「産んでも働くママになる」第3回 ユニ・チャーム

「産んでからキャリアを積む」 ユニ・チャームが打ち出す新しいキャリアパス 

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働きながら子育てをしたいと考える女性にとって「産むタイミング」をいつにするかは重要な問題です。「授かった時が産み時」とは思いつつも、入社して早々に妊娠するのはちょっと……とためらう人がほとんどでしょう。

「キャリアを目指すなら妊娠はある程度のポジションについてから」というのが、これまでの共通認識でしたが、最近は「早く産んでその後キャリアを積みたい」と考える20代の女性も増えているといいます。そうしたニーズにキャッチアップし、いち早く制度として取り入れたのがユニ・チャームの「Fresh-Mom Recruitment(フレッシュ・マム・リクルートメント)」。同社の取り組みとその思いについて、人事グループ・シニアマネジャー渡辺幸成(わたなべ・ゆきなり)さんに話を聞きました。

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「キャリアを積んでから産む」とは別の選択肢を

――妊娠や出産予定がある新卒の女性社員は、入社時期を最長30歳まで延期できる取り組み「Fresh-Mom Recruitment」があるそうですね。始められた時期とキッカケについて教えてください。

渡辺幸成さん(以下、渡辺)
:この取り組みは2014年度から始めました。女性の活躍なくして当社の継続的な発展はないだろうと、中堅社員となる30代の女性社員がイキイキと輝いて働ける環境づくりに取り組むことにしました。

女性活躍のための方法は2つあると思っています。1つは30代でM字曲線*に入る前に成長曲線を高めること。若干負荷をかけながらも成長のスピードをあげることで、一度キャリアを中断してもキャッチアップがそれほど難しくないという考え方です。

*出産・育児期にあたる30代で女性の就業率が落ち込み、子育てが一段落した頃に再就職する人が増える状況を、グラフの形になぞらえ「M字曲線」と呼ぶ。

20代で子育てに集中してからキャッチアップ

2つ目は、M字曲線に入る前に子育てをひと段落させてしまうこと。家事や育児で使える時間に制約があると、力を発揮しづらいのではないかという仮説のもと、20代で子育てをしてその後仕事に集中するという選択肢を考えだしました。この方法でも十分キャッチアップできるのではないか、と。つまり、「Fresh-Mom Recruitment」はこれまでの発想から視点を変えた取り組みなんです。

――出産・育児にかける時間を入社前に取るか、入社後に取るかという感じですね。

渡辺:そうですね。子育て中は力が発揮できないこともあります。しかし、そこが一段落つけば、仕事のほうに力を注げるようになるのではないかと。

渡辺幸成さん

渡辺幸成さん

内定後に妊娠発覚。マイナス評価されるのでは?

――新卒で内定が出た時点で妊娠発覚となった場合、利用したいと思う女性がいる反面、「計画性がないと判断されるのでは?」と不安になる女性もいると思います。実際はいかがですか?

渡辺:妊娠・出産は女性であれば当然のこと。予定があれば先に話してもらえると、その後の計画が立てやすくなります。幸いにも当社の社員は、育休取得後はほぼ100%復職しています。会社としても、妊娠・出産・育児をネガティブに捉えることはまったくなく、逆に戻ってきてからしっかり仕事をがんばってもらえればいいと考えています。

2人目が小学校に上がった時点で復帰も

――実際にはどのような形で利用されることを想定していますか?

渡辺:たとえば、22歳で内定が出て、その年に第1子を出産、その後、25歳くらいに第2子を出産するとします。その場合は下のお子さんが保育園や小学校に入るなど子育てが一段落したタイミングで戻ってきていただければと思います。当社には「ライフサポートフレックス」という制度があります。これはコアタイム(8~12時)を設定しないフレックスタイム制度なので、それを利用しながら働くことを想定しています。

――キャリア形成はどうなりますか?

渡辺:当社では、思考・行動のプロセスを重視した「コンピテンシー評価」と、成果を重視した「業績評価」の2つで人事評価をしています。ですので、「30歳で入社したから」「時短勤務だから」と評価や昇格が不利になることはないんです。

30分単位でタイムマネジメント

――御社では、SAPS手法という経営モデルがあるそうですが、これはどのようなものですか?

渡辺:年間目標から半期目標、月次目標、週次目標、1日でいうと30分単位で具体的な行動を落とし込んでいき、管理しています。週1回、グループごとに共有する場を設けることで、ムダな作業を洗い出したり、課題解決のアドバイスをしあったりして、問題が起きてもすぐに対処できるようになるんです。

また、自分自身で計画を立て実行することで、短期間で達成感が持てるようになり、タイムマネジメント力、論理的思考力なども自然と備わってきます。

――30分単位ですか! けっこうハードですね。

キャリアママが得意な「短時間でテキパキ」を全社員に

渡辺:そうですね(笑)。最初は大変かもしれませんが、慣れてくると仕事の効率は格段にアップします。限られた時間内で課題を整理しつつ、優先順位をつけ、どうすれば最短距離で目標を達成できるか常に考えるようになるんです。

つまり計画を立て(Schedule)、それを実行して(Action)、結果を反省して(Performance)、また計画を立てる(Schedule)という流れを繰り返していくんです。

――子育てをしながら働くママは、こういうのは得意そうですね!

渡辺:時間あたりの生産性という観点では子どもを持つ女性社員は、非常にテキパキとしてごく自然にSAPSができている印象です。逆に、男性社員のほうがまだまだ時間ありき、長時間労働になっている感じですね。

時代も変わり、価値観も変わりつつあるなかで、「働き方改革」は進めていかなくてはと強く感じています。「Fresh-Mom Recruitment」はその改革のひとつ。まだ利用者はいませんが、女性の新しいキャリアパスの提案として続けていきたいと思います。

取材を終えて

働く女性にとって、いつ妊娠・出産するのかは非常に大きな問題です。キャリア志向の女性の場合、「先にキャリアを積んで後で産む」というのがこれまでのスタンダードでした。しかし最近では、20代を中心に「早く産んでからキャリアを積みたい」という女性も増えてきています。「Fresh-Mom Recruitment」の取り組みは、そういった女性たちの声にいち早く応えるもので、新しいキャリアパスとして今後も注目していきたいところです。

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産んでも働くママになる

女性が働く上で、産休や育休、復帰後の働きやすさは、避けて通れないテーマです。女性も男性も心地よく働くために、企業はどんな制度を準備して、これらの問題に向き合っているのか。ママライターがレポートします。

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