「股間のピストル」と「頭のない女性」は性差別? ハリウッドで立ち上がったプロジェクトとは

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「股間のピストル」と「頭のない女性」は性差別? ハリウッドで立ち上がったプロジェクトとは

トップ映画700本のうち女性監督によるものはわずか1.9%、全登場人物に占める女性キャラクターの割合は30%など、ハリウッドにおいて依然として男女差別が歴然と存在することが問題視されています(参照)。こうした傾向は、街のあちこちで目にする映画広告やポスターにも、はっきりとあらわれているといいます。世界でも最もリベラルと思われているアメリカ映画界に今も根強く残る男女差別とは?

ある女性コメディアンが始めたプロジェクト

胸、おしり、唇など、女性の身体の一部が強調されている。

そういうイメージはよくよく注意して見てみれば、映画の広告やポスターだけでなく、CDジャケット、本のカバー、テレビCMなど日常のいたるところにあるものです。「身体のあるパーツだけを取り上げる」とは、どういう意味を持つのでしょうか?

外部リンク:

「Headless Women of Hollywood」というプロジェクトを立ち上げたスタンダップコメディアン、マルシア・ベルスキーさんは、「身体の一部を強調する=女性を頭のないものとして描く」ということであり、それは女性を物体化する行為であると問題視しています。

「顔のない女性」は取り替え可能?

マルシアさんは、こう訴えています。

「頭がないものとして描かれることで、その女性は“男性から見つめられるだけの無抵抗な物体”となってしまいます。彼女が意思を持つ存在であるということが、頭と一緒にイメージの枠の外へ追いやられるわけです。彼女の存在価値は、男性を性的に惹きつけることだけで、そこに人間性はいっさい求められていません」

「身体の中で頭というパーツは『思考』のシンボルです。日常的に『頭のない女性』のイメージを浴びることで、『女性には、思考や感情、個人としての主体性が存在しない、もしくはそんなものには誰も興味がない』という歪んだ認識が私たちに刷り込まれるんです」とマルシアさんは話します。

「さらに言えば、『頭がない』とは『顔がない』ということです。顔はその人個人を判別するための重要なパーツ。顔がないということは、すべての女性、とりわけ男性が見たい身体をしている女性が“取り替え可能”であるとほのめかしているようなものです」

股間でピストルを持つ男性イメージの意味

では「頭のない男性」のイメージは存在しないのかといえば、そんなことはありません。下半身だけ切り取った広告や、帽子で顔が隠された映画ポスターを思い浮かべる人もきっといるでしょう。ですが、マルシアさんは、「頭のない男性」と「頭のない女性」は、大きく異なると言います。

男性の場合、頭がなくても、股間の前でピストルを持つ手や「怒り」や「憂い」といった何らかの感情を訴えかけてくる口元が描かれている場合がほとんどで、たとえ性的対象として捉えられるものであっても、きちんと“彼”の主体性や人間性が盛り込まれているのだそうです。したがって、「頭のない男性」が「頭のない女性」のようにみずからの意思を持たない受動的な存在として扱われることはきわめて稀とのこと。

筆者はマルシアさんのプロジェクトを知るまで、女性の身体のパーツが切り取られていることに何の違和感も覚えませんでした。「これを差別的というなんて、ちょっと極端じゃない?」とさえ思っていました。ところが、マルシアさんによれば、その鈍感さがまさに刷り込みの成果であり、「私たちは、女性の身体を対象化することをあまりにも当然だと思ってしまっている」のだそう。ハリウッドという渦巻く巨大な資本の中で、一人の女性コメディアンが起こしたプロジェクトの動向が今後も気になります。

■参考:

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