Duniakita×LDK編集長対談(前編)

広告まみれの女性誌にうんざりの貴女へ『VERY』部数に迫る注目のテスト誌『LDK』

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広告まみれの女性誌にうんざりの貴女へ『VERY』部数に迫る注目のテスト誌『LDK』

通勤途中のコンビニで立ち読み、美容院で渡されてペラペラ……月に数回は目を通すことのある女性誌。

今シーズンおすすめのファッションやコスメは網羅されていて便利だけど、本当に買うべきものがわからない。めくってもめくっても広告ばかりで、なんかうんざり……。

そんな女性たちから今、絶大な支持を得ているのが雑貨や日用品、家電など女性の生活に関わるすべてのアイテムをテストし、広告では伝わらない本音の評価を伝える女性誌『LDK』。

この出版不況にありながら部数は右肩上がりで、4月28日に発売された6月号(最新号)は12万7650部を発行しました。5月27日に発売される7月号は20万部(mini版6万、通常版14万部)とついに“大台”に。

今、なぜ女性たちから支持されるのか? その秘密を、同じく女性に向けて日々情報発信しているニュースサイト「Duniakita」の編集長・鈴木円香が、『LDK』の木村大介(きむら・だいすけ)編集長に聞いてきました。

この時代に女性たちが本当に求めているコンテンツとは? 

部数が『VERY』に迫る?

鈴木円香編集長(以下、鈴木):昨年は取材を受けてくださりありがとうございました。「テストする女性誌」がコピーの『LDK』ですが、この出版不況の中すごく売れているそうですね。7月号ではmini版と合わせて20万部を発行するとか。あの『VERY』(光文社)が27万6000部*ということなので迫る勢いですね。

*部数算定期間:2016年10〜12月、印刷証明付き発行部数

木村大介編集長(以下、木村):そうですね(笑)。2月にはコスメ版『LDK the Beauty』創刊準備号も出しました。おかげさまで発売5日で増刷が決まって。夏に正式創刊することが決まりました。

鈴木:おめでとうございます! 今回、木村編集長と対談するということで改めて『LDK the Beauty』をじっくり読んだんですが、「世界でただ1つ、コスメを本音で評価する雑誌です。」がデーンと表紙にあり、さらに「広告まみれの美容誌やステマだらけのクチコミじゃわからない!!」というコピーもあって今まで以上に攻めているなと思いました。

木村:『LDK』のほうは知名度も高くなってきて目立つ場所に置いていただいていて、『the Beauty』のほうはコスメ誌のコーナーにはあるんですが、他の分厚いコスメ誌と並ぶと埋もれちゃうんです。新参だから「この雑誌はこういうコンセプトです!」ってのをはっきり言わないと伝わらないし、「この雑誌は他の雑誌と考え方が違うんです」っていうアピールをしようと悩んだ結果、「攻めた」装丁になりました。

鈴木:内容も「最強ファンデABC判定カタログ33」や「クレンジング50製品No.1決定戦!!」など容赦なくコスメをジャッジしていますね。反響はいかがでした?

木村:「こんな本は今までなかったから新鮮」という声が多かったですね。本音を書きすぎて「叩かれるかな?」とも思ったんですが、コスメ誌で「いい」「悪い」をはっきり言うのはあまりなかったと思うので、受け入れていただいてよかったです。

鈴木:読者のほうがビクビクしちゃってる感もありますよね。「こんなに正直に書いちゃっていいの? 面白いけど」って。まだ驚いている。

木村:読者からも「こんなこと書いて怒られないんですか?」って言われるんです。モノやサービスについて「いい」「悪い」の判断をしてそれを発表するのって全然悪いことじゃないのに、読むほうも「批評していい」と思っていないんですよね。

鈴木:読者も自主規制しちゃってる部分があるんでしょうね。

ステレオタイプに乗っかる企画はやらない

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木村:雑誌って広告にまみれているのが普通だから。その点「Duniakita」はギラギラしていないですよね。

鈴木:そうですね(笑)。

木村:読んでいて硬派な感じがします。記事作りで意識していることは何ですか?

鈴木:「小顔になりたい」とか「結婚したい」とか既存の価値観に乗っかるような企画はやめようと意識していますね。ただでさえDuniakita読者は「子供産まなきゃ」とか「結婚しなきゃ」とかのプレッシャーに苦しんでいるので。それに上乗りする企画はやめようとしている。逆に1枚1枚固まった価値観の皮をはがしていこうと。

木村:1枚1枚はがしていく……。具体的に「1枚1枚はがしてウケたな」という記事はありますか?

鈴木:1月に出した「『仕事がしんどい』だから専業主婦に逃げようとしている貴女へ」という記事はすごく読まれましたね。「年収1千万円の男を捕まえるのが勝ち」とか「結局は専業主婦になるのがいいよね」っていう価値観、「そうじゃないとはわかっているんだけれどモヤモヤしている」部分を揺さぶった記事なんですが、反響は大きかったですね。

価値観を揺さぶって、最終的に何を選ぶか、どんな生き方をするのか判断をするのは読者なんですが、読者が読んでラクになれるような記事を意識しています。

木村:ある意味「ステレオタイプの価値観をどう達成するか」というのが一般メディアのあり方なので「いやいや、本当はこうだよね」ってのを載せるのは勇気がいる。やっぱり尖っていますね。

女性誌は読者のほうを向いていない?

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鈴木:『LDK』も普通の雑誌とは逆のことをやっていますよね。

木村:有名な雑誌もどんどん休刊して雑誌不況だと思うんですが、それってこれまでの雑誌のビジネスモデルが崩れてきていることですよね。でも我々は最初から昔のビジネスモデルを無視していて。部数が上がっているのも「雑誌不況じゃない場所」にいるからだと思っています。

鈴木:というのは?

木村:雑誌って広告ありきで、読者の方向を向いてなさすぎる。誰のための本なのかを考えた時にスポンサーのほうしか向いていない。スポンサーを意識したら、今回の『LDK the Beauty』でやったような「捨てる!!コスメ収納術」なんてやれない。有名ブランドコスメをガンガン捨てちゃってるんだから(笑)。

雑誌の状況を見渡してみると、編集が企業の広報機関になっている。欧米はテスト誌の文化があるんですが、それが日本になかったのは雑誌のビジネスは広告ありきだったから。濡れ手に粟のような儲かっていた時代が長かったからなんですよね。

鈴木:ちなみにタイアップの話はくるんですか?

木村:我々の制作費から考えたら莫大な広告費のタイアップの話がわりとくるんです。喉から手が出るほど欲しいですが、それをやったら読者を裏切ることになるので断っています。

鈴木:となると利益はほとんど実売ってことですよね?

木村:実売ですね。読者からしかお金をもらっていない。

鈴木:撮影や検証で使う商品も編集部で買うってことですよね?

木村:そうですね、購入費がすごい額になるんですよ。100均グッズ特集の時は比較的抑えられるんですが。1000個買っても10万円なので。コスメの時は大変ですね。下手したら数ページで10万円いっちゃう。

鈴木:SK2とかシャネルを買ったらすぐいっちゃいますね。

広告ゼロ、編集記事100%の誌面作り

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鈴木:『LDK』はやっぱり主婦層がターゲットなんですか?

木村:『LDK』はアラサーからアラフォー向けなんですが、『LDK the Beauty』は反響を見るともっと若い世代も多いですね。

鈴木:確かに『LDK the Beauty』のほうは読者層が広い感じがしました。扱っている商品の価格帯も広いし。

木村:そうなんですよね。美容って意外にきっちり読者層が分かれてないんです。マーケティングっていろいろな層に分けたがると思うんですが、ある意味可能性を狭めているんじゃないかなって。何かの言い訳にしか使われていないというか。

鈴木:「言い訳」というのは?

木村:うまくいかない時の言い訳ですね。例えば売れなかった時に「対象読者を見誤りました」というための言い訳。でも美容は20代と40代でそんなに価値観が細かく分かれていない側面もあると思います。「自分がどうありたいか」が大事だから年代でそこまで変わらないんじゃないかな。

鈴木:なるほど。どの媒体も「うちの媒体はこういう読者が読んでいます」っていうペルソナってあると思うんですが、広告とるためのペルソナっていう面はありますね。

木村:「Duniakita」は読者の利益だけを考えて作っていますか?

鈴木:タイアップのお話もいただくんですが、心がけているのは読者のためにならない企画はやめようということですね。読み物として満足感があるものを意識して作っている。企画ありきですね。

木村:企画ありきというのは本当にそう思います。雑誌って広告にまみれているから。めくってもめくっても広告。我々の本は他の雑誌に比べて薄いんですが、100%が編集記事だからです(笑)。

鈴木:なるほど、だから他の分厚いコスメ誌と並んだ時に埋もれちゃうんですね。

後編に続く)

(構成:Duniakita編集部・堀池沙知子、写真:池田真理)

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