投合できる人は必ずいます。コミュニティーの拡大を可能にするのがITの技術だし、視野を広げるために使おうと思えば、SNSほど便利なツールはないです。いまは翻訳の技術も進んでいますから、外国語ができなくてもコミュニケーションがとれますよね。お笑い芸人のブルゾンちえみさんが「(世界の男性の人口は)35億」というネタをやっていますが、まさにその通りなんですよ。

(取材・文:東谷好依、写真:池田真理)

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