「産むこと」にメリットって、本当にあるんですか? 第6回

「産まない人生も断然あり」ワーママ編集長が声を大にして言いたいこと

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「産まない人生も断然あり」ワーママ編集長が声を大にして言いたいこと

「産むことにメリットって、本当にあるんですか?」
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「編集長、産むことのメリットとデメリットを教えてください」今年で33歳になるワーカホリックなプロデューサーが、ワーママ編集長に詰め寄ったことからスタートした本企画。今回は、「産んだら、人生の可能性は狭まるのか?」という問題について考えてみたいと思います。

私(左)と海野P(右)

私(左)と海野P(右)

妊娠中に絶望していた理由

先週の日曜日、次の週に保育園にお弁当を持たせる日があるということで、慌てて「ベビーザらス(玩具メーカー「トイザらス」のベビー用品版)」に弁当箱を買いに出かけました。

「アンパンマンのお弁当箱がいい〜〜〜♡」という娘を引っ張りながら店内を歩いていると、周囲には楽しそうにショッピングをする妊婦さんたちの姿がありました。ベビーベッドがリビングに収まるかどうか悩んでいたり、ピンクの肌着にするかクリーム色の肌着にするか迷っていたり、なんだか、とても幸せそうです。

ああ、あんなふうに希望に胸を膨らませて過ごす方法もあったのね……。知らなんだ……。

私はといえば、妊娠している間ほぼずっと、絶望のどん底にいました。

別に望まない妊娠をしたわけじゃありません。妊娠しようと思って、妊娠したんです。でも、ひと月、ふた月と過ぎていくにつれ、「ああ、これで私の人生の可能性は、栓を抜かれた風船みたいにヒュルヒュルヒュル〜って萎んでいくんだ……」という感覚がどんどん自分の中で膨らんでいき、もう憂うつでしかたありませんでした。

絶望の理由を図解してみると

まあ、ホルモンのせいも多分にあったとは思いますが、あの頃の私の頭の中を図解するとこうなります。

photo1

そして、妊娠する前の、31歳の私の頭の中はこんな感じでした。

photo2

そう、可能性に満ち満ちていたんです。

「再来年くらい会社辞めて1年くらい車で日本一周旅行しようかな」「ロッククライミング、始めたいな」「週末に料理の専門学校に通ってイタリアンの基礎を習得したいな」「自然がきれいな場所に移住して、ひとり出版社を始めようかな」「学生結婚した夫とは離婚して、もっといろんな恋愛を経験するのも楽しそう」「ピアノも習い直したい。バッハとか弾けるようになりたいな」「同通(同時通訳)のレッスン受けて英語をブラッシュアップしたい」「スリランカとか、タイとか、海外で1、2年暮らしてみるのもいいな」「世界中の窯元をめぐって、陶器のことも勉強したい」「一眼のカメラ、覚えたい」「シェアハウスとかで、みんなで共同生活もしてみたい」「モンゴル、行きたい!」「スカイダイビングしたい!」「船舶免許とりたい!」「プロのレーサーと付き合ってみたい!」(以下、省略)

人生3回分くらい、いっぱいやりたいことがありました。

それが妊娠したことで、ぜーんぶ消えた。そう感じて絶望していたわけです。

妊娠した時に神様とした取引

産むと、人生の可能性は狭まるのか?

どうなんでしょうねえ。まだ娘は2歳になったところなので、正直わかりません。ただ、娘が生まれてからの2年間で上に列挙したもののうち実現できたのは、「一眼のカメラを覚える」、ただ一つだけです(それも中途半端)。他は現時点ではすべて「娘が小学校に上がったらできるかもしれないものリスト」、もしくは「娘が成人した後にできるかもしれないものリスト」に入れられています。

ちなみに、今の私の頭の中を図解するとこうなります。

photo3

娘を妊娠した時、自分が神様とどんな取引をしたのか、その内容を遅ればせながらやっと理解して受け入れられた。それが今の状態です。何を手に入れる代わりに、何を手放すことにしたのか。「そろそろ子どもを産んでみよう」と決めた時の、31歳の私は正しく理解していませんでした。

恥かしながら、現状はそんな感じなので、自分が選んだ「産む人生」がこれからどんなふうに展開していくのか、その可能性を、昔CMに出てきた「名前も知らない大きな木」みたいにワサワサ茂らせるまでには、いまだ至っていません。

自分が歩いている道を「やっと受け入れられた」それが今の私です。

もっと声を大にして言いたいこと

妊娠中、深まるばかりの憂うつを母にぶつけたことがありました。主婦として二人の娘を育てあげた母はこう言いました。

「でも、子どもとしかできないことだってたくさんあるし、それは本当に楽しいよ。あの楽しさは子どもがいないと味わえないよ」

はい、とてもまっとうな答えだと思います。

娘と一緒にやると、確かに何でも楽しいです。真冬に公園で砂場あそびをしていても、並んでホットケーキを食べていても、おふろでシャボン玉を吹いていても、本当に何をやっていても、その瞬間瞬間が愛おしくて楽しい。

でも、逆を言えば、「子どもがいる人生でしか味わえない楽しさ」があるということは、「子どもがいない人生でしか味わえない楽しさ」だって絶対にあるはずなんです。さっき書き上げたリストをぜーんぶ心おきなくやりきれちゃう人生だってあるはずなんです。

なぜ、世の人はそれをもっと声を大にして言わないの?

女は、隣の芝が青く見えちゃう生きものです。どの道を選んでも「選ばなかった道」が気になる。産む・産まないに関しては特にそうなのかな、って思います。

だけど、決断って、いつでもそういうものじゃないんでしょうか。小さなトゲみたいに自分の中に残り続ける「選ばなかった道」。でも、よそ見しちゃダメなんです。よそ見なんかしたら、せっかく「選んだ道」が台なしになってしまう。まっすぐ前を向いて歩いているうちに、トゲの先端は、だんだんと削られて丸くなっていき、やがて跡形もなく消えてしまうのでしょう。

(Duniakita編集長・鈴木円香)

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