日本一ちっちゃな働きかた改革 第14回「会社、辞めます」座談会2

採用面接で「ギョータクで」と言われて…私たちがフリー転身を決めるまで

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採用面接で「ギョータクで」と言われて…私たちがフリー転身を決めるまで

「フリー編集長」と「社畜プロデューサー」というまったく異なる立場から、Duniakita編集部というチームを運営している鈴木円香(33歳)と海野優子(32歳)。脱サラした自営業者とマジメ一筋の会社員が、「心から納得できる働きかた」を見つけるため時にはケンカも辞さず、真剣に繰り広げる日本一ちっちゃな働きかた改革が現在進行中です。

海野P(左)と鈴木編集長(右)

海野P(左)と鈴木編集長(右)

第7回から続けてきた「有識者会議」をしばらくおやすみして、お盆前後は夏の番外編として座談会を挟むことに。

テーマは、「私、今まさに会社を辞めようとしています」。仕事から旅先で離れてぼーっと過ごしていると、ふと「このままでいいのかな?」という思いが胸をよぎっちゃうこともあるかもしれませんね。

今回は、「まさに辞めようとしている人」「辞めた直後の人」「やめて1年ほど経過した人」と、3人の脱サラ・フリーランサー志望者を招集。それぞれの「辞める理由」と「辞めてみて感じたこと」を聞いてみました。聞き手は、自分も辞めて2年目の新米フリーランサーの編集長・鈴木です。

「辞める理由」を聞いてきた前編に引き続き、後編では「どういうカタチでフリー」をやるかという戦略などを聞いていきます。

今回の参加者はこちらの3人。

武田さん(仮名):34歳、現在外資系メーカーのPR担当。今年いっぱいで退職して来年からフリーランサーとしてPRの仕事をしていく予定。

七瀬さん(仮名):28歳、大学を卒業後、大手百貨店に勤務。中小企業、ITベンチャーを経て2ヵ月前からフリーランスのコミュニティ・マネジャーとして独立。

光浦さん(仮名):27歳、大学院を卒業後、大手日用品メーカーでSEとして勤務。1年ほど前に退職してフリーライターに転身。現在ライター業一本。

「ギョータクで」と言われて初めて考えた

——「会社を辞めてフリーになる」って口で言うのはカンタンですけど、実際には、何で食うか決める、そのスキルを身につける、見込み客を考えておく、辞め時を考える、家族を説得する、上司に伝える、仕事を引き継ぐ……などなど、めんどくさいプロセスがいろいろとあります。みなさんはどういうプロセスを経て、フリーランスになった、またはなろうとしているんですか?

七瀬:私は完全になりゆきです。

——おお、それは逆にムリがなくていいかも。

七瀬:大手百貨店、中小、ベンチャーときて独立したんですけど、3社目のITベンチャーで広報的な仕事をしていた時に「コミュニティづくり」を学びたいなと思い、転職活動を始めたんです。それで正社員になるつもりで採用面接を受けに行ったら、「業務委託で」って言われちゃって

——ああ、あるあるですね。

七瀬:そこで初めて「独立する」という選択肢が自分の中で出てきたんです。完全に正社員を続けるつもりしかなかったんで。で、どうしよう?って迷っていろんな人に相談してみたら「独立するなら、一緒に仕事やろうよ」と声をかけてもらえて、「あれ?これいけるかも?」と2ヵ月前に独立しました。「もしダメだったら、うちで正社員で雇用してあげるから1年くらいやってみたら? 貯金が尽きるまで」って声をかけてくれた人もいて。

——それはありがたいですねえ。七瀬さんみたいに正社員採用のつもりで受けに行った面接で「業務委託(ギョータク)で」と言われちゃった時に、「クソッ!買い叩かれた!」と思うか、「独立のチャンスかも?」と思うか、そこは分かれるかもしれませんね。

七瀬:いや、ホント。まさか「ギョータクで」と言われるとは思ってなかったから、完全に想定外(笑)。結局、今はその会社と業務委託契約を結んで週3、4回働いて、残りの時間は前職で身につけたスキルも活かしつつコミュニティ・マネジャーとして仕事をやってますね。ウェブメディアの運営をサポートしたり、イベントの企画運営をやったり。これまでやってきたことが全部、生きてます(笑)。

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傷心で始めた「失恋ブログ」がきっかけ

——なりゆきでフリーになった七瀬さんに対して、光浦さんは結構ちゃんと準備をされたとか? どんな感じだったんですか?

光浦:私もなりゆきっちゃなりゆきで、出たとこ勝負だった面もかなりあって。きっかけはプライベートで立ち上げた「失恋ブログ」(笑)。大学時代から6年間つきあっていた彼と別れたことがきっかけで。そこでどうしようもない気持ちを吐き出すためにブログを始めて。

——こちらも何というか、ムリがないというか、野心がないというか、肩に力は入っていなくてナチュラルな感じでいいですね。

光浦:そう。最初は、会社から帰宅して夜中にひとりでやり場のない思いを綴(つづ)っていたんですけど(笑)、そのうちできるだけいろんな人に読んでもらいたくてライティング講座に通い始めたんです。で、いろんな人と接するうちに「独立してもできるんじゃね?」と思い始めて。

——「できるんじゃね?」と思った具体的な理由は?

光浦:講座の先生がすでにフリーランサーとして活躍されてる女性ライターさんだったんです。当時30歳くらいの方で、私も26歳だったので年齢も近くて。実際にこういうふうにやってる人がいるんだという例を間近に見ることで、「自分もマネしてやってみよう」と思ったんですよね。

——でも、ライター一本で独立するってハードル高くないですか?

光浦:さすがにライター一本ではしんどいだろうと思ってました。もともとSEなので、その知識やワードプレスの使いかたを教えたりすることで得られる副収入も考えていて。でも、実際に独立してみると、ライターのニーズはかなりあって仕事がどんどん来るようになり、最初はウェブだけだった仕事が最近では書籍も手がけるように。

武田:すごい!

光浦:ありがたいことに。「ライターって言えるわ(よかった)」と内心ホッとしてますね。

——じゃあ、保険的に考えていたSEのお仕事はやらずにライター一本で?

光浦:ですね。ライター以外の仕事はしてないです。ジャンルはあらゆるものに手を出してますが、PR記事は得意です。

——ライター一本で生活できるのはすごい!

光浦:最初のうちは本当に向こう見ずでフリーになっちゃって、貯金もないしカツカツだったんですけど、実績が増えて信頼も得られるようになって、仕事の単価が上がりました。

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「辞める」以外の選択肢は考えなかった?

——七瀬さんも、光浦さんも、「よし!独立するぞ!」って感じでは全然なかったんですね。そういう力んでない感じ、すごく今っぽくてリアルだなと思いました。でも、フリーに踏み切るには勇気が要りますよね、独立する前に副業としてやるなど、パラレルキャリアでやってみる可能性は考えなかったんですか?

光浦:実は副業OKの会社だったんで、「フリーになりたい」と親に相談した時は「副業じゃダメなの? 考え直したら?」と言われて。でも副業でやってる限り、会社に割く時間の方が多くなっちゃう状況は変えられないですよね。会社員時代はずっと睡眠時間を削ってブログをやっていましたし。だったら、一度半年の期限を決めて、ちゃんとやってみたいな、と。

——副業でやってるうちは、時間もエネルギーも割ける時間が限られていて、「中途半端な感じ」がしちゃったんですね。

光浦:そう。あとは「好きな時間に仕事できるようにしたい」という願望もあって。正社員だと、どうしても9〜5時とかで時間に縛られちゃう。その残りのちょっとの時間で遊んだり好きなことをするって、すごくつまんないな、って。あとは「好きな人」といる時間も増やしたかったし。

——「好きな人」というのは恋人?

光浦:最初はそのイメージだったんですけど、今は仕事仲間も含めて人生に関わる人みんなです。私にとって働くモチベーションは“人”なので、好きな人と好きな時間に仕事をするというのは、すごく大事だったんです。

七瀬:私、実は今でも意識としてはフリーランスよりパラレルキャリアに近いです。「これ一本で食っていきます!」っていうより、いろんな仕事を同時並行してやってる感じ。

——というのは?

七瀬:こうして大手、中小、ベンチャー、フリーランスといういろいろな働きかたを経験してきて気づいたのは、「私、ひとつの場所で働くのが無理なのかもしれない」ということ。ひとつの場所にずっといると「悪いところ」がすごく見えちゃうんです。今、関わっている複数のプロジェクトもダメなところはいろいろあるけど、外から少しずつ関わるから「ま、いいか」と思える。べったり関わると「もう辞めたい」ってなっちゃうけど。

——それは本当に同感です。フリーとして外部から距離を置いて関わるから、感情面のストレスがない。「Duniakita編集長」の仕事も、業務委託の週1・6時間出社で関わっているから、こうして楽しく続けられているのかも(笑)。

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光浦:正社員としてフルタイムで内部にいるのとは、また違う視点から見れますしね。

七瀬:そうそう。しんどさの一番の原因は「8時間で週5勤務」にあると思うんです。だから、今、この記事を読んでくれている人の中で会社がつらいと感じている人がいたら、まず「8時間で週5勤務」を疑ったほうがいいんじゃないかな、って。

武田:いや、ほんとそう。

——確かに、週5で朝から晩まで同じメンバーと顔を突き合わせて仕事をするのはつらいものがありますよね。濃度が高すぎるというか。自分も相手も見られすぎていてしんどい。仕事仲間とは、ほどほどの濃度がいいかもしれないです。

七瀬:パラレルキャリアが今いろんな会社で推進されてますけど、あれ、絶対にやったほうがいいと思うんです。会社の空気がよくなると思う。みんなの時間やエネルギーが分散されることで、それぞれの場がギスギスしなくなる。

——なるほど、「会社員かフリーか」という問題ではなくて、「8時間で週5勤務」を是とするか?という問題なのかもしれないですね。

お盆休みを挟んで3週連続で掲載している夏の番外編企画「座談会:私、今まさに会社を辞めようとしています」も次が最終回。もう夏も終わりか……。最後は「フリーが生きるための戦略」について聞いていきます。

(構成:Duniakita編集長・鈴木円香)

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