「産んでも働くママになる」第2回 パソナキャリア

「ママ社員の営業目標を半分に」 パソナキャリア、急成長の背景にある制度とは

SHARE Twitter lineで送る
「ママ社員の営業目標を半分に」 パソナキャリア、急成長の背景にある制度とは

「産んでも働くママになる」
の連載一覧を見る >>

産後復帰率、ほぼ100%のパソナキャリア

正社員・契約社員の転職を支援する人材紹介サービスを展開している、。ここ3年の転職支援人数は2倍以上に増加、成長率140%を達成し、転職エージェント業界で急成長を遂げています。

「業績好調の大きな理由はママ社員の活躍にあります」と語るのは、人材紹介事業部門・統括部長の岩下純子さん。自身も2歳児を育てるママ社員であるキャリアアドバイザー・林絵理香さんも交えて、その取り組みについて聞きしました。

【連載「産んでも働くママになる」記事一覧はこちら】

ママ社員の営業目標を50%に!

――パソナキャリアは数年前から、ほぼ産後復帰率100%で、もはや産後職場復帰するのは、当たり前の職場なんですね。

岩下純子さん(以下、岩下):その通りです。ただ以前は、育休から復帰したママ社員は営業部門ではなく間接部門へ、という流れもありました。ですが、当社は営業の半数が女性。復帰する社員がどうすると活躍できるかを思考錯誤する中で、担当業務が育休前と変わることで、仕事も子育ても初めての環境になるよりも、経験を活かすことのできる仕事に戻ってもらうほうがいいと、今は育休前のポジションに復帰することが当たり前になっています。この5年くらいで、ママ社員に営業として活躍してもらえる仕組みを整えてきたんです。

――具体的には、どんな仕組みを作ったのですか?

岩下:まず1つは、営業目標の設定を考慮しました。具体的には、ママ社員の営業目標を他の社員の半分にしたんです。

――半分ですか! それはすごいインパクトがありますね。ママ社員のために保育園を設けたり、時短制度を導入したりという話は聞きますが、営業職で目標そのものを考慮するのは珍しいですね。でも、目標が他の社員と違うことで、「戦力外にされた」と感じてしまうママ社員もいるのでは?

「戦力外になった」という意識を持たせない

岩下:目標の数字は半分にしていますが、ママ社員があげた実績に対しては、他の社員と同等に評価します。ですから、時短勤務でも実績をきちんとあげてさえいれば、マネージャーに昇格できます。実際、林(絵理香さん)も時短勤務ですが、今年の3月にユニットリーダーに昇格しました。

人材紹介事業部門・統括部長の岩下純子さん

人材紹介事業部門・統括部長の岩下純子さん

――なるほど。目標を半分にされると、キャリアアップがそこで阻まれてしまうのかな、と思いましたが、そうじゃないんですね。

岩下:むしろ、逆だと思います。目標が達成しやすくなり、会社に貢献できていると実感することでモチベーションはあがります。目標の数値を半分に緩和すると、100%目標を達成するママ社員が多くなります。それによって、チーム全体の目標達成率も上がり、チーム全体の業績や評価も上がるので、とてもありがたいです。

ママ社員を第一線に置くメリット

岩下:ママ社員が他の社員の働き方のお手本になるという面もあります。時短勤務でも業績をあげているママ社員のやり方を参考にして、他の社員も短い勤務時間で成果を出せるようになるんです。

――他には、どんな取り組みがありますか?

岩下:「月6回以上の早帰り」です。各チームで表を作り、早帰りした日にシールを貼るようにしています。そして、シールが少ない社員には「今月はまだ2つしかシールないよ。何か仕事が溜まってるの?」とまわりが声をかけるんです。

「1日単位」ではなく「1時間単位」で考える

岩下:転職エージェント業界では、転職希望者の方と夜に面談することも多いので、ときには業務時間が長時間となることもあります。ですが、ママ社員が増えれば、短い勤務時間で実績をあげることが重視されるようになり、会社全体にいい影響が出ていると感じています。

――少ない時間で効率よく働くコツはなんでしょう?

林絵理香さん(以下、林):時間のとらえ方を変えることですね。以前は1日単位でどれくらいパフォーマンスをあげられたか、という振り返りをしていましたが、時短勤務になってからは、1時間単位で考えるようになりました。

キャリアアドバイザー・林絵理香さん

キャリアアドバイザー・林絵理香さん

ママ社員への嫉妬はない?

――ママ社員へのサポート制度が充実しすぎたために、他の社員にしわ寄せがきてしまい亀裂を生むという話はよくあるもの。ママ社員に他の社員が嫉妬するなんてことはないのでしょうか?

岩下・林:(顔を見合わせて)ウチではあまりそういった話は聞かないね(笑)。

岩下:数年前まで当社のマネージャー(管理職)は30歳前後の若い男性社員が多く、ママ社員が日々どんな生活を送っているのか、想像もできないという感じだったんです。そこで、マネージャーとママ社員の座談会を設け、ママ社員の生活ぶりや気持ちをざっくばらんに話す機会を作ったことが功を奏したのだと思います。

――確かに、相手の状況を理解しているのとしないのでは、言動も対応もだいぶ違ってきますよね。

:「伝え合うこと」は大切にしています。例えば「サンキューカード」。これは社員同士が感謝の気持ちをカードに書いて伝え合うというものです。座談会やサンキューカードの効果もあって、ママ社員と他の社員の間にしっかりした信頼関係を築けているので、変な不信感がわかず、仲間を認め合い助け合おうという意識が自然と生まれてくるんですね。

取材を終えて

「育休から復帰しても責任ある仕事を任せてもらえず、ほぼ戦力外通告」「時短社員はキャリアと引き換えに子どもとの時間を選んでいる」――そんなママ社員の嘆きを聞くことが多い中、取材前は「営業目標の緩和は本当にママ社員のためなのか?」という疑念がありました。

しかし、この制度は単にママ社員の仕事の負担を減らすだけではなく、与えられた目標内の実績において、他の社員と同等に評価するというもの。出産後も以前と同じようにキャリアを積み上げていきたいというママ社員には、うれしい制度ではないでしょうか。

また、時短勤務のママ社員も、子育てが落ち着いたらフルタイムに戻ろうと考えている人が多いもの。その間、自分のモチベーションや満足度、会社への貢献度を維持するためにも有効な制度だと感じました。

この連載をもっと見る

産んでも働くママになる

女性が働く上で、産休や育休、復帰後の働きやすさは、避けて通れないテーマです。女性も男性も心地よく働くために、企業はどんな制度を準備して、これらの問題に向き合っているのか。ママライターがレポートします。

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

「ママ社員の営業目標を半分に」 パソナキャリア、急成長の背景にある制度とは

関連する記事

編集部オススメ

仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。その両立って本当に必要?改めて問い直すキャンペーンが始まります。

後悔のない30代を過ごしたい。ありとあらゆる分野のプロフェッショナルに、40歳から自分史上最高の10年を送るために「30代でやっておくべきこと」を聞いていきます。

記事ランキング
top cheap coolers

best electric cooler